世界情報通信サミット2005ネット会議
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 世界情報通信サミット(GIS)2005では、毎年恒例となっているネット会議を1月20日から2月26日まで開催した。
 今回のネット会議では、本会議のテーマである「デジタル@ホーム」と「IT全般」の二つの会議室を設置して、掲示板と同報メールを併用する方式で議論した。
 参加者は約250人で、昨年に引き続き、技術、法律、ビジネスなど、専門分野は異なりながらもITについて深い関心を寄せるメンバーが、いろいろな問題を多角的に議論した。発言数は229本、書き込まれた文字数は約30万字(単行本3冊分)に上った。
 ネット会議開催中に、ワープロソフト「一太郎」の特許侵害判決や、ライブドアによるにニッポン放送株買収などの事件が起こり、議論は白熱した。
 司会役は日経デジタルコア事務局代表幹事の坪田知己が務めた。
 議論の内容をテーマ別に要約して下記に紹介する。カッコ内は発言番号。



会議室 A デジタル@ホーム

要約・目次
A) デジタル音楽のコピー制限 B) グランドスラムへの企業間競争の行方 C) ライブドアのニッポン放送株買収問題について
D) コンテンツの編集サービスについて E) 未来予測ムービー「EPIC2014」について F) パソコンとテレビの関係
G) デジタルガーデニング H) デジタル家電のOS I) PDAはなぜ普及しないか
J) その他の主要な発言        


会議室 B IT全般

要約・目次
A) スキミング被害と教育について B) IP電話・スカイプの衝撃 C) 「一太郎」特許判決について
D) 質の高い社会の構築とIT E) その他の主要な発言    



 会議室A デジタル@ホーム 要約A デジタル音楽のコピー制限
  前川徹氏(富士通総研)【008】は、「日本の音楽配信に利用されているDRMによる利用制限はちょっと厳しすぎるのではないでしょうか」と、日米の差を紹介し、「日本も、もう少し利用制限を緩くして、価格も100円均一にするべき」と述べた。

 これに、中野潔氏(大阪市大)【010】は、「日本の著作権法の特徴は、米国でいうフェアユースに相当しそうな案件について、詳細に条文で定めていることです。私的使用のための複製、公共図書館での複製、学校教育の中での複製などです」「米国では、フェアユースと判断されれば、各種の複製や変換を実施しても免責されるが、フェアユースにみなされる範囲は時代や状況により、変わりるから、最終的には訴訟でもめてみないとわからない」と解説して、日米で、どちらかの法律が特に著作権者側に甘いとは、いえないのではないでしょうか」と述べた。

 これに、須川賢洋氏(新潟大学)【013】は、「(1)著作(権)者に対する権利制限を緩くして(著作権の及ぶ範囲を広くする)、私的複製においても許諾・課金が必要なようにする。(2)その上で、市場原理にあった適正価格で著作物をやり取りする。その一例として音楽の100円均一ショップが誕生する。(3)徴収した対価が、著作者にきちんと還元される仕組みを作る」という須川案 を提示した。そして「アメリカ型の『大枠だけを決めておいて、詳細はその都度決める』というやり方の方が進歩の速いデジタル社会には適合しやすい」と述べた。

 さらに須川氏【016】は「現在デジタル媒体で流通している著作物の著作権料と称される物は実際には、最初に創作した著作者にまでたどり着かないで中間業者の間で滞留している場合がほとんど。よって、より制限すべきは(狭義の)著作権ではなく、著作隣接権であるべきであり、やはり作家には確実にペイバックできる仕組みを作ってあげるべきだと考える」と述べた。

  中野氏【021】は、米国でVTR自体を著作権法違反とはしないという判示を米最高裁が見直すかも知れないという動きに触れて、「実際には、著作権者にどんどん有利になっていきそうです」と憂慮した。

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 会議室A デジタル@ホーム 要約B グランドスラムへの企業間競争の行方
 小池良次氏(ジャーナリスト)【056】が、コンピュータ業界、通信業界、家電業界、コンテンツ業界のポジションと戦略をまとめたレポートを書いたことを紹介したのをきっかけに、デジタルライフと企業戦略についての議論が盛り上がった。

 村上裕康氏(ITコンサルタント)【065】は小池氏のレポートに対し、「パソコンがオフィスワークに革新をもたらしたように、STB(セットトップボックス)が家庭の新たなデジタル・ライフを創り出していく」「茶の間のテレビから電話、インターネット接続などのサービスにアクセスできるようになって初めて、消費者がデジタル・ライフに触れ実感できるようになる」と感想を述べた。

 それに小池氏【068】は、「普通、ケーブル・テレビ事業者とかISPとか、サービスをまとめる事業者がこのマルチ・ベンダー環境で動くようにアプリケーション統合を行うわけだが、日本のいまの状況は、軸になる事業体がないままに走っている」と問題を指摘した。

 村上氏【073】は、これに、「日本では業界ごとの縦割りによる(垂直統合的)アプローチは得意ですが、業界間の競合あるいは協働による(水平分業的)アプローチは不得手」と答えた。
  また、「著作権による制約のため、TV放送をIPで再送信できない」「伝送容量の制限のため、TV映像相当の画質で数百チャネルのTV番組をIPで送信できない」という問題がデジタルコンテンツ普及の障害になっていると述べた。

 これに、小池氏【076】は、「米国では、ベストのパーツやサービスを調達して、ベストの商品やサービスを作り出すものが、ベストのプロバイダーという意識が強いです。ですから、コンテンツをまとめあげる『アグリゲーター』を尊重する風土があります。その点が、やっぱり違うように思います」と述べ、また村上氏が指摘した伝送容量の問題でも、「IP網は相当厳格なQoSが必要となる」と答えた。

 深谷良治氏(NTTレゾナント)【082】が、1)「米国ではグランドスラム(放送、電話、インターネット接続、モバイル)の動きはあるのか」、2)「茶の間のテレビはそのままテレビなのか、茶の間にパソコンが進出するのか」の2点を質問した。

