26日の概要
分科会
▼B:アジアのエネルギー危機を克服するためのシナリオ
末次克彦氏
末次克彦氏
エネルギー情勢への認識は。
エビタ・レゴウォ氏
世界のエネルギー需要は増加の一途だ。インドネシア政府は石油の利用比率を下げ、天然ガスや石炭、バイオ燃料を上げる計画だ。
周大地氏
中国のエネルギー需要は石炭中心で、1人当たりのエネルギー消費は日本などと比べるとまだ低く、需要増大は確実だ。中国は省エネをエネルギー政策の最重要課題に置く。石炭は環境に悪影響を与えるので水力、原子力、天然ガスなどを利用していく。国内の供給能力を高め、海外依存を弱める。
カレン・シュナイダー氏
カレン・シュナイダー氏
アジア・太平洋は世界のエネルギー需要拡大の中心になるだろう。対応するのは引き続き(石炭、石油の)化石燃料になろう。世界には十分な資源の埋蔵量があり、原油価格の上昇は代替エネルギー開発を促す役割も果たす。新技術開発は、エネルギー需要の圧力を和らげ、環境負荷も減らす。
末次氏
問題はエネルギーの政治化が進んでいることだ。資源国は投資を制限し、国有化する。買う方は「買い占める」アプローチだ。何らかの手当てをしなければならない。
周大地氏
周氏
産油国の投資不足問題は需要側と供給側が対話で解決するしかない。例えば石油輸出国機構(OPEC)と国際エネルギー機関(IEA)は供給側と需要側として対立してきた。協力する方が対立するよりもプラスだと認識し、エネルギー問題を新たな機会ととらえる必要がある。
末次氏
ロシアの手つかずの石油をどうするか。ロシアが開発に力を入れれば、世界の需給関係は好転するはずだ。ロシアの最近の動きは「エネルギー帝国主義」ともいわれている。国際的課題だ。
周氏
対ロ協力は冷戦の名残があり、政治的障害を克服しなくてはいけない。
末次氏
道を開いてほしい。日本とも手を組んでもらいたい。
エビタ・レゴウォ氏
レゴウォ氏
各国がエネルギー安保について、あらためて考える必要がある。備蓄する、情報を融通する、分散化を図るといったことだ。
シュナイダー氏
市場の透明性を図ることが大切だろう。供給拡大と新技術の導入も長期的に必要。それにより価格も抑えられる。
末次氏
域内の各国に不拡散型の核エネルギーシステムを浸透させたい。
シュナイダー氏
石油埋蔵量は以前の推計より多いと分かった。地球環境問題で、オーストラリアは独自にクリーンエネルギー開発に力を入れている。
周氏
中国は国内のエネルギー価格の合理化に取り組んでいる。税制の整備も含め、努力しなければならない。
末次氏
できるだけ多くの国によって投資環境を改善する必要がある。民間が自由意思で投資できる環境づくりが求められる。バイオ燃料など今までになかったエネルギーの開発に力を入れ、エネルギーの技術やシステム移転の促進も重要になる。
[5月27日/日本経済新聞]
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