「アジアの未来」
NIKKEI NET

フロントページ
速報
8日の概要
9日の概要
会議日程
講師略歴
アジアの未来'99
アジアの未来'98
アジアの未来'97
第5回アジア賞
ENGLISH
8日の概要

孔 魯 明(コン・ノミョン)氏
東国大学碩座教授、元外務大臣(韓国)
 南北会談、平和に道・韓米日の役割分担 不可欠

 日韓国交正常化から35年がたち、両国の関係は韓国で日本の大衆文化が開放されたことを背景に好転している。今後は自由貿易協定の締結などを通して両国の経済関係を進展させることが重要だ。両国の当事者が過去に執着せず協力体制を維持していけば、生産的で未来志向の韓日関係が定着するであろう。

 朝鮮半島問題では、12日から平壌で韓国と朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の首脳会談が開催されることになった。権力の継承を受け、ある程度政権基盤を安定させた金正日総書記が、政権の危機を今後も回避していくためには経済の再建が不可欠であると認識していることを示す。

 韓国は北朝鮮が核・ミサイル問題などで一定の条件を満たせば大規模な経済協力を実施する方針で、北朝鮮も経済再建のために韓国の協力を必要としている。経済協力という共通項が今回の南北朝鮮首脳会談にどう作用するかは、すべて北朝鮮にかかっている。

 今回の首脳会談は南北朝鮮の最高指導者が分断後初めて対話すること自体に意義があり、過度の期待は禁物だ。両首脳が再会を約束すれば大きな成果であり、新しい南北関係を築くきっかけになる。

 北朝鮮が責任ある国際社会の一員として行動するよう誘導するため、韓米日は緊密に協力しなければならない。韓国と米国の間に意見の違いがあるような報道があるが、現段階では韓米日の役割分担が不可欠だ。米国や日本が関係正常化交渉の中で核・ミサイル開発問題により重点を置き、韓国は経済協力を進める。

 中国、ロシアとも協議を続ける必要がある。中ロの警戒感を取り除き、建設的な協力を引き出さなくてはならない。

 朝鮮半島の平和と安定は日本にとっても重要である。北朝鮮のような専制主義政府は世論を意識せず突然変化する可能性があるため、日朝国交正常化交渉が急進展する可能性もある。南北首脳会談の開催が平和定着への第一歩となることを望む。


Copyright 2000 Nihon Keizai Shimbun, Inc., all rights reserved.