第6回　アジアの未来

速報ニュース

アジア経済、問題克服してない・シンガポール上級相

討論するシンガポールのリー・クアンユー上級相

　シンガポールのリー・クアンユー上級相は８日午後、第６回国際交流会議「アジアの未来」（日本経済新聞社主催）に出席し、97年に発生したアジアの通貨危機について「銀行制度の持つ弱さに影響が出た」と指摘し、「国内通貨で借り入れをしていればあのような状況には陥らなかった」と振り返った。外貨に依存した取引が多かったことが通貨危機を招いたと説明し、現状でのアジア経済回復についても「本当の意味で問題を克服していない」と指摘し、銀行の規制などを検討する必要性に言及した。
　リー上級相はアジア通貨危機について「幸福であり、不幸だった」と位置づけ、「流動性決済など問題はまだ続く。本当の意味で回復を阻害されていると言わざるを得ない」と指摘した。今後期待できる点として、情報通信関連技術やインターネットが生産性や収益性に与える影響を挙げ、潜在的な問題解決を進める好機であるとの認識を示した。