「アジアの未来」
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日経アジア賞
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24日の概要
韓明淑
韓国 前首相

 未来像描く時期

 世界が統合に向かう中、アジアに一つの共同体を形成することは、域内諸国の「平和」と「共同繁栄」を築く大変重要な要素だ。今やなぜアジア共同体に向かうべきかを議論する時期は過ぎ、どのような未来像を抱き、いかに協力すべきか議論する時期になった。

 持続可能な共同体となるためには、環境問題への関心は不可欠だ。環境紛争は事前に手を打たなければ、国家・地域間の新たな紛争の要素になる。まず、各国の民間専門家によるネットワークをつくり、黄砂のような国を越える汚染物質の実態調査の実施を提案したい。中長期的には「アジア環境基金」をつくることも考えられる。環境問題の負担と弊害への手立てを講じるものだ。

 共同体形成に向け、韓国が最も重要と考える分野は物流だ。特に、東アジアを一つにつなぐ鉄道の連結は物流の中心になる。17日、半世紀ぶりに韓国と北朝鮮を結ぶ列車が運行した。鉄道の連結は南北統一の道を開き、アジア横断鉄道網建設への道も開いた。

 国と国が鉄道で連結するのに加え、人と人が(いつでもどこでも情報にアクセスできる)ユビキタス技術でつながれば、アジア共同体建設は加速する。人、特に企業人が国と国を移動することを保証するため、数次ビザの取得を認め、適用範囲を拡大すべきだ。

 朝鮮半島の平和は世界平和の羅針盤といわれるほどの重要性を持つ。北朝鮮の核問題を巡る6カ国協議で2月に核放棄に向けた合意をしたことがアジアの平和の礎となることを望む。

 国家や民間レベルで多層的、重層的な論議の枠組みをつくっていこう。アジアの未来は1人の構成員が独占するものであってはならない。我々すべてが主人公にならなければならない。

[5月25日/日本経済新聞]

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