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欧米企業にみるCSR企業間連携の事例

最近欧米では、企業と非営利団体(NPOs)が連携したCSR活動が活発に展開されている。ひと昔前は、NPOが企業の非倫理的な行動に批判を浴びせ、企業がそれに対応せざるを得ないというケースが主流であったが、現在は双方の強みや特徴を最大限に活用して社会・環境問題に積極的に取り組む姿が目立ってきている。また、企業とNPOの連携のみならず、複数の企業同士が一体となってCSRを発展させていくケースも盛んになりつつある。

例えば欧州各国では、CSR促進を目的とした企業連携型団体が存在する。

なかでも「CSR Europe」(http://www.csreurope.org)は、欧州のCSR先進企業と各国のCSR促進団体で形成されており、CSRをテーマとした欧州最大のビジネスネットワークである。CSR Europeでは、ワーキンググループを結成し、様々なCSRトピック(環境問題、貧困問題、ダイバーシティー、CSRコミュニケーション、CSR調達、従業員の働きがいなど)について議論している。加入企業が過去に直面した問題とその解決策、今後の施策などをお互いにシェアし、ガイドラインやレポートとして社会に発信している。最近では「女性の管理職登用推進」について、懸念すべき点や各社のケーススタディーなどをレポートとして発信している。

企業同士がお互いのCSRについて意見交換をし、議論することで、啓蒙的な意味合いが出てくる。つまり、そこでの議論の内容が、自社のCSR活動を推進するにあたっての重要なインプットとなる。その活動成果を企業が再度議論し合う。非常に単純な仕掛けではあるが、このような好循環が、企業が刺激し合い、成長していく近道ではないかと考える。

またCSRに取り組む企業の実際の現場でも、業種を横断的に連携しながら活動を展開している姿も目立ってきている。企業のCSR調達やサプライチェーンにおける環境への配慮がよい例である。

例えばCSR先進業界といえる電子業界では、自社が取引先を選定評価する際に、どれだけCSRに熱心に取り組んでいるかを基準とする傾向がある。その一つに、電子業界行動規範(Electronic Industry Code of Conduct:EICC)というものが存在する。
http://www.eicc.info/code.html) これはサプライチェーンを構成する各業者に対し、それぞれの国の法順守を求めるとともに、労働条件/雇用慣行、健康/安全、職業倫理/環境保護といった社会的責任に関する対応を推進するものである。EICCは今や電子業界の調達“デファクトスタンダード”となっている。

これに基づき、企業はその取引先(下請企業だけではなく、運送やロジスティック企業などに至るまで)がEICCを順守していることを取引の前提条件とし、順守していない企業はそのビジネスチャンスを失う可能性がある。この点でEICCの活動が、彼らのサプライチェーンを構成する企業への啓蒙活動につながっている。

このように、企業と企業が協力し合い社会・環境問題を解決していく姿は海外では顕著にみられる。2008年7月に米国で公表された“Green Transportation & Logistics North American Report(*)”にも、サプライチェーンにおける環境問題に対して企業同士のコラボレーションへの期待がうかがえる。レポートによると、現在、米国の約20.5%の企業がロジスティックパートナーなどと連携して環境への負担を減らしており、26%は今後、環境問題へ取り組むにあたり、パートナー企業と連携をする予定であるという数値が出てきている。また90%の企業が今後3年の間に、自社の運送やロジスティックプロセスにおける環境問題がより重要になってくると考えている。このような事実から、今後米国では、さらなる企業連携の気運が高まることが考えられ、同時にロジスティック企業のCSR展開のスピードが加速化することが予想される。

わが国でも、社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)が「サプライチェーンCSR推進ガイドブック」を策定(http://home.jeita.or.jp/ecb/csr/)し、サプライチェーンを構成する関係会社などに、CSRを啓発している。しかし、こうした事例はわが国では少数派であり、日本はCSRを展開するにあたり「個社最適」の段階といえるだろう。上記のとおり、欧米では企業と企業が一緒になってCSRに取り組んでいる傾向が強い。言い換えれば、企業単独では、限界がある行動範囲を、企業同士が協力することで補い、さらなる発展を遂げている。そして結果としてステークホルダーを満足させ、企業価値向上につなげることに成功している。

今後は日本においても、企業間連携によってCSRを推進する段階に移行していくだろう。CSR Europeの設立目的は、「企業同士を連結させ、各企業のCSRトピックに沿ったベストプラクティスを共有すること」にあるが、この内容はそのまま現在日本企業のCSR担当者が求めていることであり、今後の日本においてCSRが発展する方向を示唆しているものと考える。日本において企業間連携が進むには、CSR Europeの発展経緯がそうであったように、行政、企業、NPOsがそれぞれの特徴や強みを出し合い、コラボレーションしていくことがかぎになると思われる。

(参考)

*
米国の様々な業界(物流業界、電機業界、食品業界など)のサプライチェーン・エクスキューティブ500人を対象にアンケートを実施した、米国企業における自社サプライチェーンの考え方や動向をまとめたレポート。
写真 堤弘明
堤 弘明 (つつみ ひろあき)
2007年9月 カナダ BC州立 ビクトリア大学(UVIC) 経営学部卒業
同年、クレイグ・コンサルティングに入社。主にCSRに関するプロジェクトに従事
クレイグコンサルティング http://www.craig.co.jp
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