「アジアの未来」
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日経アジア賞
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学生リポート
「グリーン成長」について
姜楠 東京大学経済学部(3年)
 この度、国際交流会議「アジアの未来」でたくさんの方々から話を聞かせていただいて、とても勉強になりました。今回のアメリカ発経済危機は世界各国にかなりのダメージを与えつつ、ここ何十年間歩いてきた発展の道を顧みる、そしてこれからの方向性をあらためて見出すきっかけにもなったと思っております。

アジア各国は、世界大不況の中「一番元気な地域」といわれるほど経済発展の底力を見せています。今回の会議で講演をなさった方々は、アジア各国の調和協力の必要性を強調しながら、アジアのこれからの発展の新しい方向をも提言されました。

 その中で、最も感銘を受けたのは、韓国の韓昇洙(ハン・スンス)首相がおっしゃった「グリーン成長」と「グリーン統合」の考えです。従来の「成長は先、クリーンアップは後で」の成長戦略はすでに限界に来ていることは、おそらく数少なくない途上国が感じていると思います。母国の中国も例外ではありませんが、北のほうは毎年のように砂嵐に襲われ、そして南のほうはよく酸性雨に悩まされています。近年隣の国々まで被害が及んでいるそうです。環境改善に関して今まではまったく手を打っていないというわけではありませんが、後片付け程度に止まっていることは否定できないと思います。

 前に、G20金融サミットで影響力を拡大したがる新興国の姿がありました。しかし、大きい影響力の背後にかならずより重い責任が存在すると私に思われます。今は、まさにその責任を背負う覚悟を世界に見せるいいチャンスだと考えています。

 韓国はすでに「グリーン・ニュー・ディール」政策を発表し、50兆ウォンを水質改善・自然災害防止などに投入する計画を立てたということです。さらに、低炭素時代のスローガンを掲げ、2億ドルを投入し、東アジアのグリーン成長を支援するという意思を表明しました。この動きはまさに他のアジア諸国に模範を示したと思います。

 今まで、環境改善はコストとして見なされ、経済成長の足を引っ張る恐れがあるから誰も真剣に取り組もうとしなかったかもしれませんが、台湾ジンデックの廖国栄総経理が環境ビジネスの可能性を示してくださったのです。廖総経理の話によりますと、太陽光発電は二酸化炭素の排出量を減らし、環境改善に大きく貢献するだけでなく、それを普及させるに際して、市場潜在能力は今後25年間でなんと12兆5000億ドルを突破する見込みだそうです。特にアジアは、太陽電池関連生産のうち67.7%のシェアをも誇っているものの、太陽電池セル設置量のシェアは10%未満に過ぎないという。内需型経済に移転しようとしているアジア諸国にとって、環境ビジネスはまさに発展とエコの「一石二鳥」といえるのでしょう。

 この何十年間において、アジア各国は生産、貿易面で連結を深めてきました。そして今は、インフラや環境面での連結の実現をもめざして協力していると、各国の首脳と経済学者の方々から話を伺いました。自分もアジア住民の一員として、アジアの「グリーン統合」と今後の発展を、この目で見ていきたいと思います。

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