村上氏による講演を受け、今後のIT戦略のあり方について、さまざまな発言があった。会場からは、日本を追い越す勢いの韓国がハブになることを目指しているとの意義について質問が寄せられた。
村上氏は「韓国は世界のテストメントになろうとし、結果的にユビキタスITのハブになると予想させる。韓国では、国家が音頭をとって予算をとり、民間企業がプロジェクトを行う。そこからソリューションを見極めていく。家電、半導体、液晶に加えて、住宅、不動産など財閥グループが持つ資産を総動員して進め、役所が支援する。それがテストメントになるのではないか」と応えた。
司会からも、韓国は航空輸送のハブを作ろうと働いた結果、東アジアのハブになっているとの指摘があり、港湾の例も出た。村上氏は続けて、「日本の港湾の情報システムワンストップ化にはいろいろな問題があり、ITの導入と業務改革が連動していないことが問題。韓国では80くらいの手続きを、10程度までまとめあげ、その上でIT化を推進している。日本はやるべきとはわかっていても、すっきりとまとまらない」と解説した。
会場から、人材育成についても質問が出た。セキュリティ技術、OS、語学力などで、日本はアジア各国に水をあけられつつあるがとの問いに、村上氏は「e-Japan評価でも、人材育成は、重点的に評価を行っている」と応えた。ただし、日本はソフトウェア工学を教えて大学が少なく、米国のように研究機関と大学のコラボレーションも未熟だと指摘した。
日本の問題として、厚生省、農林水産省、経済産業省など関係省庁の連携が指摘され、たとえば医療についても利権が絡んでいては、価値創発はできないとの指摘もなされた。そうした問題点について村上氏は「経済産業省のビジョンでは、問題意識を持って取り組み、特に医療分野では評価専門調査会で厚生省のメンバーを招いて議論するなどを行っている。また、連休明けに総務省と経済産業省が合同で情報家電のネットワーク化の検討会を始める予定で、同じテーブルについて同じテーマを議論など、チャレンジが始まっている」と話した。さらに情報家電分野でも、通信と放送の融合をユビキタス改革の中で、連携させていくことが考えられているという。
参加者からは、今後はより全体最適の考え方が重要になるだろうと意見が出た。村上氏は、マクロ経済で解決できず、ミクロのアプローチも失敗した今、ネットワークを活用した提案でセミマクロの需要創造を進めていこうとしている。さらにそこから連鎖反応を起こすことが、ポストe-Japan戦略の狙いであると話す。
サプライサイドに陥りがちな議論を、利用者視点に立った考え方でブレークスルーをしていくことを希望するなどの意見が出て、議論が終了した。
|