「アジアの未来」
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日経アジア賞
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25日の概要
中曽根 康弘
元首相

 「運命共同体の意識を」

 昨年12月の東アジア首脳会議(サミット)では、東アジア共同体をつくるという理念で一致した。こうした理念で一致したのは、今までにないことだ。それは共同体構想に反しないように各国が自制的な行動を取るという意味で重要だ。

 東アジアは域内で平和と安全が確保されているのが特徴だ。大部分が米国と安全保障で緊密な関係にあり、目に見えない力として作用している。

 韓国ドラマや日本のアニメなどを通じ、大衆レベルの交流も進みつつある。経済面ではFTAの締結や各国中央銀行の連携が連帯感を生んでいる。今後の課題は環境保全と、防衛面での透明性の確保だ。特に中国の軍事力強化は関心を集めている。

 共同体は、重層構造でつくるべきだ。第一段階として東アジア経済協力機構の形成を提案したい。ASEANと日中韓のほか、オーストラリア、ニュージーランド、インドにロシア、米国も入れて18カ国で構成する。石油・ガスが不足している東アジアにとってロシアの参加は重要だし、膨大な資金や市場を抱える米国を外す手はない。

 欧州圏や米国以外の北米自由貿易協定(NAFTA)圏とも協調体制を築く必要がある。基軸通貨は、米ドルだけでなく円やユーロの活用も視野に入れるべきだ。

 平和の構築の1番大事な要素は、軍事競争ではなく、東アジアに住む人々が運命共同体意識を持つことだ。

[5月26日/日本経済新聞]

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