Asia 99

黒田国際局長「アジア経済、ファンダメンタルズ強い」
大蔵省の黒田東彦国際局長

 大蔵省の黒田東彦国際局長は4日、日本経済新聞社主催の国際交流会議「アジアの未来」の席で講演し、アジア危機は各国の個別要因とともに、資本の流入と急激な流出、為替の過大評価、国際的・地域的サーベイランス不足といった共通の原因もあったと指摘した。また、危機後、国際金融制度改革の動きが出てきたと指摘、国際資本移動への対応や為替制度、IMF改革の議論が引き続きなされていると説明した。

 局長は、新興国は資本移動を監視することが大切で、特に短期の外貨債務を管理する必要性を強調。為替制度は、通貨安定とともにフレキシビリティーを持つことが重要だとした。一方、IMFには透明性やアカウンタビリティー(説明責任)を高める努力を求める姿勢を示した。

 最後に局長は、アジア経済は質の高い労働力と高い貯蓄率を誇り、ファンダメンタルズは依然強いと指摘、成長を回復することが可能だと強調した。そして成長回復実現のためには、域内外ともにオープンな市場経済を維持することが不可欠だとし、その中で域内協力を強化することも大切だとした。

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