ホンダの土志田諭・常務アジア・大洋州本部長は5日午後の「東アジア経済圏の可能性」を巡る討論で、「経済統合に向けた取り組みが着実に進んでいるが、制度的的な改善も必要」と強調した。そのうえでホンダがアジア地域で生産体制を一国に集中せず、製品を相互に補完する戦略を推し進めることを明らかにした。
土志田氏は「2010年には東アジアの自動車市場が欧米を超える」と同地域での潜在的な自動車需要を期待している。ホンダでは他のメーカーと同様に「自己完結型」の生産拠点をタイやマレーシアなどに保有しているが、経済統合の動きをにらみ、部品や製品などを東アジアの地域間で相互補完する体制を目指している。「一つの国に集中して生産する選択肢もあるが、各国の平均の成長を取り込むのが雇用面でも有利」との戦略を明らかにした。
ただ、相互補完を行ううえではスムーズな取引体制の整備が重要になる。土志田氏は「AFTAの運用は決まっているが、実務レベルでは国によって一致していない面がある」と指摘。実務レベルでの不一致が、メーカーにとって企業活動の遅れにつながるとの懸念を示した。