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ディスカッション


コーディネーター(國領二郎氏)  私は、現在の状況が、非常に楽しいと思っている。異なるテクノロジーが出てきて、いろいろなものが使える。新たなビジネスも登場し、話し合いが必要な局面も出てきている。

 こうした状況下で主張したいのは、最後はユーザーが選んで決めるということだ。その状況をどう作ればいいのか、どのように上手に作れるのかを皆さんと議論していきたい。

プレゼンテーションへのコメント

岸原孝昌氏
岸原孝昌氏(11月1日、日本経済新聞社 大会議室)
岸原孝昌氏(モバイル・コンテンツ・フォーラム) 私はコンテンツの団体の事務局をしている。モバイルインターネットサービスのビジネスに関心があるが、真野さんのプレゼンテーションで気になったのは、iモードはインターネットではないという点。

われわれコンテンツプロバイダーにとっては、サーバーを通して提供しているのは、インターネットだと認識している。ネットワークの部分とビジネスモデルの部分は、分けて議論した方がいいのではないか。

真野氏 私が申し上げたのは、アーキテクチャの仕組み上のこと。端末と端末がend to endでコミュニケーションをするのがインターネットだと考える。

iモードはゲートウェイを通している。インターネットは、サービスの部分とサーバーの部分がきちんと分かれているものだと捉えている。

富沢木実氏
富沢木実氏
富沢木実氏(道都大学) モバイルインターネットサービスの具体的なサービス内容について、聞きたい。1ユーザーがモバイルインターネットサービスのサービスを利用するには、プロバイダのアクセスポイントから接続すればいいのか?

真野氏 インターネットへの接続サービスについて、ISPに提供しているので、ユーザー外出先からニフティを使いたい、AOLを利用したい、BIGLOBEに接続したいという場合は、プロバイダのアクセスアクセスポイントから接続できる。
契約の方法は2種類あり、利用者がISPへ支払っていただく場合と、直接我々へ支払っていただく場合とがある。利用者にとってはワンストップショッピングできることが利便性が高いと考え、主にISPにホールセールスしている。

料金と定額制の議論

中井氏 モバイルインターネットの技術的なの特徴はいくつかあるが、ブロードバンドについては、定額であるかどうかが大きいと思う。ワイヤレスIPは、定額になり得るのか。

夏野氏 技術が決めるのではないのでは? どこにフラットレート(定額)を持ってくるのかは、試算しようと思えばできること。おそらく2500円くらいになるだろう。

しかし課金がフラットなのではなくて、ビジネスコストがフラットなのかどうかが重要。クリティカルマスを超えると、利益が出てくる。

中井氏 それにしてもパケット代が高すぎるのではないか。
夏野氏 不当に高いなら、もっと安い供給者が出てくることだろう。多様性が重要だと考える。全て、均一になったら競争は起きない。

真野氏 ドコモは民間企業なのだから、経営姿勢やプライシングがどうという話をここでするのはナンセンスだ。マーケットが決めるのではないか。

ユーザーが望むサービス、成長するビジネスモデルとは

國領氏 アプリケーションやサービスを提供している立場から、料金体系も含めて、どういうものならビジネスモデルが描きやすいのか。あるいはユーザーの視点で、こういうものが欲しい、ビジネスモデルのどこに成長分野があるのかなどにういて、意見をうかがいたい。

富沢氏 ドコモが悪いと言いたいわけではなく、素晴らしいビジネスモデルを開発されたとは思っているが、なかなか大きなビジネスに広がっていかない。クローズのバリューチェーンの中身は評価するけれども、キャリアにしても3社だけではなく、より広がりのある世界があってもいいのではないか。