 これに、小池氏【088】は、1)について、「昨年後半ぐらいから米国では、水面下で動きが激しくなった」と、コムキャストなどの動きや、クワルコム社の子会社メディアフロー社が準備している携帯向けテレビ放送などの動向を報告した。また、2)については「ウェブTVなどの失敗例を考えると、パソコン(ラップトップ)が、そのまま茶の間に入ってくるのではなく、パソコン機能がAV機器(TV、ラジオ、ステレオ、DVR、デジカメなど)に搭載されるんでしょう。そこで、メディア・サーバーがバックオフィス的に全体を結びつけるのが標準的なモデルでしょうか」と述べた。

 藤原洋氏(インターネット総合研究所)【090】は、「グランドスラムは、水平統合の組み合わせが現実的で、ユーザーメリットがあるように思います。IPインフラを使う放送サービスには、オンデマンドで同時に10チャンネルも選択できるQoSチャンネルだあれば十分だと思います」と述べた。

 深谷氏【091】は、小池氏【088】の返事に、「パソコンはパソコン、TVはTVで、別個に置かれていて、AV機器も含めて無線でつながっているというような形が、将来の茶の間の絵姿の気もします」などと述べた。

 吉川剛史氏(NTTコミュニケーションズ)【095】は「日本でのFMCに関して言うと、日本の携帯キャリアが卸しサービスをいつ導入するのかに興味があります」と述べた。

 小池氏【100】吉川氏【095】の発言に、「日本の場合、3Gの普及期で、価格競争が厳しく、通信事業者もメーカーも薄利多売に苦しんでいるのではないでしょうか。その状況では、なかなか再販できるだけのマージンが確保できないように思えます」と答えた。

 新保豊氏(日本総合研究所)【094】はグランドスラムのモバイルについて、「例えば、a)電波資源の制約に対する資源効率化の目処や、b)本格的な定額制の導入ができるか、言い換えると、1. そのための基地局方式を含むより効率的なインフラ整備が果たしてできるのか、2. 一時的な収益(ARPU)低減に体力面で耐えうるのか、といった条件をクリアできて初めて実需になるものと想像する」と述べた。

 これに小池氏【099】は、「トリプルプレーの前哨戦として、VODにおける価格交渉が大手(コムキャスト)とハリウッドの間で進んでいます。今後数年の間に、徐々にコンテンツは安くなり、定額制へと移るでしょう。、直感としてはトリプル・プレーでも、その方向にあります」「日本と米国ではグランドスラムの形態が違うことは、その通りだと思います。そもそも、米国は国土が広いので、日本のような高密なサービスは展開できませんよね」と述べた。

 新保氏【104】は、日米のトリプルプレーをめぐる業界構造について、「NTT持株会社には、NTTドコモを傘下に置き、ドコモの成長力やキャッシュフローに大いなる関心をもちつつも、東西会社(固定)とドコモ(モバイル)の資産や経営リソースをそのまま結び付けられない実態がある。FMC戦略では自ら先手を打つことができにくい。恐らく、KDDIやソフトバンクあたりが本格的に動き出さない限り、動けないでしょう」と述べた。
 さらに、「NHKが日本の津々浦々ローカルなコンテンツまで吸い上げ、放送してしまっている実情などからすると、ローカルを売りにできるようなCATV市場の発展はなかなか望めません。この独占的な主体(事業者)が、実は日本のグランドスラムを阻んでいるとも考えられるわけですね」とも述べた。

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 会議室A デジタル@ホーム 要約C ライブドアのニッポン放送株買収問題について
 唐澤豊氏(データメディア)【070】が、ライブドアのニッポン放送株取得問題を取り上げ、「彼らのねらいが、トリプルプレイの実現の方向であるならば、腰の重い放送業界にパンチを浴びせる形で、面白くなりそうですね」と参加者の見解を求めた。

 これに藤元健太郎氏(D4DR)【087】は、放送局、通信事業者、ネットサービス、アップル・マイクロソフト、メーカーなどの陣営の争いになると予想し、「やはり最後は顧客としっかりコミュニケーションできて、サービスとしてお金もらえる相手と見てもらえるところが勝つと思っています」と述べた。
 
 藤原洋氏【092】はこの問題で、「米国では、ネットバブル崩壊でインターネット系インフラ企業には、体力がなくオーナー創業者も実権を失った。日本のインターネット系企業は、既成観念にとらわれない、元気なオーナー系の起業家が主導しており、ブロードバンド、モバイルのインフラの充実した環境を活かして相対的に株高でもあり、放送業界を飲み込むエネルギーに溢れているこれから色んなことが始まりそうだ」と述べた。

 新保豊氏【094】は、「欧州では、放送の伝送部分(ネットワーク)に関しては、通信と共通の制度の下に置かれることのようです。そうなると、今後の放送事業者において最後に残るものは、インフラ設備(資産)などではなく、制作・編集能力(見えない資産)ではないかと思います。規制をはずせば、恐らく体力のある通信会社は放送系事業を簡単に手に入れることができると思います。ただ、放送側は、“メディア”をもっていますので、通信側を十分牽制するパワーを現在のところ持ち併せており、通信側の思惑通りにはそうは簡単には進まないとは思いますが…」と述べた。またニッポン放送株買収について「『失うもの』がない企業が、いろいろなレガシー(資産)をもっているゆえに身動きができにくくなっている企業へ攻勢を掛けている(新たな金脈を掘り当てようとしている)という図式が今日の状況かとも思います」「今のスカイプの動きは、私達が気づかぬ内に金脈を掘り当てる方向に向かっているのかも知れません」とした。

