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  インターネットガバナンスについて ―ドメイン名を中心に―  


…ドメイン名に関する問題点とICANN設立
…ドメイン名の構造と管理
…ドメイン名管理とICANN、JPRSの役割
…ドメイン名に関するインターネットガバナンスとは何か

堀田 博文氏
堀田 博文氏
堀田 博文氏(JPRS 日本レジストリサービス 取締役企画本部長)

 私からはドメイン名を中心にインターネットガバナンスの動向についてお話したい。

 私とICANNとの関わりは、本研究会の主査である加藤氏とまったく同じタイミングで、5年前の会合から参加している。当時は日本レジストリサービスという会社はなく、国内の通信会社でISPサービスを始めた頃だった。ISPとしてドメイン名は重要な資源であり、今後どうなるのかといった観点から参加した。

ドメイン名に関する問題点とICANN設立

 1990年代後半より米国中心に使われてきたドメイン名の使われ方が変わり、ドメイン名の不足が指摘され始めた。
 また、商標の問題もクローズアップしてきた。ドメイン名が商売の道具、ラベル、屋号として使われるようになってきたためだ。

 インターネットの管理体制は、本質的にはボランティアの組織がつないで、バケツリレー式にパケットが流れる状況だ。つながらなくても、誰が悪いかわからない。ビジネスで使われるようになると、責任のある管理体制にしなければならないとの意見が出た。
 IANAの法的権限、責任範囲も不明確で、ドットコムの登録事業を米国の一企業であるNSIが独占している点も問題だ、という指摘もあった。アメリカ中心に管理体制を作ってきたが、本当にそれでいいのだろうかという議論も出てきた。

 そうした議論から、1998年にICANNが設立され、国際的総意に基づく中央集権を確立し、合法的に存在する非営利、民間の国際組織が運営にあたることになった。インターネットの安定発展に必要な資源管理ポリシーを作ることが目的となっている。

ドメイン名の構造と管理

 ドメイン名管理について議論する際に必要な基本的な知識として、ドメイン名の構造について解説する。ドメイン名は、ツリー構造になっている。頭にルートと呼んでいる「.」があり、その下に「.com」「.jp」といったTLD(トップ・レベル・ドメイン)が連なる。
 その下がSLD(セカンド・レベル・ドメイン)であり、これは利用者登録空間である場合と、「.co」「.ne」などの場合とがある。さらにその下に3LD(サード・レベル・ドメイン)がある場合は、ここが利用者登録空間になる。

 ドメイン名のツリー構造において、各ノードには管理者が定義される。自分の管理のノードの配下は、管理を「委任」することができる。
最上位の「ルート」はIANAが管理しており、「.com」はVeriSignが管理している。「.jp」はJPRSが管理し、その下位の階層は企業などの組織が管理しているという構造だ。

 ドメイン名の管理とは、配下のドメイン名を登録することであり、登録できるドメインは何かというポリシーを決めて、そのポリシーに則って登録する。たとえば、「co.jp」はJPRSが管理しているので、「co.jp」に登録できるドメイン名は日本の法人にしよう、といったポリシーを策定し、それに則って資格審査をし、登録する。

 もう一つ、ドメイン名の重要な管理は、DNSを運用することである。ドメイン名がインターネット上で正しく、快適にアクセス可能になるよう運用しなければならない。

 トップレベルドメイン(TLD)には、「gTLD」と、「ccTLD」がある。
 gTLDは、ジェネリックTLDのことで、com、net、orgなどがある。ドメイン名は、gTLDごとに独立して登録管理する。登録資格や管理方法は、登録組織が決めてICANNが承認する。
 ccTLDは、カントリーコードTLDのことで、国別トップレベルドメインのこと。JPドメイン名はこれに含まれる。原則としてISO3166(カントリーコードが並んだ表)に準拠している。世界に243ある。ドメイン名はccTLDごとに独立して登録管理する。
 登録資格や管理方法は登録組織がローカルインターネットコミュニティーの要望を考慮しながら、ある程度自由に決められる。

 ドメイン名管理者の責務は登録ポリシーの作成・運用である。その際に、以下のような観点で作成している。

  ・公益:インターネットコミュニティーに益をなす。
  ・公平・中立:益をなすような運用は、公平であり、中立であること。

 DNS運用については、安全、信頼、性能が求められる。

ドメイン名管理とICANN、JPRSの役割の役割

 ICANNでは、21名から構成される理事会があり、アドレス支援組織(ASO)、gTLD支援組織(GNSO)、ccTLD支援組織(ccNSO)から各2名が参加し、バランスを取っている。
 ドメイン名に関するICANNの役割は、gTLDとccTLDでは大きく異なる。gTLDでは、管理者がポリシー設定を行い、ICANNが承認する。登録管理組織を認定するのは、ICANNで、ルートサーバ内データの責任はICANN内のIANSAが持つ。
 ccTLDは、グローバルなポリシーとローカルなポリシーが重なっており、国ごとにポリシーが異なる。管理者がポリシーを設定し、ローカルインターネットコミュニティーや政府が承認する。

 日本の場合はJPRSが設定し、パブリックコメントなどで意見を募る。国よっては政府が承認する国もあり、政府が管理者そのものである国もある。
 JPRSは、JPドメイン何のccTLDの登録・管理を行っている。日本国内のインターネットコミュニティーと、日本国政府、JPNICが協議しながら監視をしており、きちんとやっていないと判断され、改善の見込みもなければ、JPRS以外の団体に変えられる仕組み。ICANNと契約し、情報提供や情報収集、ポリシー策定提案もしている。
 国内においては、JPドメインの管理者であり諮問委員会を持つ。また、JPドメインのDNS運用に当たっている。


ドメイン名に関するインターネットガバナンスとは何か

 今回のテーマのインターネットガバナンスは、ここに参加するみなさんが指摘するように明確な定義はない。発端は資源管理関係者間での文脈から出てきたもので、インターネット上の通信が確実・円滑に行われるように、ドメイン名やIPアドレスなどのレジストリ管理やDNS管理を行い、さらにドメイン名登録の制度の策定・運用、DNS管理なども行う。
 さらに、ドメイン名の登録が競争原理に基づいて最適化される制度の策定・運用が必要な上、ドメイン名の不正な目的による登録・使用を排除する制度の作成・運用を行っている。

 しかし、最近は管理だけでなく、経済、社会全体に関する問題も含むようになっている。ドメイン名に関するガバナンスでは、ICANNは成果を上げ、世界レベルではコミュニティーとのコンサルテーションのプロセスが有効に働いていると考える。自律的に改善の方に向かっているが、問題解決スピードに、若干、問題があることは否めない。

 WSIS(世界情報社会サミット)で各国が協力して解くべき課題には、公平な相互接続、安全な電子商取引、デジタルデバイド、プライバシー、スパムメール、多言語化などがあり、ドメイン名管理はその中のひとつのポイントに過ぎない。ドメイン名の資源管理資源管理のガバナンスに関しては、日本のモデルを各国に紹介し、手本となっていきたい。
 その上でガバナンスの中でも、より重要な解くべき問題を提起していく必要があるだろう。

End