夏野氏 現在も、他のサービスができないわけではない。料金徴収代行は手数料がかかるので高くなるが、現在もクレジットカードで料金回収をしているサービスもある。

端末も作ろうと思えば作れる。コストが合わないので、出てきてないのだろう。チョイスはいろいろある方がいい。

ユーザー動向と海外のモバイル事情

木村忠正氏
木村忠正氏
木村忠正氏(早稲田大学) 話題を変えるが、私は情報社会の立場で、行動調査をしている。先ごろ行なった、大学生の調査を参考までに。学生20人に一週間の携帯電話の使い方を記録してもらったところ、次のような結果が出た。

携帯電話の利用は、1日当たり約15回。77%はメールの送受信に使っている。音声通信は15%。

コンテンツでは、待受画面や着メロサイトに1人あたり一週間で0.5回程度。

また、10月にフィンランドとエストニア、インターネットが普及していないと言われるイタリアに調査旅行に行った。フィンランドもイタリアもドコモの成功に非常に注目しており、FOMAによって第3世代がどうなるのか、様子見をしているところだという。

ここまでの議論で、「ユーザー」という言葉が多く出てきたが、日本ではユーザーというよりも、情報ネットワークを活用するプロシューマーが必要では。その層が大きくならないと、経済構造の変化は起きない。ユーザーをいかにプロシューマーにするのかといった視点が必要ではないだろうか。

フィンランドでは、25%の学生がベンチャー企業を起してみたいといっている。早稲田大学でもインキュベーションセンターを作ろうとしているが、なかなか立ち上がらない。今後、社会資本である「共有知」をどう作るのかに関心がある。

國領氏 木村氏より問題提起があったが、デフォルトオープンな世界で、フラットに自由にコンテンツを提供するために、どのようなビジネスモデルを構築できるのか意見をうかがいたい。

真野氏 インターネットの仕組みはすでにオープンにになっているのだから、リテラシーやモチベーションの問題ではないかと思う。
レイヤーごとにオープン化したビジネスモデルを

司会(坪田) ビジネスモデルについて議論が出てきたので、総務庁の谷脇氏より、今の問題点をどう見ているのかお願いしたい。

谷脇康彦氏
谷脇康彦氏
谷脇康彦氏(総務省 総合通信基盤局 電気通信事業部 事業政策課) 現在、ビジネスモデル研究会を行なっている。ドコモが提供しているトータルバリューチェーン・コーディネーションを否定するわけではないが、それがドコモしかないというのはどうかという根本的な疑問がある。

レイヤーをそれぞれ分けて、レイヤー間のインターフェイスをオープンにして、他でもコーディネーションできるようにしてもいいのではないか。ビジネスの立ち上げ時と、成熟段階のビジネスモデルは違う。

池田信夫氏(経済産業研究所) それは問題のすり替えではないか。レイヤーの議論は、研究会の報告書にはない。

ドコモのシェアが大きすぎるからいけないというのはおかしいのではないか。

富沢氏 MVNOのような形で参入するチャンスを作ってもいいのではないだろうか。競争をすればいいと言っても、現在ではドコモのプラットフォームでやろうとした時に、明確でない部分が障害になっているのではないか。

また、ネットワークを破綻させないようなセキュリティをある程度、持っているかどうかなどの議論も必要になるのだと思う。

真野氏 先ほど、中井氏がドコモが回線を卸してくれないと述べたが、ドコモに対して正式にオファーしたのか確認したい。

中井氏 正式にリクエストしている。

真野氏 本来はネットワーク上で何をしてもいいのだと考えるが、ドコモが出会い系サイトを排除し、料金回収代行はしていないなどコントロールしているのはナンセンスだと思う。

もしも、通信業者として公共性があるのだと言うのであれば、MVNOにも卸すべきではないか。

夏野氏 コンテンツをコントロールしているのではない。以前にダイヤルQ2によってマーケットが広がらなかったという経験があるため、出会い系サイトは公式サイトにしないなどのルールを作っただけである。

ダイヤルQ2自体は悪いものではなくても、マスコミがあれだけ騒ぎ、危ないものだという印象がついたら、もはや普及しない。それと同じことがiモードでも起こることを恐れて、公式コンテンツに入れていないという状況だ。

