「アジアの未来」
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9日の概要

大星 公二氏
NTTドコモ会長
 IT、規制を打破

 米国はここ10年来、インフレなき経済成長をコンスタントに続けてきた。この「ニューエコノミー」の中身はインターネット、つまり情報技術(IT)を基盤にした経済成長だ。

 インターネットのベースには通信ネットワークやパソコンなどの端末からなるインフラがある。その上に米アマゾン・ドット・コムによる書籍のネット販売など新興企業による「eビジネス」が花開いた。

 ネットは伝統的な大企業にも便益を与える。ネット上でPOS(販売時点情報管理)システムを構築、在庫をなくし、新しいマーケットを開拓するといった利用例だ。多様な商品やサービスを短期間に市場ニーズに組み合わせるという「IT革命」が進行している。

 当社が昨年2月、世界に先駆けて始めた携帯電話によるインターネット接続サービス「iモード」は加入者数が700万人を突破した。この急成長には当社の思惑とは別に、1万数千に上るiモード向け情報サイトを作ったコンテンツメーカーの存在が大きい。

 IT産業には大きな投資はいらない。必要なのは特徴あるアプリケーションソフトやコンテンツだが、アジアの良質で豊富な労働力と人々の勤勉性は世界で際立っている。IT革命が日本、アジアにとっても経済発展・再生のけん引力となりうることは確かだ。

 規制の存在がIT革命の阻害要因との議論もあるが、それは違う。私は6年間の社長在任中、一度も携帯電話料金の認可制をやめてくれと言ったことはないが、この間料金を3分の1に下げた結果、自然と認可制は廃止された。規制緩和を要求する前に自ら規制の意味をなくしていく努力こそ企業家に求められている。


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