地域情報化の中で、地域医療の問題は「最後の暗黒大陸」かもしれない。その意味は、住民の暮らしに直結する大事な問題で、うまく運用されれば無駄が多いといわれる医療費の削減に繋がる可能性もある。そして何よりも、医療の本来の姿である「患者中心」を実現できるのがポイントだ。
しかし、現実は大変厳しい。鶴岡の例は非常に先進的で、このレベルに達している地域は全国的にも珍しい。
ただ、レポートに書かれているように、入力の手間がかかったり、システムの運用費用の問題、サポートするベンダーの問題などが山積している。
それでも鶴岡で実際に運用されているのは、地域の医師たちのチームワークがいいことと、中核病院が参加していることだ。
全国的には、病院と医師会が連携する形は難しいといわれる。日本には、いくつかの有名な大学医学部を根源とした学閥があり、医師の連携はどこもうまくいっていない。診療科目が違えばなおさらだ。
ここにきて心配な問題が起きている。電子カルテの市場が立ち上がることを見込んで、情報システムベンダーが売り込み合戦を始めているからだ。同じ地域に複数のシステムが導入されれば、それが壁になってしまう。つまり、システム導入が「囲い込みの道具」として機能するからだ。
こうした弊害をなくすために、他社のシステムとのデータのやりとりをフレキシブルに行えるように、適切な行政の介入が必要だろう。
いずれにせよ、地域医療の連携問題は、「安心・安全な暮らし」を願う住民の生命を預かる問題であり、住民、行政、医療機関が一体となって取り組むことが求められる。
(坪田 知己=日経デジタルコア事務局)