「アジアの未来」
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25日の概要
モンテック・シン・アルワリア氏
インド政府計画委員会 副委員長
講演するインド政府計画委員会のアルワリア副委員長=25日午後、都内のホテル

 行程表作り構想具体化

 アジア経済は貿易と投資の両面で門戸を開放し、世界経済と積極的に融合して、開発と貧困解消に成功した。アジアでは政治主導型の欧州と異なり、経済が主導する形の統合プロセスになるだろう。開発段階も政治体制も異なる国々が、共通の経済的利害を原動力に統合しようとしている。

 インドは1980年代に経済改革を始め、マーケット志向の政策と輸出に照準を定めて急速な経済成長と貧困撲滅の処方せんを示した。今後成長が期待されるBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)諸国の中で、インドは年8%と特に大きな成長を見込む。

 インド政府は東南アジア諸国と同程度に輸入関税を引き下げ、投資環境を整備している。特に道路、電力、港湾、鉄道、灌漑(かんがい)などインフラ向上を推進している。我々の目標はインフラ面で東アジアとの格差を埋めることだ。民間活力を利用して公共投資の拡大を図っている。

 ただ我々の動きは漸進的だ。これは約10億人の国民を抱え頻繁に政権交代する民主主義政策に不可避なものだ。コンセンサスなしに政策を変更できないため変革のペースは遅いが、広範な支持を取り付けることは政策の継続性や持続可能性につながる。

 インドはアジアのパートナーとの関係強化を目指す。10年前に発表した「ルックイースト」政策は対外政策の重要な柱だ。日中韓を含む東アジアは最大の貿易相手国であり、対外直接投資でも極めて重要だ。

 インドは東アジア共同体を支持する。アジアの共同体構想は時間も努力も忍耐も必要だが、実現に向けてロードマップ(行程表)を作るべきだ。アジアの主要国の間では貿易協定が結ばれているが、インドもその可能性を追求したい。東アジア共同体の拡大により、より広い地域で互いに利益となる補完的関係が生まれるだろう。

 今、エキサイティングな時代が始まろうとしている。協力によって地域のエネルギーを発揮することが求められている。アジアが安定と平和の地域として台頭する環境整備をすることが必要だ。21世紀がアジアの世紀になるよう、インドは共に努力をしていきたい。

[5月26日/日本経済新聞]

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