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エコツアービジネスを定着させ日本の自然を次世代に引き継ぐ

「森に経済価値を見出すための挑戦」

私たちピッキオが活動する軽井沢・野鳥の森。百ヘクタールばかりの何の変哲もない、別荘地に周囲を囲まれた普通の森です。この森に私たちはエコツアーを実施することで経済価値をつけようとしているのですが、それがどうしてCSRなのか、ご説明していきたいと思います。

軽井沢は年間約800万人の方が訪れる一大観光地で、避暑地として非常に有名です。高級ホテルや高級レストランがたくさんあり、都会的なイメージもある一方で、妙義山、浅間山などに囲まれた自然豊かな場所でもあります。そのような環境の中で、私たちは星野リゾートの一部門として、リゾートにいらっしゃるお客様の顧客満足度を高めるためにエコツアーを1992年から行ってきました。エコツアーとは地域の資源(主として自然環境)を観光資源として活用する一方、その損失を最小限にとどめ次世代に残していくシステムを持った旅行形態です。そこでは、お客様にツアーを楽しんでいただきながら、「自然って面白いな」と同時に「自然って大事なのだな」と少しでも思っていただけるような工夫を凝らしています。

写真 ツキノワグマ
ツキノワグマ
写真 キビタキ(オス)
キビタキ(オス)
写真 ムササビ
ムササビ

徐々に私たちの活動が広がっていき、2003年にピッキオが独立する中で、地域の自然を保護していく活動も広がりを見せ始めました。その一つが、ツキノワグマの保護管理活動です。軽井沢では夏場に大量に発生するゴミにクマが餌付いてしまうという問題が起こっていました。哺乳(ほにゅう)類やツキノワグマの専門家をスタッフに持つ私たちは軽井沢町からツキノワグマの保護管理活動の委託を受けて、ツキノワグマの活動が最も活発になる夏場には24時間体制で、一頭、一頭のクマの動きを発信器を使って把握し、人里に近づかないよう追い払いなどを実施しています。ゴミの問題に関しては、クマに開けられないゴミ箱の開発や、町および住民の皆様と協力することで、被害を減少させることができました。ですが、全国に広がっているツキノワグマを代表とした野生動物と人とのあつれきの問題を解決するにはいたっていません。

色々な野生動物と人間とのあつれきの問題を何とか減少させて、共存していきたい……。そこで私たちは、普通の森に経済価値を見出せないかという考えに行き着きました。

森林の減少は野生動物と人間のあつれきをつくり出していると言われています。それをわかっていながら、なぜ私たちは森林を開拓するのだろう? それは開拓をしなければその森に経済価値がないからではないか……。ですが、森をゴルフ場にするにも、リゾートマンションにするにも、スキー場にするにも(ばくだい)な開発費がかかるとともにリスクも伴います。もし、その森を開発せずとも経済価値が生まれるとなれば、地権者はリスクをとらずに森をそのまま残すというオプションを選択するかもしれない……。そのような発想のもと、私たちは普通の森でエコツアーを行い、そこでしっかりとした利益をあげることを目標とし、そうすることで、今の森を私たちの子供たち、孫たちに残していきたいと考えています。

現在、エコツアービジネスは、日本ではまだまだビジネスとしてしっかりと定着していません。ところが他国では、既にエコツアーがしっかりと根付いている地域が数多くあり、事業としてもしっかりと成立しています。エコツアー従事者の所得レベルも低くはなく、ヨーロッパの先進国ではエコツアーガイド(ナチュラリストガイド)の平均所得はその国の国民平均所得よりも10%上で、子供たちの憧れの職業の一つとなっています。

私たちはまずこのエコツアービジネスを日本に定着させることを目標とし、貴重な日本の自然を次の世代へと引き継げるような仕組みをつくっていきます。そして、地元の子供たちの多くから「将来はエコツアーガイドになりたい!」と言われるようになればと思っています。

写真 エコツアーイメージ
写真 楠部真也
楠部 真也 (くすべ まさや)
慶應義塾大学卒業後、タイヤ業界にて7年間、海外営業・マーケティングを担当(主としてアフリカ、東欧、ロシア)。その後ゲーム業界でも同様の業務を担当した。2002年11月星野リゾート入社、ピッキオ配属。主としてマーケティング・財務などを担当するが、エコツアー・ツキノワクマの保護管理などの業務にも幅広く従事。03年4月、株式会社ピッキオとして独立、マーケティングディレクター、取締役に就任。現在に至る。エコツアー推進に向けた、自治体などでの講師、講演活動も多数行う。
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