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 会議室A デジタル@ホーム 要約D コンテンツの編集サービスについて
 コンテンツの編集についても議論があった。  校條諭氏(未来編集)【071】は、「今後消費者にとってのコンテンツの『編集』を助けてやるサービス(コンテンツ編集支援サービス)が重要になるのではないか」として、「編集対象はプライベート・コンテンツだけでなく、コマーシャル・コンテンツにまたがるに違いありません(個人用途ということで著作権の問題はクリアするという前提)」と述べ、動画編集にも触れた。
 これに小池良次氏【075】は「umixit」という、プライベート・コンテンツのようにユーザーが創作する楽しみを認めている音楽CDを紹介し、「著作権や収益モデルが大きな壁になっています。ですが、なにかの拍子に、この壁はもろく崩れるかもしれません。違法P2Pでダウンロード・ミュージック市場が生まれたように」と述べた。

 校條浩氏(Menjo Venture Partners)【085】は、米国で急成長しているFlickrという写真サービスを紹介して、「写真を中心にしたマルチメディアのブログと捉えたほうがいいかもしれません。ユーザーがアップする写真の多くは、ユーザーが「パブリック」扱いを許可するので、誰でも閲覧できます。 写真を通してソーシャル・ネットワークやコミュニティができてしまう威力があります」として、大きな成長を予測した。

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 会議室A デジタル@ホーム 要約E 未来予測ムービー「EPIC2014」について
 昨年秋から、ネット上で公開されている、メディア業界の未来予測フラッシュムービー「EPIC2004」について吉川剛史氏【048】が「これを見ると、最終的には『パーソナライズされたネットへのゲートウェイを誰がどのように提供するのか?』という一点にサービス競争上のゴールが集約されてくる気がします。既存のメディア、テレコムインフラ・サービス事業者、ネット上の単一機能提供事業者にはもうあまり時間はない」と紹介した。

 これを受けて、唐澤豊氏【089】は、「Google+Amazon対MSという2強が対立するということですが、Googleの今後の動きは注目されますね」と述べた。

 新保豊氏【097】はEPIC2014について「私たちが今、全然予期し得ないような主体が、‘Evolving Personalized Information Construct’を成し遂げるとすると、マス媒体としての放送・メディアは神通力を失ってしまうのかも知れません。これまでの発想の延長にある『通信と放送の融合』、あるいは『通信側による吸収・統合』とも別世界のようです」「パーソナルなレベルでの情報発信や、その存在感そのものが、モノを言う世界ですね」と感想を述べた。

 吉川氏【096】は、EPIC2014について、「GoogleやAmazonの面白いところは顧客の消費者属性情報を効率よく集めているところで、これは実は既存のメディア会社や広告出稿事業者が喉から手が出るほど今欲しい情報です。日本でマス4媒体に投下されているお金(広告宣伝費や販売促進費の総額)は約15兆円ほど、今このお金が新しい行き場を探しています。そういう意味ではGoogleやAmazonなどが『メディア化』するとそうした流動化した資金を呼び込んで新しい秩序が生まれる可能性があります」として「堀江氏の目のつけどころは間違っていない」と述べた。

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 会議室A デジタル@ホーム 要約F パソコンとテレビの関係
 深谷良治氏【082】が「茶の間のテレビはそのままテレビなのか、茶の間にパソコンが進出するのか」の2点を質問した。

 これに、千村保文氏(沖電気工業)【093】は、「米国では文字入力の手段としてタイプライタが根付いている文化で、リビングでも結構パソコンが入り込むのではないかす。一方、日本ではリビングを支配しているのはAV機器であり、それをコントロールするリモコンであったりする。この辺の違いは、ホームにデジタルがどう入ってくるかを考えるときのひとつの切り口になる」と述べた。

 これに小池良次氏【098】は、「日米ともにキーボート離れをしている。一方、パソコンの家電化では、日本が世界の先端を走っている。このパソコン上での家電機能の実現は、日本ですが、ここでも家電機能の操作にはリモコンだけを利用する傾向が強まるのではないか」と述べた。

 千村氏【101】吉川剛史氏【095】について、「リモコンやインタフォーン感覚の装置が家庭で利用する際に問題となるのが、制御する対象の多様化とマルチベンダ化です。従来の単独装置の制御というわけにはいかなくなってきます。この辺の「インタフェース」を単に技術的な観点だけでなく、家族や家庭の「インタフェース=接点」という観点でまとめてゆくべきではないかと思います」と述べた。

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 会議室A デジタル@ホーム 要約G デジタルガーデニング
  小林一氏(都市再生機構)【015】が、「植物や天候の状況に応じて自動散水ができるような装置ができないか」などと、とデジタルガーデニングというアイデアを披露した。

 これに中野潔氏 【019】校條諭氏【024】が反応し、校條氏は「屋外でのスポーツ、フィットネス、散歩、ショッピング、旅行など・・・もういちど家庭内外の個人行動を虚心坦懐に洗い直してみる必要があるのかもしれないと思いました」と述べた。

  小林氏【037】はさらに、「増えた株は品種を創造者の権利と増やしたり育てた人のノウハウの合作だということもできます。もしかするとオープンなネットワーク上での『個々人の交換』が進むと、園芸にとどまらず植物関連産業の構造を変えてしまうかもしれませんね」と新しい関係性の創造について述べた。

 小林氏【044】は、デジタルガーデニングに「IPv6社会でのアドレス付与」の考えを述べ、「ひとつひとつの植物の様子を察知し(センシング)、お世話をすることがITを使ってよりきめ細かくできるというは、ハイタッチという意味でもより高度な園芸へと進むことになる」と述べた。

  これに中野氏 【046】は、「市民による植樹や森林トラストなどの振興においては、1本1本の樹木が識別できるか否かが、思い入れの醸成度合いに関係する可能性が高い」などと、樹木にRFIDをつける利点を挙げた。

 小林氏【067】は、「バーチャル、メンタルもいいが、フィジカル(当然ながらリアル)ということも大切だ。そこを忘れると家族とかコミュニティなどの人間関係や自然との関係がおかしくなってしまうのではないか」という知人の発言を紹介した。

  これに校條諭氏【069】は「デジタルとヴァーチャルのウェイトの高まるなかで、身体性への注目が今後ますます高まるのではないでしょうか」として、「家庭の園芸というものも、人工の力を借りた“自然”としての価値をますます高めるのではないでしょうか」と述べた。

