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李憲宰(イ・ホンジェ)氏
金融監督委員会委員長(韓国)
 構造改革を断行

 韓国は再び成功物語の主役となった。国家の債務不履行(デフォルト)と崩壊の瀬戸際という危機からの目を見張る回復で、通貨・金融危機にどう対応したか関心を集めている。

 韓国政府は国際通貨基金(IMF)プログラムに基づく包括的な構造改革を断行し、国際的な信用を獲得することを最優先の政策に掲げた。構造改革では(1)モラルハザード(倫理の欠如)を回避し国民的コンセンサスを維持する(2)即座に包括的に実施する――の2原則を一貫して守った。

 金融システム再建のため72兆ウォン(1ウォン=0.1円)の公的資金を投入した。6カ月で国内総生産(GDP)の17%に相当する資金の投入を決めた国は世界中ほかにない。

 維持不可能な企業は清算した。構造改革で経営効率や財政基盤の健全性が増し、外国の信頼は高まった。回復ペースは期待したよりもはるかに速い。

 今回の危機の重要な教訓は世界経済の統合が進み、どの国も危機の伝染を防ぐのは不可能ということだ。2年間にわたり国際的な金融システムの改革が議論されてきた。しかし、効率的な危機管理や危機の予防のための新しい枠組み作りはほとんど進展していない。

 域内各国が政策面で協調し、通貨切り下げや保護貿易主義に走らないように合意することが重要だ。短期資本移動に伴う通貨危機を予防するため、域内の早期警戒システム構築や緊急信用供給枠の設定といった手段を講じるべきだ。

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