インドの主要IT企業、ウィプロのアジーム・プレムジ会長は25日午後、国際交流会議「アジアの未来」(日本経済新聞社主催)の討論で、インドの経済・産業事情について「インドではIT(情報技術)、ITをベースとしたサービスが発展し、24億ドルの市場が形成された」と語った。半面、「インドは劇的に工業化を果たしたが、急成長にも限界がある」と指摘。「工業社会を短期間で飛躍的に拡大するのは不可能で、着実に段階を経なければならない」との認識も示した。
プレムジ氏はウィプロを含むインドの主要企業の実例を示しつつ「日本企業も繊維・医薬品・ITなど成長が期待できるインドの工業分野に、積極的に投資することを勧めたい」と述べた。また「日本企業の中にはインドの成長の可能性を十分に理解しているところもある。スズキや三菱自動車、ホンダ、トヨタ自動車、旭硝子などが積極的に投資している」と紹介した。
プレムジ氏はまた、将来展望として「2050年まで円滑に発展するようなら、中国、米国、日本、ロシア、インドが主要な経済大国になる。インフラの整備が進み、石油以外の産業が発展していく国々として期待できる」との見通しを示した。そのうえで「日本はアジアの主要なけん引力として、引き続き重要な役割を果たしていくことができる」と述べた。