多様なビジネスモデルの展開へ向けての課題

國領氏 ここまでの合意として、多様なテクノロジーと多様なビジネスが、複数の会社によって提供される状態が欲しい。その中でいろいろなサービスを選びたい。さまざまな企業が競争して、ユーザーが決める状態を作りたいと考えている。

その多様性を技術的にも確保しながら、どのようなインフラが欲しいのか、どのような仕組みが必要なのか、希少な電波をどうするかといったことが問題となっている。

これから多様なビジネスモデルで競争ができる環境をどう作るのか、フレームワークについて議論していきたい。

夏野氏 今、現在、本当に新しいビジネスチャンスがないのかだろうか。例えば、電波に関しては、ユーザー数がこれだけ違っていても、われわれドコモとKDDI、J-PHONEでは、すべて同じ割り当になっている。つまり、チャンスは同じようにあるのだと言いたい。

国領氏 ではその現状認識について、意見があれば。

真野氏 夏野氏はKDDIもJ-PHONEも同じ割り当てだと言うが、これは携帯電話の世界だけではないか。総務省はこうしたことを、本気で考えているのだろうか。

たとえばIMT-2000の電波の予約はしているが、そのままずっと使えるのだろうか。30年前に作った制度を、ずっと維持するのかどうか疑問がある。

夏野氏 スクラップ・アンド・ビルドをする気があるのかどうか疑問だ。既得権をもっている人の中でも上手くいってない事業者を退場させる気が本当にあるのだろうか。

中井氏 2Gは別として、3Gは日本の復興につながるのだろうか。
真野氏 3Gには、まだオフセットはかかっていない。暗黙のオフセットがかかっているかも知れないが。

雨宮明氏
雨宮明氏
雨宮明氏(総務省 総合通信基盤局 電波部移動通信課) 今の周波数の割り当てについては、実態が事業者の人たちには見えにくいのは事実。不透明感がある。今、審議会の方々にも参加していただいて、議論しながら中身が見えるように取り組んでいる。

3Gで誰がどのくらいの比率で使うのか。2Gでの実績は度外視して、平等に割り当てるようにしているが、多様な技術に対応するのが難しい点となっている。新規事業の芽を摘まないよう、皆さんの意見をうかがいながら透明性を確保して進めていきたいと考えている。

ライフライン確保など議論が重要

安田浩氏(東京大学 国際・産学協同研究センター) 議論のポイントは2つあるのではないだろうか。アプリケーションに関するインフラと、コミュニケーションに対するインフラは、別のものである。

アプリケーションのインフラについては、レイヤーごとに自由に参入ができ、自由競争ができるようにしなくてはいけない。

私がドコモに唯一、文句を言いたいのは、端末に対して過剰な要求をしていないかという点だ。ドコモの端末、J-PHONEの端末といった機能やサービスの違いは、もはや無い方がいいのではないだろうか。レイヤーごとにオープンになっているかどうかについて、議論の余地がある。

今後は、iモードなどの携帯電話にデータそのものを乗せる可能性が増えてくる。たとえば心電図を送るなど、ライフラインに関わるものも出てくるだろう。その際に、今のままではスピードが遅すぎるといった課題がある。

ユーザーはライフラインについては決められないので、どのようにライフラインを確保するのかといった議論をじっくりしていきたい。

夏野氏 ドコモは民間企業なので、ライフラインのような重要なことについては、国のレベルで整備すべきインフラと分けたほうがいいだろう。総務省や国土交通省などと一緒に。

先ほどの端末については、メーカーのリスクで開発するなら、拒否していないが、在庫リスクが出るだろう。欧米ではノキアの仕様、モトローラの仕様というようにそれぞれのメーカーが携帯電話を開発し、オペレータが選しているが、新機能を開発しても受け入れられない時に失敗するリスクがある。