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 会議室A デジタル@ホーム 要約H デジタル家電のOS
 斉藤哲生氏(パスコ)【050】が「デジタル家電の相互接続やコンテンツの流通と関連すると思うのですが、搭載されるOSはどのようになっているのかを知りたい」と質したのに対し、佐藤一郎氏(国立情報学研究所)【051】は、これについて、「今後の動向としては興味深いのはマルチコアプロセッサです」などと述べた。

  河村明氏(NTTコミュニケーションズ)【052】は、斉藤氏【050】の質問にBlogでの例を挙げて、「アプリケーションの共通化というよりもむしろデータが標準化されて扱いやすくなることが重要ではないか。たとえば、blogでは標準化されたコンテンツ(データ)のやりとりが違ったサービス間で行われている。データが標準化することで、アプリケーションに依らずコミュニケーション出来るしかけ、それが、OSやデバイスに依らず、コンテンツを流通を促進する鍵だと思う」と述べた。

  木村誠氏(新潟経営大学)【057】は「コンテンツ流通では、メタデータの共通化がされれば、OSもアプリケーションも何でもいい」として、要点を説明した。

  河村氏【058】は、「ポイントは、データ形式やインタフェースのオープン化。そこがあって、有力なアプリケーションが登場し、そのインタフェースやデータ形式が一般化する。オープンの範囲が限定されるとコンテンツの流通は始まらない、アプリケーションの利用も進まない」と述べた。

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 会議室A デジタル@ホーム 要約I PDAはなぜ普及しないか
 校條諭氏【012】が、「携帯やもうひとつの端末をいったいどんな形にして、何を乗せていくのか」と問題を投げかけたのに対し、高村俊彦氏(埼玉工業大学)【025】は、「PDA(携帯情報端末)はなぜぴったりの商品に育たないのでしょうか」とさらに質問を投げかけた。

 中島秀之氏(はこだて未来大学)【028】は、「私はひとえに入力の問題だと思っています。キーボードの生産性が一番高いので私は重いけどPCを持ち歩いています」「実は以前からこの入力のハンディが日本社会に大きなハンディとなるのではないかと考えています。アルファベット国民は入力が格段に楽です。日本語(一般化して多文字言語)用の入力を考える必要があると思っています」と述べた。

 水野隆一氏(野村総合研究所)【029】は、同じPDAの問題で、「携帯電話は、ほとんどが個人ユーザー。個人ユーザーにとってはメールが必須であとは若干のゲームや情報検索ができればよい。その点では、特別な設定なしに通信ができる携帯電話は実に便利。PDAの通信環境はPCよりも脆弱です」「PCユーザー(外で使う人限定)は、ほとんどが企業ユーザー。企業ユーザーにとっては、やらなければならないことは多いですが、PDAはほとんどの機能がありません。企画書作成?企業システムへのログイン?セキュリティ?ほとんどが脆弱で、今後の発展可能性も薄いです」と、中途半端さが普及の壁になっていると述べた。

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 会議室A デジタル@ホーム 要約J その他の主要な発言
  松本功氏(ひつじ書房)【023】は、「iPod自体が、音楽の入れ物であるわけですが、それは手に入る小さな入れ物と言うだけではなく、それで音楽を聴いている人自身を一つの入れ物に入れる、人間一人分の等身大の入れ物なのかもしれません。持ち運べる個室というわけです。デジタル化され、ネットワーク化されたホームは、もしかしたら画一的なサヤ(=ポッド)になってしまっているのかもしれません」との感想を述べた。

 飯坂譲二氏(カナダ・ビクトリア大学)【026】は、DVD業界が行ってきたリージョンによって規格を分離するという努力が実らなかった例を挙げ、「デジタル@ホームを考える上で、その功罪が影響する範囲がグローバル化していることをどう評価していくか、ネガティブな要素がある場合にはどうしたら、そのネガティブな面を低減ないしはその負の面を消していくかを考えていく必要があると思います。日本に文化は独特だからというせりふのみでは、やはりグルーバル化時代の異端児になりかねないという心配をしています。世界をリードし得る個々の技術は多くあり、それをグローバル化を踏まえてどうインテグレートしていくか、そのためにはよいリーダーが望まれます」と述べた。

 碓井聡子氏(富士通総研)【031】は、「企業の商品開発・市場投入の考え・スタンスが変わりつつあるように思います」「以前:ニーズをかなえる商品開発をし、確信をもちながら満を持して市場に投入し、商品を浸透させる」「最近:『使えそうな』技術・商品を開発したら、とりあえず市場に出してどのように使ってくれそうかを試し見極める。ダメなら即引き上げ」−−と述べ、その理由として、「生活者、特に若い世代は、商品を見て『自らの持つ要求』に気づき、更に『発展させる』『自分の要求に合わせて使いこなす』ということなのでしょう」「いい意味でメーカーの期待を裏切る生活者が増えていて、メーカーもそれをわかった上でその発展性に期待しているのだと思います」と述べた。

 岸上順一氏 (NTT)【042】は、「(日本の家電メーカーにとっては)おそらくビジネスモデルの変更が必要なときだと思います。白物家電のように差別化技術を持つか、コモディティ化されたデジタル家電では、売ってしまうのではなく貸すという思想が必要だと思っています。即ち所有権の移転ではなく、使用権を売るということです」と述べた。

 力武健次(KDDI研究所)【103】は、アマ無線家の立場から、電力線ネット(PLC)に対する混流の問題で、「PLCについては、アマチュア局のみならずすべての短波を利用する無線局に対する重大な脅威であり、特に家庭内を超えた屋外配線での利用は許されるべきものではない、と考えています」と主張した。

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 会議室B IT全般 要約A スキミング被害と教育について
  坪田知己【002】がゴルフ場でのキャッシャカード・スキミング事件で「技術的には、手近に道具があれば、ちょっとその気を起こせばそういうことが出来てしまう。子供が手を出して人生を誤るがとても怖い」と述べたことについて、唐澤豊氏【007】は、「スキマーが売られるとか、偽造やスキミングのHow toなどが雑誌などに掲載されて販売されるということが堂々とまかり通る日本の社会はおかしい。取り締まりの対象にすべき」と述べた。

