市民生活の向上に貢献
日経アジア賞も今年で15回目を迎えた。今回の審査では、地元市民の生活向上と地域経済発展への貢献度を重視し、各部門とも大きな成果を出された方々を選出することができた。
経済発展部門のトニー・フェルナンデス氏は「エア・アジア」をアジア最大の格安航空会社に育てた最高経営責任者。徹底した合理化で低価格のサービスを実現し、バスや電車など陸上交通しか使うことができなかったアジアの中低所得者に飛行機を利用しやすくした。原油高などによる近年の航空不況の中、この3年で路線網を倍増させた経営手腕には学ぶべき点も多い。アジアへの観光客を増やすなどアジア内外の経済交流への寄与も評価の対象となった。
科学技術部門の陳定信・前台湾大医学部長は、台湾で多発していた小児肝がんの原因ウイルスを突き止め、肝炎ワクチンの接種による予防に成功した。健康な台湾住民の15%が感染していたB型肝炎の予防接種プログラムを1984年に開始し、感染率を1%にまで減らしたという業績も大きい。子宮頸(けい)がんワクチンなど日本においても普及が必要なワクチンは少なくない。今回の授賞には、アジアでの各種の予防接種拡大への期待も込められている。
文化部門のマントゥブ・スダルソノ氏はインドネシアの伝統芸能「ワヤン」(影絵人形劇)の操り手。上演時間で世界記録となる24時間公演を開いたり、伴奏に新たな楽器を取り入れたりするなど常に新機軸を追求し続けている。海外公演にも積極的で、アジアの伝統芸能の魅力が世界的に広がっていくことを願っている。
今年は昨年と同様、国内外の160人を超える専門家にお願いして、経済発展部門で26件、科学技術部門で21件、文化部門で27件の候補者推薦を得た。今回受賞された3人の方々の業績に敬意を表するとともに、心からお祝いを申し上げたい。
[4月26日/日本経済新聞]
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