日経アジア賞ではアジアの安定・発展に貢献してきた人に光を当てるのを目的としてきたが、今回はアジアの発展のために長期間にわたり地道に活動されてきた受賞者がそろった。 経済発展部門のミーチャイ・ウィラワイタヤ氏は1970年代からタイ農村での人口抑制対策を立案、実行、また90年代には政府閣僚としてタイのエイズ撲滅運動を指揮してきた。しかし注目されるのはこうした公的な役割以外に非政府組織(NGO)である人口と地域開発協会を設立し、いまでも民間ベースで農村の自立支援を手がけていることだ。長期にわたる努力で地道な活動を展開してきたことが評価の対象になった。 科学技術部門の張俊彦氏は半導体分野で先駆的な研究を成し遂げたことで「台湾半導体産業の生みの親」とも呼ばれている。こうした研究面だけでなく研究拠点を設立し、人材を育成してきたことも受賞の決め手となった。 ユニークなのが文化部門で受賞したゴーパル・ベヌ氏だ。サンスクリット古典劇「クティヤッタム」の保存・復活に貢献してきた。「クティヤッタム」は2001年にユネスコの世界無形遺産に指定されたが、ベヌ氏の活動なくしてこの功績はなかっただろう。 今回は昨年をはるかに上回る300以上の専門家、団体より推薦を寄せていただいた。アジアとの交流に携わる日本の専門家が中心だが、最近では海外の学界関係者や、企業家などから推薦いただくことが増え、年々周囲からの期待と関心が高まっていることを感じる。 これらアジアの発展に貢献した各受賞者のすばらしい業績に改めて敬意を示すとともに、心からお祝いを申し上げたい。