「アジアの未来」
NIKKEI NET

フロントページ
速報
8日の概要
9日の概要
会議日程
講師略歴
アジアの未来'99
アジアの未来'98
アジアの未来'97
第5回アジア賞
ENGLISH

速報ニュース

森首相、IT・金融など4分野で協力強化――晩さん会で表明
晩さん会であいさつする森喜朗首相
 森喜朗首相は8日夜、新世紀に向けたアジアの課題を話し合う第6回国際交流会議「アジアの未来」(日本経済新聞社主催)の晩さん会であいさつし、人材育成と交流、貿易・投資、通貨安定化のための金融協力、情報通信の4分野でアジア域内の協力を強化する方針を表明した。アジアの発展を念頭に情報技術(IT)の活用に関する途上国向けの包括的な支援策をまとめ、7月の主要国首脳会議(沖縄サミット)に提示する考えを示す一方、東南アジア諸国連合(ASEAN)とIT振興で協議の場を設ける意向も明らかにした。一方、晩さん会に先立って開かれた会議では、IT革命やインターネット普及への対応はアジア諸国にとって極めて重要だとの意見が相次いだ。

 首相はあいさつの中で、「経済危機後のアジア経済の回復に向けて全力で取り組んできた小渕恵三前首相のアジアを思い、アジアを愛する精神は私の中に引き継がれている。日本政府のアジア重視の政策にはいささかの変更もない」と強調。サミット本番の議論でアジア諸国の声を十分に取り入れる考えを示した。

 世界経済の現状に関しては経済活動や情報が瞬時に伝わる「グローバル資本主義」が大きな流れとなっていると指摘。欧州や北米で広がる地域統合の動きを踏まえ「アジアでも通貨危機を契機として生まれた地域協力の機運を大事に育て、開かれた協力を推進する必要がある」と力説した。

 首相は新たな域内協力として、途上国がIT革命の恩恵を受けられるようにするための支援策を打ち出すと表明。(1)政策・制度作りへの知的支援(2)研修・教育を中心とする人づくり支援(3)情報通信基盤の整備・ネットワーク化支援(4)開発援助を通じたIT利用の促進――の4項目を柱にすると説明した。

 シンガポールのゴー・チョクトン首相がインターネットの利用環境をアジア全体で整備するために提唱している「e―ASIA」構想に対し「積極的に協力し、できるだけ早くASEANのみなさんと協議の場を持ちたい」と表明。ASEANとの対話を進めながら、教育や電子商取引のルールづくりで貢献する考えも明らかにした。

 一方、アジアが直面する課題として域内の経済格差の問題に言及。格差是正には東南アジアのメコン川流域開発を重要課題になるとし、日本としても「引き続きできる限りの支援を行う方針だ」と語った。


Copyright 2000 Nihon Keizai Shimbun, Inc., all rights reserved.