  尾花紀子氏(IBMビジネスコンサルティングサービス)【008】は「『次世代を担う子どもたちがどうなるか』とか『迷惑や犯罪を誘発する可能性』なんて知ったことじゃない、やりたいことや儲けられることを行使して何が悪い、というような『一部の勝手な大人たちのエゴイズム』が規制できない先進国なんて、日本以外にあるのでしょうか」として、具体例を紹介し、「『利用する側も取り締まり対象』にしなければいい方向には進んでいかないと考えざるを得ません」とした。

  楠正憲氏(マイクロソフト)【016】は、「悪いことをする手段を奪うことは、子供に倫理を教えることにはならず、自分の頭で考える力や、社会と接する機会を奪うことにしかならない」「子供を放っておくと自分が責任をとれないほど悪いことをしでかすに違いないと考えて仕組みに頼ろうとするようでは、家族の基本的な信頼関係が破綻しているのではないか」などとコメントした。

 中野潔氏【027】は「目の前にあるかも知れない子供たちへの危機を考えると『コミュニティーのお節介力の復活と情報通信技術の駆使との組み合わせ』というスイッチをオンにせざるを得ないのではないか−−と最近感じています」と述べた。

  高木寛氏(インターネットプライバシー研究所)【032】は、子供の教育の問題で、「多くの親や教師、自治体、地域ではインターネットの中がよくわからないので手をこまねいている。子どもたちにモラルに関して理解してもらうためには、その前提としてコミュニティであったり、スキンシップが必要なことはサイバースペースでも同じだ」と述べた。

 高木浩光氏(産業技術総合研究所)【038】は、「もし裕福な家庭の子供が通う学校だけがランドセルにタグをつけていたら、悪い人が、受信機を使って、どっちの方向に子供がいるかを探知するかもしれません。この家の子供を狙おうと思った悪い人は、夜のうちに家の外から電波を受信して番号を確認しておいて、あとは、登下校の時間に、同じ番号を発信する子供が数十メートル以内に入るのを待つこともできてしまう」などという危険を提示し、「問題なのは、リスクが、父兄や子供達の目に見えなくなっていること」と述べた。

 さらに高木浩光氏【040】は、「ICカードの安全性が世間に理解されはじめたのをいいことに、そこに便乗して、安くて安全でないICタグを、あたかもそれと同じように使えるかのごとく宣伝されようとしている」と警鐘を鳴らし、「安全でないものを安全であるかのように宣伝されるようになってくれば、不当表示防止法で取り締まる必要さえ出てくると思います」と述べた。

 これに夏井高人氏(明治大学)【048】は、「不当表示防止法だけではなく製造物責任法の適用も問題になる。安全でないタグを販売した結果、泥棒の餌食にされた場合、過失による不法行為責任や債務不履行責任を負うようなこともあり得るす」などと、高木氏の主張に沿った法律的な考えを述べた。

 高木浩光氏【042】は、1981年に起きた事件で預金返済を求めた民事訴訟の最高裁判決を取り上げ、「最高裁の裁判官たちは、技術的な装置のことを、神により創造されたものだとでも思っていらっしゃるのでしょうか。人が作り出している限り、その技術を知っている者はいるのが自明なのに、どうしたことかと首をかしげます」と技術的な問題への無知を嘆いた。

 これに内田勝也氏(情報セキュリティ大学院大学)【058】は、「問題は、20数年前の裁判結果を後生大事にしている事の方が問題ではないでしょうか? 技術は5年も経てば当時と同じではありません。それをいつまでも最高裁の判決があったからという方々(金融機関だけではありませんが)にも問題があるのではないでしょうか?」と述べた。

 また内田氏【085】は、「金融庁=現在のキャッシュカード(含デビットカード)、クレジットカード等の利用方法に即した法律の策定。金融機関(銀行、協会) =現行約款の改定:消費者取引法的な考えに基づく必要があるのではないか? 回線上の暗号化、金融機関等包括補償保険対応。警察 =新しい犯罪への対応を迅速に行える仕組み作りが必要では? 検察(裁判所)=ハイテク犯罪に対応できる裁判官、検察官を増やす必要があるのではないか。利用者(個人)=生年月日、電話番号等を暗証番号として使わない」などの対応法を示した。

 さらに内田氏【088】は、「キャッシュカードのICカード化=フランスでは、80年代中頃からキャッシュカード(デビットカード)とクレジットカードのICカード化が行われ、カード犯罪が激減(10分の1程度)した」と追加した。

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 会議室B IT全般 要約B IP電話・スカイプの衝撃
 IP電話「スカイプ」が全世界に普及していることについて、坪田知己【033】が「IP電話が普及して、結局通信会社はどうなっていくのか。その影響度は?」と質問したのに対し、本荘修二氏(本荘事務所)【035】は、「ガレージベンチャーの規模でしかも、多国籍チームである」ことを脅威とした。

 会津泉(ハイパーネットワーク社会研究所)【036】は、スカイプの使用感を述べ、「通信会社は、ますますパイプ部分に特化することに迫られる一方、その上でのサービスは、別の事業体が音声であれ、テキストであれEコマースであれ、別のビジネスモデルで展開する、ことになる」「スカイプに特化したようなマシン、PDAやらiPod的なマシンの進化が始まっておかしくないと思います。」と述べた。

 広瀬正氏(日立アメリカ) 【037】は、シリコンバレーの状況として「儲け話に感度の高いVCがスカイプに投資をして応援している」と述べた。

 小池良次氏【039】は、スカイプについて「電話会社にとってのインパクト(経営面)は、たいしたことはない。IP網の付加価値アプリの一つと位置づけてみるのが、経営的評価ではないか」「電話は距離じゃなく、話した時間数で課金する。ですから長距離電話会社はなくなりますね」として、「放送と電話事業を一緒にやる総合デジタル・コミュニケーション会社が生まれる」と予想し、ロードマップを予測して、「ブッシュ大統領の任期が終わる頃には、ベライゾン、SBC、コムキャスト、タイムワーナーが放送・電話・ISP・モバイルを舞台にデジタル・ライフスタイルで競争を展開する」と述べた。

