「アジアの未来」
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25日の概要
アブドラ・バダウィ氏
マレーシア 首相
講演するマレーシアのアブドラ首相=25日午前、都内のホテル

 インド、「共同体」一員に

 マレーシアは2020年までに経済、政治、社会など包括的な意味で先進国入りを目指す。我々の安全は、東南アジア共同体の安定があってこそ保たれる。我々が03年のバリでの会議で合意したASEAN安保共同体(ASC)設立構想に深くかかわっているのもそのためだ。我々は繁栄から教わり、貧困を憎み、ASEAN経済共同体(AEC)の創設にも深く関与している。

 東アジア共同体の構築には多元性が必要で、いかなる地域主義や覇権も望まない。経済活動では世界各国のあらゆる規模の企業にも門戸を開く。各国の政府はこうした現実を理解し、障壁を撤廃すべきだ。経済統合に向けたASEANと日中韓の取り組みが各国の幸福の実現に重要となる。多くの国が「東アジア号」に乗りたがっており、乗車している国で降車を希望する国もない。

 ASEANと日中韓による首脳会議と、12月にマレーシアで開く東アジア首脳会議(サミット)の2つの取り組みを混同すべきではない。前者は東アジアに平和と繁栄と進歩をもたらす組織として責務を負う。後者は東アジアが世界にどう貢献でき、世界が東アジアの成長をどう活用できるかという対話の場だ。

 東アジアサミットでは通貨からエネルギー、テロ対策など幅広く討議する。マレーシア単独の意思ではなく相互理解のもと、圧力や偏見を排除して進めるべきで、ASEAN高官は周到な準備を終えている。

 東アジアの研究機関のネットワークであるNEATの作業部会は「東アジア共同体形成への第1の手段はASEANプラス日中韓であるべきだ」との見解を全員一致でまとめた。

 東アジアサミットの焦点である「包含性」に私は賛成する。だが、我々は「ミニ国連」やAPECのコピー版をつくろうとは思わない。我々の目的を阻害したり、利益に反したりする国の参加は認められない。

 アジア経済で重要性を増す中国に関して、人民元の切り上げなどが取りざたされているが、マレーシアから金融政策を提案する気はないし、すべきではないと考える。中国の一挙手一投足が我々に影響を及ぼし、我々は常に前向きに反応する必要がある。中国との対話を大事にし、動向を注意深く見守るべきだ。

 ASEANプラス日中韓の枠外ではインドが存在感を増している。インドの貢献度を考えると将来は東アジア経済の一部になると考える。

 アジア市場の自由化は続く。その中でサービス分野の自由化要求などが強まりつつあるが、各国は国情・身の丈に合った自由化の程度と速度を見極めないといけない。

[5月26日/日本経済新聞]

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