「アジアの未来」
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8日の概要

アブドゥルラフマン・ワヒド氏
大統領(インドネシア)
 世界市場勝ち抜く・独立の動きには妥協せず

 アジアにとって重要なのは協調していくことだ。アジア人としてのアイデンティティーを持つことで、世界市場での競争をともに勝ち取ることが可能になる。技術など(を交流させる)色々な形のネットワークをこの地域で発展させて行かねばならない。

 東ティモールをめぐり、インドネシアとオーストラリアは対立した。地域を安定させるには、この三者が互いに友好関係を確立することが不可欠だ。そこで(東ティモール独立運動の指導者)グスマン氏とハワード豪首相に3人で会おうと提案した。

 協調努力を傾注してこの地域の復興と安定を確立するようにすべきだ。これを達成できなければ、状況はさらに悪化するだろうし、将来は暗いものになる。

 数日前に会った国際通貨基金(IMF)のケーラー専務理事は、2000年のインドネシア経済は、従来の見通しの3-4%を上回り、4.5%程度の成長が期待できると言っていた。私はだいたい5%くらい、5.5%くらいまでいくと考えている。輸出は(経済危機の前よりも)増えている。雇用情勢もやや改善してきた。8月以降に投資がしやすくなるような経済的枠組みを提示できるだろう。

 中央の統治が何10年も続いてきたことへの反動もあり、各州が一層の自治拡大を求めている。それをはねつけはしない。その要求の背景にある問題を考え、その問題をなくさなければならない。

 アチェでは(独立派の)自由アチェ運動の人々と交渉しようとした。しかし、イリアンジャヤでは(独立宣言した)住民会議に対してノーと言った。参加を希望するパプア人が入れないなど、会議が重要な条件を満たさなかったからだ。

 政府としては、すべての人々を人道的に扱うということを明確にしている。独立を求める気持ちも含め、自分の考えを率直に表現できるようにしなければならない。ただ独立への動きに妥協することはできない。

 中国系インドネシア人は非常に懸命に働き、インドネシアのビジネス社会の中核になってきた。これからもその活動に期待しているが、一方で他との公平性も必要だ。マレー系の住民が産業界で活発に活動できるよう政府が支援するという、マハティール・マレーシア首相のアイデアは我々にとっても重要だ。


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