 神成淳司氏(岐阜県庁)【045】は、「私が連携をしている、(アジアに設計部門や営業部門を置いている)地場(岐阜県)の製造業へのスカイプへの広がりが急速に見られる。従来、ITに対して抵抗感をもたれていた中小製造業各社において、まさに激震とでも言うべきショックを与えており、その余波は、しばらく広がっていく事が予想される」と述べた。

 藤原洋氏【078】は、「IPによる技術革新と産業界への普及の結果として、距離に依存する通信事業は終焉するが、一方、アクセス網は、ユーザーとの直接の接点であり、ますますアクセス網を有する通信事業者の企業価値は、増大する。WiMAXやPLCなど様々な技術は、登場するが、通信方式の技術というよりも直接料金徴収可能な顧客数が企業価値を決めるようになる。そういう意味では、インフラ事業の再編後の全く新たなAOL型ではないISPが浮上してくるように思える」と述べた。

 唐澤豊氏【079】は、「P2Pの測り知れないところは、利用者のエネルギーがどれだけこれに注入されるかということも加味しないといけない」「携帯電話の初期は25年くらい前の自動車電話からスタートした。現状のスカイプだけを見て侮るなかれ」として、「日本の通信事業者大手3社にはスカイプのことなど全く理解されていないのではないか」と危惧した。

 小池氏【080】は、「巨大通信市場に激震を与えているのは、1)インフラとサービスが分離、2) ワイヤー・ワイヤレス・マイグレーション(固定電話から携帯電話へのサービス移行) 、3)放送と通信の統合、3)家庭と職場を結ぶデジタル・ライフ時代の模索−−と指摘した。

 藤原氏【090】は「スカイプは、IPのインフラ上に登場したキャリアサービスのエッセンスを純粋なアプリケーションで実現したもので、このようなアセットをほとんど自前で持たずに実装できているところに新たなビジネスチャンスを予感させるサービスだと思います。重要なことは、かつての電話交換網のインフラ上にISPが登場した頃と類似したビジネスチャンスがアイデアと実行力次第で世界中の誰にでもあるということだと思います」と述べた。

 唐澤氏【094】は、「現在の日本の通信市場は固定+携帯で約12兆円くらい。月額固定で一人250円というサービスでこれらを置き換えると、日本の通信市場は10分の1の約1兆円になる。スカイプはP2P型で、コストはもっと安い。現在約50人の社員がSOHOを中心に働いている。50人が食っていける収入は年間5億円、月間4千万円もあればいい。贅沢言って10倍の50億円。4千万ユーザーのうち、お金を払ってくれる人が1割とすると4百万人。この人たちが月間平均100円使ってくれればいい。別にあぶなっかしビジネスでもない」と試算した。

 小池氏【096】は、『10分の1通信市場時代』について、「電話だけで食えなければ、垂直統合や水平統合、業種を超えた統合をできる環境を作って、電話会社にうまく生き残るように、出口を作らないと行けない。そうしないと、消費者は結局、税金や失業・社会不安と言った高いコストを負担することになる」と警鐘を鳴らした。

 本荘修二氏【099】は、「10分の1通信市場時代」について「移動体の方での認識はまだまだ」と見て、「携帯電話はWiFiなど無線のインターネット電話にそれが代替される可能性がある。流れは不可逆です。従来の携帯電話は、田舎とか人が集まらないところや高速移動での用途に追いやられてしまうことも考えられる」と警告した。

 小池氏【103】は、「米国では全国市場→ 携帯データ事業者、地域→ WiMax、次世代WiFi(802.11+MIMO)あたりが混在 、社内&家庭内→次世代WiFi(802.11+MIMOあるいは802.11n*) が覇者になる」と予測し、一方で日本は国土の狭さから、「全国ネットワークの影響力が大きくなる」と、大手携帯電話会社の強さを評価した。

 さらに小池氏【106】は「NTTグループを取り囲む状況は、数年前のベル会社の環境と同じで、政策的にも、消費者の意識的にも、がんじがらめで次世代への経営戦略がなかなか取れないように思います」と感想を述べた。

 校條浩氏【121】は、「『通話』そのものは限りなくコモディティ化する。携帯も早晩にコモディティ化する。ハードウェアもソフトウェアも同様。単機能の製品・サービスはデジタル化・IP化によってコモディティ化が急激に進み、付加価値のより大きなパッケージングが鍵になる。単機能で業界を分けてきたり、法規制を課してきた通信・放送業界では、今までのルールがすでに破綻寸前だ。『いくさ』の舞台(すなわちインフラ)は整った。アンシャン・レジーム(すなわち既存の業界ルール)を壊すべく「いざ出陣!」と言える部隊を持つ企業のみが生き残る可能性がある」と結論づけた。

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 会議室B IT全般 要約C 「一太郎」特許判決について
 坪田知己【049】が、東京地裁が「一太郎」の製造・販売禁止という判決を出したという報道について、「この判決の妥当性を伺いたい」とネット会議メンバーに呼びかけた。

 佐藤一郎氏(国立情報学研究所) 【050】は、「ソフトウェア同士の操作性やユーザインターフェースが互いに似てしまうの避けられない部分がある。このため、ユーザインターフェースには基本操作を発明として保護すると、個々のソフトウェアによって操作性が大きく異なることになり、最終的にはユーザには不都合になります」などと述べた。

 根来龍之氏(早稲田大学)【059】は、「私としては、法律問題としてではなく、ここは『特許って何のため?』という原点に返って考えたい。今回の判決はソフトウェア産業の発展に貢献するのか、ひいては利用者の利益になるのか疑問を感じざるをえません」と述べた。

