ロジスティクスのCSRとブランド化
ロジスティクスでの品質管理
最近我が国では、使用期限切れの原料で商品を製造したり、賞味期限切れを承知で販売したりして、消費者の信頼を失う例があった。このように生産と販売時点の品質については、消費者の関心も高くニュースにもなる。しかし、生産と販売をつなぐロジスティクスにおいて、輸送や保管の実態などは消費者に分かりづらく話題にもなりにくい。
何年か前に炎天下の発展途上国で、冷蔵冷凍設備なしにアイスクリームを荷台に積んだトラックを見かけた。生産時にいくら厳密な品質管理をしても、輸送中に溶けようものなら品質は確実に劣化するから、ロジスティクスでの品質を確保できなければ、消費者に高 品質の商品を届けることはできない。
消費者の目に触れにくいからといってロジスティクスを軽視しては、CSR(Corporate Social Responsibility)を果たしていることにはならないだろう。
ロジスティクスと3PL
近年、経営戦略として「調達から生産を経て販売までの全体を計画・管理・運営」するサプライ・チェーン・マネジメント(Supply Chain Management、以下SCM)が一般的になっている。このなかにあってロジスティクスは、適正な価格で、適切な場所と時間に、必要な量と品質のもとで、商品を届けようとするものである。企業内では開発・調達・生産・物流・販売部門を結ぶ活動全体において、企業間では供給業者・メーカー・卸売業者・小売業者・消費者の間で、物流の効率化を目指している。
最近ではロジスティクスのアウトソーシングが盛んになり、物流業者に一括して業務を委託する3PL(3rd Party Logistics)も普及しつつある。
委託しても免れられないCSR
このとき「商売のためにはSCMを考えるが、ロジスティクスは物流業者の責任で、自らのCSRには含まれない」と考えるならば、いささか身勝手な話となる。先の例で言えば、輸送中に一部が溶けたアイスクリームを知らずに販売しても、「委託した物流業者の責任……」などという言い訳は通用しない。
なぜなら、たとえメーカーや卸小売業などの企業(荷主)が物流業者にロジスティクス業務を委託しようとも、委託先での輸送や保管も含め、調達から販売までのすべてにわたって商品の品質を保証することが、企業の社会的使命だからである。
ロジスティクスのブランド化

- エコレールマーク
一方で、消費者の目に触れにくいロジスティクスでの社会的貢献を、消費者に知ってもらおうとする先進的な取り組みも始まっている。たとえば、環境にやさしい鉄道貨物輸送を活用して地球環境問題に積極的に取り組んでいる商品ないし企業を示すマーク(エコレールマーク)がある(*1)。
身近な商品では、ペットボトル6本入りの段ボールや携帯電話の包装箱などにマークが印刷されている。このマークを通じて「この商品は環境にやさしい。この企業はロジスティクスの面でも環境に配慮している」と消費者に認識されることが期待されている。さらに一歩進んで、「エコレールマークが表示されている商品を手にすることは、カッコよくてクール」と消費者が思うようになるかもしれない。
エコレールマークのような地道な取り組みが消費者に浸透していけば、CSRを通じて「ロジスティクスがブランドになる日」も近いのではないかと思うのである。
(参考)
- *1
- エコレールマークは、500km以上の陸上貨物輸送において、当該商品においては数量または数量×距離の比率で30%以上、当該企業においては数量または数量×距離の比率で15%以上を鉄道利用しているときに使用が許されている。平成19年1月末日現在で8商品、31企業が認定されている。
- http://www.mlit.go.jp/tetudo/ecorailmark/ecorailmark.html
- 苦瀬 博仁 (くせ ひろひと)
- 東京海洋大学 海洋工学部 流通情報工学科 教授






