「アジアの未来」
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25日の概要
リー・クアンユー
シンガポール 顧問相

 「友好的な競争関係、維持を」

 中国とインドが台頭し、かつて世界の中心と見なされた立場に立ち返りつつある。両国とも自由化を進め米国や欧州にも追いつけると感じているようだ。日本や韓国をはじめ我々が自問すべきは、いかにして友好的な競争関係を中国やインドとの間で維持するかだ。

 中国が最近、インドに友好の手を差し伸べていることは興味深い。過去は過去のこととして友好的に協力に動いている。

 過去の戦争の負の遺産で残っているのは日本と中韓の関係だけだ。しかし克服できない問題はない。最近、中韓両国を訪問したが、日本の指導者が本当に反省をすれば、両国は日本と協力したいと思っている。日本からの投資や技術、日本の市場に関心があるからだ。

 昨年12月の東アジア首脳会議(サミット)は東南アジア諸国連合(ASEAN)と日中韓に加え、インド、オーストラリア、ニュージーランドを招いたが、それはバランスを取るため。ASEANがほかの国同士を結びつければ、徐々にアジア全体を包含する自由貿易協定(FTA)ができるだろう。

 そうなれば他地域との競争でも立場が強くなる。すべての国が敵がい心を回避し、友情ある競争をして成長することに地域の未来はある。

 共同体結合には時間がかかる。アジアには東アジア、南アジア、イスラム地域の三グループがあり、欧州連合(EU)のようにまとまるのは難しい。まず経済の統合から始めるのがいいだろう。長期的には経済成長こそが、太平洋のバランス維持に寄与する。そこに米国が加わるかどうかは、米国次第だ。

 共存共栄するには、サービスも資本も人も自由な移動を許し、あとは市場の力に委ねることだろう。最終的には大アジアの自由貿易地域ができればいい。

[5月26日/日本経済新聞]

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