日本では通信事業者がリスクをとっている。いろいろな議論はあるが、リスクテイカーが自分の判断で行なっていることは健全なあり方ではないだろうか。

端末のあるべき姿を探る

谷脇氏 質問したいのだが、今の端末は通信サービスが端末にバンドルされていて、インセンティブが後で通信料金として回収されている。しかし、これらを切り離して高い端末にすることも可能なはずだ。何故、出てこないのか。

夏野氏 それは現場の判断。自分たちで責任を持って、新しい製品をマーケットに投入することから逃げているのだ。

以前はメーカー仕様の端末もあった。しかし売れなかったから、消えていった。日本のコンシューマーは、端末価格が安い方が魅力があると考える。J-PHONEがマーケットを伸ばしているのも、iモードよりも端末が1万円くらい安いという理由もある。リスクをとっても開発するかどうかは、経営判断だろう。

中井氏 初期の段階では、キャリアが責任を持ってやらなければならないという判断があり、キャリアブランド重視になり、メーカーブランドが消えていったのだろう。しかし、それだけでなく、奨励金が低いなどという問題もあるのではないか。

今後、3Gになり、ブロードバンドになって利用者のニーズが多様化する中では、キャリアブランドの端末しか使えない状況は問題だろう。

参入する際に、ネットワークの調達ができない、卸売りのマージンがないという状況では多様な端末はできない。自由化が必要だ。奨励金については、行政の指導が入るべきだと思う。

今川拓郎氏(大阪大学大学院 国際公共政策研究科) 一般論で言えば、抱き合わせ販売は悪いことはでないが、シェアが大きな会社が抱き合わせ販売をすれば問題だろう。

会場風景
会場風景

海外でも通用する日本からの提案とは

國領氏 会場からも意見を求めたい。会場風景 加納氏(早稲田大学) 私が関心を持っているのは、モバイル・インターネットが、日本だけで終わるのか、国際的に広がるのかという点。本当に世界に広げられるのかどうか、議論していただきたい。

國領氏 では、海外事情に詳しい本荘氏にうかがいたい。

本荘修二氏(デイツーイーツー) ヨーロッパではライセンス費用で膨大な金額を支払わなくてはならなくなり、資金回収できず、ビジネスとして成り立たないとキャンセルしているところも出つつある。

国の規制で整備をすると、ビジネスが立たない。ヨーロッパでは膨大なコミットメントをなんとかしないと、ビジネスが立ち上がるのは難しいだろう。

安田氏 モバイルが世界に広げることは、議論の余地はないが、それがドコモ方式であるのかどうかは疑問である。選ぶのはユーザー。いかにキャリアが努力するかにかかっている。

木村氏 イタリアでは携帯電話の普及率は80%と言われている。そのうち9割がプリペイドカード方式。一方、PC普及率では、家庭の2割のみ。北欧では、PCもモバイルも普及率は2割。非常にPCに頼った情報化を進めている。

今後のモバイル・インターネットを考えるときには、ワイヤーもワイヤレスも関係ない。日本だけが別の道を歩いているような印象を持っている。そこが動くのを見たいということが、今日感じた私のメッセージだ。

山下氏 この中では唯一メーカーに身を置いたものとしては、まさに岐路に立っていることを実感している。ワイヤレス、3Gの世界で、日本が世界に通用するものを作れるかどうかで、モヤモヤしたものがある。

ライフラインのような世界に通用する話題について、日本から提案していきたい。

司会(坪田) まだまだ議論し足りないと思うが、時間がきた。発散型の議論になるだろうと企画した時に思ったが、その通りの議論になった。

電話のビジネスモデルから、インターネットへシフトする時に、インターネットのオープンな技術やビジネスモデルを持ち込もうという流れがあっていいし、競争の中でユーザーの選択肢を増やそうという問題意識が、今回の議論から浮かび上がってきた。

時代は相当速いスピードで動いている。われわれはできるだけ既存の考え方に捉われずに、何を望み、何をすべきなのかを、一から考えていかなくてはならないだろう。ネット会議などを利用し、引き続き、議論を続けていきたい。

本日は、ありがとうございました。

 

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