Asia 99

許文竜氏、アジア通貨切り下げでABS樹脂メーカーの競争力強化
台湾の許文竜奇美実業薫事長

 世界最大のABS樹脂メーカーである台湾の許文竜(シー・ウンロン)奇美実業薫事長は4日、「アジアの未来」会議で講演し、タイからはじまったアジアの経済危機は、「危機ではなく、重要な転機となった」との認識を示した。通貨切り下げにより、「韓国やタイのABS樹脂メーカーの競争力は強まった」と指摘。一方、同社の市場シェアは低下したが、液晶部門に大規模な投資し、事業の新たな柱を育てるきっかけとなったと述べた。

 同氏は奇美実業は通貨危機にもかかわらず好業績を維持しているが「工場がもたらす公害問題への対策はいくらやっても追いつかない」と述べ、環境汚染への対処が企業経営者にとって最大の問題だと強調した。

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