私は32年前、サンスクリット古典劇「クティヤッタム」の巨匠アマヌール・マダバ・チャキャール師と出会った。目や手などで意思を伝える師の演技は神業だったが、弟子は1人もいなかった。私はこの演劇を保護するため、あらゆる努力を払うことにした。 その後師の同意を得てクティヤッタム研修所を開設、研修生を受け入れ訓練した。現在、若手芸術家が育ったことに大変満足している。国連教育科学文化機関(ユネスコ)からも無形遺産に認定された。 妻の助けを得つつ、女性舞踊などほかの芸術でも若い世代の育成に取り組んできた。指人形や影絵劇、宗教舞踊劇を保護するため研究活動などを進めた。道は決して平たんではなかったが、内なる炎は消えることはなかった。行く手を遮るハードルを克服できるよう全能の神の前にひれ伏してきた。
[5月23日/日本経済新聞]