 これに、中野潔氏【062】は反論して、「今回のようなケースでは、裁判所には、特許法の立法趣旨と、特許審査基準の趣旨などをながめながら、粛々と判決を下してほしいのです。今回の判決に問題があるとしたら、特許法や特許審査基準や個々の特許の審査プロセスの方に手を加えるべきだと思います」と述べた。

  須川賢洋氏【065】は、具体的な特許侵害の中身を解説して、「もし本当にこんな小さなマウスの絵があるかないかで状況が変わってしまうのだとしたら、それはやっぱり判断を下した側にもそれなりの葛藤があったのではないか?というように感じた」と述べた。

 水野隆一氏【068】は「一太郎」判決について、「特許成立当時、この技術に新規性があったのは間違いない。しかし、それから約15年たった現在、こんな話は当たり前だ。要するに、現在の技術進歩から見れば、特許制度そのものを考え直す必要がないのだろうか、ということではないでしょうか? 具体的な見直し案はないのですが、特許の存続期間に多様性を認める、特許対価にシェアウェア的な方式を組み込む、などが考えられないのでしょうか?」と述べた。

  これに、中野氏【071】は、「特許の審査官の側が、特許を何らかの基準で分類して、その分類にしたがい、有効期間を変えるというのは、技術的に、また社会的仕組みとして難しい気がします。有効に動きうるとしたら、有効期間が短いかわりに、何らかのインセンティブのついた仕組みを用意し、出願者の側が、それを選ぶという仕組みです」と述べた。また水野氏の「特許対価にシェアウェア的な方式を組み込む」ということも、実施が困難だと述べた。

  加藤幹之氏(富士通)【072】は「最も重要な点は、ソフトウエア特許の保護範囲がどこまでかと言う明確な基準が決めにくいということだと思います。ソフトウエアの場合、侵害の判断においても、例えば均等論(特許請求の範囲の文言よりも広げて解釈する議論)が限定的に用いられるべきだというような議論があります。この判決を契機として、適切な保護範囲と、基準の明確化の議論が進むことを期待します」と述べた。

 村田初穂氏(NEC)【073】は、「特許権の侵害というのは、しばしば起こりうること」として、「最初の侵害警告があった時点で、仕様変更等の処置をするか和解をしておくべきであったのを、そのまま、引き伸ばしたのがリスク対策としては甘かったのではないでしょうか」と実務者としての感想を述べた。

 夏井高人氏【074】は、「今後、企業における法務対応や知財管理対応の重要性がますます高まるし、そのような対応のできない企業は、土壇場でしっぺ返しを受け続け企業としては存続し得なくなっていく」と述べた。

 佐藤氏【076】は、「特許侵害を避けながらソフトウェア開発すること難しくなってきており、法律的な解釈は別にして、このままでいいのかなぁと思うことが多々あります」と感想を述べた。

 高村俊彦氏【086】【091】は、「我々ユーザーや産業育成の立場から見て何が望ましいかという受け止め方が果たして法理論の世界で通用するかしら。国民感情論が行動を左右し勝ちなのは日本の特徴ではないかしら」と坪田【049】の意図を解釈した。

 それに中野氏【095】は、「判決が『国民感情』にそぐわないとしたら、あるいは、産業政策の面で問題があるとしたら、消費者団体なり経済団体なりその他勢力なりは、司法の仕組みの改善なり、行政の仕組みの改善なり、法改正なりについて働きかけるべきだと思います」と述べた。

 田中辰雄氏【098】は、「一太郎の判決に疑問を持つ人が思うのはおそらく『知財保護の程度は強すぎる。弱めるべきではないか』ということだと思う」「批判の対象は、知財保護の水準が最適点を越えて強いのではないかという一点です。これは既存の法を前提とした法の適用の問題ではなく、そもそもの法律をどう設計するかという制度設計の問題です」と述べた。

 これに中野氏【100】は、「『法と経済学』などを専門に研究しておられる方に、特許の登録料を大幅に下げたときのシミュレーションをしていただけないでしょうか」と提案した。

 夏井氏【101】は、田中氏【098】の意見に、「法律学ではなく、通常の経済原理というか政治力学的な観点からすると、誰も弱める方向での意見を言う圧力団体を構成することができないという問題はありそうです。現実の場面では、理論はほぼ無力であり、力学で決まってしまうところが多いと思います」「国策として知的財産立国を推進しておりますし、いまさらベクトルを修正することはかなり困難なのではないかと思います。つまり、特許権や著作権重視の姿勢は、形式的には国民の民意なのであり、それに従わざるを得ないという面があります(実際には国民の多数の意思などではないことは十分に承知しております)」「他方で、米国流のプロパテント政策に抵抗することは非常に難しいことだという国際的な一種の力学関係も存在しています」「自分達のことを自分達では何ひとつ決して決めることができないという民主主義の虚構化現象の一つなのかもしれませんね」などと述べ、「すべからく、既得権を減らすような法改正を実現することは非常に困難なことだろうと思います」と無力感を述べた。

 田中氏【102】は「知的財産立国には私も賛成ですが、そのためには知的財産保護を強めるのではなく、弱めたほうが良い。ポイントはこの一点につきます。これは事実認識の問題なので、経験的に議論すればよい。弱めたほうが良いという実証結果を出した場合、それに応じてほしいと願うのみですね。また、強めたほうがよいという見解の人にもその論拠を出してほしいものです」「私は世論形成に向けて論拠を提出したいと思います。郵貯民営化・公共事業削減など不動と思えた既得権益が、世論の変化の前に崩れた例を近年われわれは眼にしのではないでしょうか」と述べた。

 中野氏【105】は、「著作権者が著作権をかさにきて横暴なことをしていると思っているなら、法律を変えることを目指すか、一世代がまんして、そういう人々の著作物など買う価値がないと子供たちに刷り込むか。自分のメジャー感は、捨てたくない(やっぱりメジャーレーベルの楽曲が好き)、でも、彼らがコンテンツ選別、編集、新人育成のために使っているお金を、何で我々が払わなければならないのか−−というだけだとしたら、感情的な反応のレベルのような気がします」と述べた。

