Asia 99

「通貨バスケット」構想で活発な議論

 都内で4日午後に開かれたアジアの将来を討議する国際交流会議「アジアの未来」(日本経済新聞社主催)のパネルディスカッションでは、アジアの通貨の安定に関して宮沢喜一蔵相が提案している「通貨バスケット連動制」が話題になった。大蔵省の黒田東彦国際局長は「アジアの場合、欧米と違ってドルなど単一の通貨とリンクさせるよりドル・ユーロ・円の3通貨バスケットと連動した形がふさわしい」と擁護論を展開した。

 黒田局長は通貨バスケットが正しく機能するには「円が使い勝手のいい通貨でなければならない」とし、その方策として「日本企業がアジア諸国から円建てでモノをたくさん輸入し、円を外貨として各国に供給する必要がある」と強調した。これに対し、マレーシア中央銀行のゼティ・アクタル・アジズ副総裁は「ドル・ユーロ・円それぞれが通貨として安定しなければ混乱を招く」とバスケット方式の問題点を指摘、円を含めた主要通貨の安定を求めた。

 王雪冰・中国銀行董事長兼行長は「原則的にはバスケット方式に賛成」としたが、「体制ができていない時に一体化すると、初期の目標と違う方向に行ってしまう危険性がある」として、導入のタイミングは慎重に考えるべきと指摘した。人民元について王氏は「まだ完全に交換可能な通貨とは言えないのでバスケットの中には入れられない」と述べた。

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