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8日の概要

晩さん会開催
IT・金融など4分野で協力強化
晩さん会であいさつする森首相
 「eアジア」推進へ連携

 森喜朗首相は8日夜、新世紀に向けたアジアの課題を話し合う第六回国際交流会議「アジアの未来」(日本経済新聞社主催)の晩さん会であいさつし、人材育成と交流、貿易・投資、通貨安定化のための金融協力、情報通信の4分野でアジア域内の協力を強化する方針を表明した。同時に情報技術(IT)の活用に関する途上国向けの包括的な支援策をまとめ、7月の主要国首脳会議(沖縄サミット)に提示する考えを強調。アジアに高度な情報通信網を構築するためシンガポールのゴー・チョクトン首相が提唱している電子商取引の環境整備などを柱とする「eアジア」構想を東南アジア諸国連合(ASEAN)と連携して推進する意向を明らかにした。

 「eアジア」構想は、インターネットの利用環境をアジア全体で整備するために、IT投資の促進、障壁となる規制の撤廃、電子商取引の法体系の整備などを盛り込んでいる。首相は同構想について「積極的に協力し、早い時期にASEANとの協議の場を持ちたい」と表明。教育や電子商取引のルール作りで貢献する方針も示した。

 サミットへの対応については「IT革命でもたらされる恩恵をみんなが享受できるようにするための方途について意見交換したい」と述べ、アジア諸国の声を取り入れ、ITに関する先進国と発展途上国の格差是正をめざす考えを強調した。途上国向けの包括支援策として(1)政策・制度づくりへの知的支援(2)研修・教育を中心とする人づくり支援(3)情報通信基盤の整備・ネットワーク化支援(4)開発援助を通じたIT利用の促進――の4項目が柱になると説明した。

 政府は技術支援の内容や必要な予算措置を詰める方針。日米欧のサミット参加国はIT革命を世界経済の持続的な成長に結びつけることを表明するため「IT憲章」の採択を検討しており、日本の支援策もこうした議論に反映しそうだ。

 アジアが直面する課題として域内の経済格差の問題に言及。多国間にまたがる東南アジアのメコン川流域開発を重要課題に挙げ、日本としても「引き続きできる限りの支援を行う方針だ」と語った。

 国連改革にも触れ「安全保障理事会の構成はアジアのメンバーが十分に代表されているとはいえない」と主張。アジア枠の拡大が必要との認識を示し、日本の常任理事国入りに意欲をにじませた。


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