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高村 正彦氏
外務大臣
 米を軸に連携必要

 昨年8月末の朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)による弾道ミサイルの発射は、我が国の安全保障に直接かかわることで極めて憂慮すべきであるだけでなく、北東アジアの平和と安定及び大量破壊兵器の不拡散の観点からも極めて遺憾だ。

 北東アジアの安全保障を話し合う場として日米韓の対話に加え、米国、中国、韓国、北朝鮮の4カ国協議に日本、ロシアが加わる形を提唱しているが、日中韓または日米中で新たな対話ネットワークを築き既存の枠組みに重ねることもアジアの平和と安定に役立つ。

 7月のASEAN(東南アジア諸国連合)地域フォーラム(ARF)では、ARFの予防外交について議論をリードしたい。こうした努力の前提として、この地域での米国の存在と関与が重要かつ必要だ。日米防衛協力のための指針(ガイドライン)関連法が国会で成立したが、日米安保体制の信頼性の強化を通じ、アジア太平洋地域の平和と繁栄に寄与すると考える。

 アジアの繁栄のため努力していくうえで(1)インドネシアの政治的安定と経済発展(2)社会的弱者支援(3)「ASEAN10」への協力(4)金融や貿易投資などのグローバリゼーションへの対応(5)我が国経済の再生努力――の5点を重視している。

 貯蓄率の高さ、勤勉、モノ作りの能力といったアジアの経済成長を支えてきた諸要因は失われていない。アジア諸国が潜在力を生かして改革努力を続ければ、アジア経済は再び力強く成長すると確信している。

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