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グエン・タン・ズン氏
ベトナム第一副首相
 通貨安定へ協調を

 アジア経済危機で各国経済の弱点が露呈した。ただ、こうした試練は自国の経済を強め、安定したシステムを構築するための教訓となった。今後、特に通貨市場で同様の混乱が起きるのを防ぐために国家、地域、世界の3段階で協調して行動しなければならない。持続的な発展のためには、東南アジア諸国連合(ASEAN)、アジア太平洋経済協力会議(APEC)の機能を強化すべきだろう。

 経済危機の影響でベトナムの97年の経済成長率は8.8%、98年は5.8%、99年は5月までで4%強に下がった。試練を乗り越えるためには、ドイモイ(刷新)政策をより徹底するしかない。

 ベトナムでは貿易の保護制度があるが、特定の分野での一時的な措置だ。ASEAN自由貿易地域(AFTA)やAPECの取り決めを守るだけでなく、世界貿易機関(WTO)加盟や米越通商協定の締結に向け、非関税部分を徐々に関税化する計画だ。

 金融では自国通貨ドンの安定や利下げで企業の資金調達環境を整えながら、インフレ抑制に引き続き取り組む。銀行は再編を進めて財務状況を改善し、新たな債務の発生を最小限に抑える。国内初となる証券取引所の設立準備はホーチミン市で進行中だ。

 過去数年間で日本とベトナムの協力関係は大きく発展した。今や日本は最大の貿易パートナーであるだけでなく、最大の援助国である。

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