「アジアの未来」
HOME

フロントページ
速報
24日の概要
25日の概要
会議日程
講師略歴
アジアの未来
2006
2005
2004
2003
2002
2001
2000
1999
1998
1997
日経アジア賞
English
24日の概要
カマル・ナート
インド 商工相

 巨大な中流、消費けん引

 世界の重心は大西洋から太平洋に移り、21世紀はアジアの世紀となった。世界経済の成長エンジンはアジアで、世界の所得の伸びの半分以上はアジアによるものだ。インドとベトナムはともに経済改革に取り組んでおり、高成長を実現してきた。

 インドはかつて悲惨な貧困や飢餓、病気や無知に満ちた国と見られていたが今、モノとサービスの貿易が国内総生産(GDP)に占める割合は日米より高い。この3年間でモノの輸出は倍増し、昨年の外国直接投資は190億ドル(約2兆2800億円)、外貨準備高は2000億ドルに達した。

 インドは独立後の60年を通じて民主主義を維持してきた。識字率や男女間、都市と地方間の格差も大きく改善している。ここ16年間で6つの政権、5人の首相が登場したが、経済改革の方向性は不変で、最近は年率8%の成長を実現している。小売分野の外資開放は段階的に進める。スポーツ用品や電子製品などの分野に限っては開放できるかもしれない。

 成長の原動力の第一は起業家精神だ。1990年代初頭から多くの地場企業がビジネスを拡大し、製品の幅は自動車から航空機部品、電気製品に広がり世界の大企業に名を連ねるまでになった。

 もう一つは意識改革だ。インドには非効率と腐敗の問題があるが、人々は怠惰や粗悪な品物を許容しなくなっている。若者は観光や留学で外国を訪れ、消費者意識も芽生えてきた。

 ここに来て、インドには重要な変化が出ている。巨大な中産階級の出現と人口動態の変化だ。国内には3億人の中産階級がいて、毎年2500万人ずつ増えて消費を創出している。人口の半数以上は25歳以下で、IT(情報技術)やバイオテクノロジー、医薬品産業など知識集約型、技術集約型産業のアウトソーシングで主要拠点となっている。

 不十分なインフラは、経済発展にとって最大の課題だ。港湾や空港などの整備が大きく立ち遅れている。政府は今後4、5年で350億ドルを投資することを決めたが、日本も協力してほしい。

[5月25日/日本経済新聞]

一覧へ戻る >>

Copyright 2007 Nihon Keizai Shimbun, Inc., all rights reserved.