知識と技術の底上げが急務
アジアの経済回復を確かな軌道に乗せ、経済を再生するためには、まず、世界経済とのつながりを柱とした開発戦略が必要である。各国は貿易の自由化や様々な投資政策を推進してきたが、アジアでの海外直接投資(FDI)のフローは1998年に初めて中南米を下回った。投資先としてのアジアの相対的な魅力の低下が懸念されている。
続いて金融システムの構築も欠かせない。金融危機では海外からの資金が引き揚げられ、痛手を被った。対応策として、5月に東南アジア諸国連合(ASEAN)と日中韓が外貨不足に陥った国へ資金融通しあう「ASEAN通貨スワップ協定」を結んだことは歓迎すべきことだ。
知識と技術の底上げも急務だ。情報技術(IT)の発展は製造業により一層の効率化を求め、また将来的には地域の競争力向上に不可欠な要素となる。
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