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コプサック・サパーワス
タイ副首相

社会不安回避に全力

 政治的対立が深まる中で発足したタイ新政権だが、今後あらゆる努力で対立、社会不安の原因を回避する。アピシット首相は日本などを訪問し、信頼獲得に努めてきた。経済的には世界的な金融危機の影響で、タイも厳しい時期を迎えている。今年第1四半期の輸出は20%減り、失業率も2%超に悪化した。

 政府は短期的な景気刺激策の導入を決めた。農業・工業部門の低所得者層を中心に支援し、タイ国民の購買力を維持するためだ。就職支援や高齢者らの社会的セーフティーネットの充実にも取り組んだ。

 同時に打ち出した今後3年間の景気刺激策は雇用創出と経済の競争力向上を目指した。主要な食料輸出国であり続けるため農業部門の生産性を高める。物流インフラ整備やサービス部門の強化などにも投資し、200万人の雇用創出を目指す。

 パタヤでのASEAN関連会議が反政府デモで中止となり期待された成果が得られなかった。遺憾の意と陳謝を心から表明する。今は秩序が戻り正常な状態になった。

 政府は政治的安定の確保へ行程表を策定した。議会は2つの特別委員会をつくった。1つは政府対応や武力行使に疑念を抱く国民が申し立て、政府は透明な対応を求められる。もう1つは、政治制度のあり方に解決法を見いだす委員会で、憲法改正や政治改革に関する提言が出てくるだろう。

 経済危機克服には各国の調整と連携が必要だ。ASEANプラス3(日中韓)とアジア開発銀行(ADB)がアジア債券市場の拡大に向けた保証機構の創設で合意するなど成功例がある。タイは日本を真のパートナーだと考えており、メコン川流域開発などで協力できるだろう。

[5月23日/日本経済新聞]

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