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タイの金融セクター、十分回復していない――スパチャイ副首相
講演するタイのスパチャイ副首相
 タイのスパチャイ・パニチャパック副首相兼商業相は9日、第6回国際交流会議「アジアの未来」(日本経済新聞社主催)で講演し「(通貨危機後の)今までの回復のプロセスは部分的にとどまっており、まだ不完全」と述べた。タイでは金融セクターの立て直しが不十分なうえ、韓国でも今後財閥の大規模なリストラが必要になると指摘。「投機的動きの再発を防ぐまでには至っていない」と警鐘を鳴らした。

 スパチャイ副首相はタイ経済について、「回復は道半ば」と述べた。回復の持続には金融システムの健全性が不可欠との見方を示し、銀行による不良債権の引き当てが不十分なことや資本増強プロセスの遅れなどに懸念を表明。「金融制度改革の終了までにはあと2年程度かかるだろう」と語った。

 アジア経済の回復過程における中国や日本の役割の重要性にも言及した。通貨危機に際して中国が人民元の安定を維持したことや、年内にも世界貿易機関(WTO)に加盟することになったことを前向きに評価。日本経済については「2000年は1%を超える経済成長率が達成できるのではないか」と楽観的な見方を示し、日本経済の健全性回復が極めて重要と強調した。

 スパチャイ副首相は、政府の公共支出に頼った経済回復の持続性に疑問を呈し、「通貨の安定に気を緩めることなく、輸出拡大や社会的改革など、各国が国内での改革努力を怠ってはならない」と述べた。


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