 夏井氏【107】は、「知的財産権の場合、権利者があまりに強欲になれば誰も支払うことができなくなり、結局、双方とも自滅していくというような感じで経済的な要因による変化は期待可能でしょう。しかし、知的財産権の問題について、世論を形成したり世論によって状況を変化させたりすることは不可能または著しく困難ではないかと思います。とりわけ知的財産権問題は日本国一国だけで解決できる問題ではないので、その困難の度合いも著しく高いのではないかと思います」「初等教育や中等教育の中にも知的財産権強化のための教育がどんどん導入されています。そのような教育の中では、強制許諾やパブリックドメインなどについて触れられることがまずありません。何でもかんでも「権利者にお金を払いなさい」。基本的には、それだけです。権利保護のための制限と自由な利用との間の合理的なバランスをとるために(まともな)法律家が一所懸命に考えているのに、教育の現場ではそうした苦心が何も反映されていません。
 おそらく、子供たちは、明るい未来を予測するのではなく息苦しい未来像に希望を失うという結果になっていることが多いだろうと思います。もしかすると、そのような歪んだ教育が存在することが理工系の大学への進学者の著しい減少の一因ともなっているのかもしれません。自由の範囲の少ないところで仕事をしたいと思う子供が多いとは思われないからです。
 この例でも分かるように、正しい方針が政府によって示されていなければ、そのことによる悪弊が教育などを通じてどんどん広がっていくことになるということになります。
 これも世論形成という文脈では大きなマイナス要因になっているのではないでしょうか」と述べた。

 田中氏 【108】は、夏井氏の意見に「この教育内容を決めている人の意識が変わればよい。教育内容を決める人は、著作権業界の関係者(利害関係者)ではないのですから、本来はできるはずです。内心では著作権法はおかしいと思っている人はたくさんいます。それをサポートする弾丸(理論と証拠)を出してこなかった経済学者と法学者の努力不足もいけないと思います。夏井さんによれば「まともな法学者」は権利と自由な利用のバランスについて議論をしているとのことですが、それが政策担当者の意識を変える事ができれば事態は変わるのではないでしょうか」と述べた。
 
 夏井氏【112】中野氏【095】の意見にコメントする形で、「(企業規模の大小にかかわらず)法の下の平等は貫かれなければならない、しかし、権利を濫用する行為は許されないということになるのだろうと思います。そして、その「濫用」の判断基準または「濫用」と感ずる感受性などが人によって異なっているので、議論が収束しにくくなってしまうのではないかと思われます」と述べた。

 高村氏 【116】が小倉弁護士のblogについてコメントしたことについて、夏井氏【118】は「私が興味を持ったのは、「差し止められるべきでないのは一太郎だけではない」という書き込みでした。このタイトルを意訳すると、「差し止められるべきでないのは一太郎だけではない。ソフトウェア特許それ自体もだ。」となります。小倉弁護士が主張していることを一言でまとめると、「法制度の設計が間違っていると、裁判官も間違った法に基づいて奇妙な判決を出さざるを得なくなるから、まだ法案のうちに意見をきちんと出して間違った特許制度が確立されてしまわないようにしましょう」ということだと理解する以外の解釈はあり得ないように思います。このように理解するという前提であれば、一般論としては小倉弁護士の意見は当然のことを言っているのであり、その意見に賛成します」と述べた。

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 会議室B IT全般 要約D 質の高い社会の構築とIT
 飯坂譲二氏【113】は、国際世論を無視した戦争、小泉改革の失敗、医療過誤、NHKの不祥事、欠陥車問題などを挙げ「質の低下」が深刻になっているとして、国としての質、製品・サービスの質を上げるために、1)コアがある、2)適時性、3)継続性・持続性、4)リレーション、5)学習機能と改善・改良の可能性−−を挙げ「いろいろな側面で、質を向上させるという場でも、質を維持するためにも、IT技術の役割が多々あると思う」「どの場面でどんな質を向上できるのかを考えてみると、情報収集、情報の正規化、状況分析、予測、判断とアクション、情報の表示法、情報伝達と学習がキーだ」「質のよいものをめざすとすると、現代のように複雑化した社会・技術ではITの力なしには実現しないとすると、どうITと付き合っていくかがキーになる」と長文の投稿をした。

 さらに飯坂氏【120】は、健康と医療の問題で、カルテなど履歴情報の保存、シミュレータを用いた医療訓練、食品の安全性に関する情報の収集システム、評価システムなどに積極的にITを活用すべきだと訴えた。

 飯坂氏【122】は、危機管理にも触れ、1)情報の収集、2)収集したデータの取捨・選択と正規化、3)得られた情報と既存の情報とを合わせた状況分析、4)それまで段階で得られた情報をもとに判断すること、5)判断に基づいた行動・アクションを起こすこと、6)判断や行動を起こした結果の評価、7)経験を通した学習−−が重要と述べた。

 新保豊氏【123】は、飯坂氏の発言にコメントして、「【A】津波や台風時の情報伝達に「携帯電話+デジタルTV映像」(=「携帯放送」)などが挙げられる。【B】「携帯放送」は、デジタルデバイド解消の有力な手段、あるいはユニバーサルサービスの手段になりえるのではないか」として、携帯電話の普及で、その公共性が問われてくるという指摘をした。

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 会議室B IT全般 要約E その他の主要な発言
 会津泉氏【089】は、2005年秋にチュニジアで開かれるWSIS(世界情報社会サミット)に向けて、インターネットガバナンス(統治)の議論が進んでいることを紹介し、コメントを呼びかけた。

 中野潔氏【109】は、日経新聞の連載小説に関するウェブログを話題にして、「数々のアマチュア批評の中で注目されて『定番』になるためには、批評の対象がある程度『メジャー』であり、批評そのものの読者が一定程度、つかなければなりません」などと、「メジャー感」の持つ意味を考察した。

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