日本・カリフォルニア州地球温暖化フォーラム開催
3月26日、27日の日程で、「日本・カリフォルニア州地球温暖化フォーラム」(Japan & California Climate Change Forum)が、カリフォルニア州の州都サクラメント市で開催された。在サンフランシスコ日本国総領事館、カリフォルニア大学サクラメントセンター、および、カリフォルニア州政府知事室が主催した本フォーラムでは、地球温暖化防止に対する日本とカリフォルニア州双方の取り組みに関して議論が展開された。

- フォーラム風景
本稿では、このようなフォーラムが開催される背景を紹介し、環境対応で出遅れた感のある米国にて環境ビジネスが花開こうとしている現状と、日本企業の持つ技術力の意義について述べたい。
まず、環境政策に関するカリフォルニア州の位置づけを概観する。カリフォルニア州はアーノルド・シュワルツェネッガー州知事のもと、環境規制に関する条例に全米でのイニシアチブを発揮している。カリフォルニア州の動向に各地域が追随しているのが現状だ。例えば、米国12州(*1)がカリフォルニア州の排ガス基準を採用している。また、Western Regional Climate Action Initiativeという北米の西部地域における気候変動防止活動イニシアチブも、カリフォルニア州を中心に、カナダの西部地域も含めた9州(*2)が連携して広域にわたるCO2排出量の削減に取り組んでいる。このイニシアチブでは、低炭素基準の導入についても検討している。歴史的に、厳しい環境規制で有名なカリフォルニア州であるが、時代の変化とともに、彼らの施策が全米から大きな注目を集めるようになった。
次に、地球温暖化フォーラムについて紹介する。日本側からは、日本政府の施策や企業の活動についてプレゼンテーションが行われた。政府からは、地球温暖化に対する国際的な取り組みや、省エネルギー政策を推進するためのトップランナー方式について、企業からは、CO2排出削減の取り組みや環境技術の実用化・製品化についての説明がなされた。一方、カリフォルニア側からは、州政府の地球温暖化防止に対する取り組みとして、環境政策立案の背景、環境税や排出権取引の議論の過程など、経済成長と地球温暖化対策を両立させるための枠組みづくりについて紹介があった。京都議定書のホスト国であり、地球温暖化防止への取り組みで国際的な貢献を果たそうとする日本と、環境政策に関して米国で最も影響力のあるカリフォルニア州とが、官民レベルで意見交換したことは、21世紀に求められる環境配慮型経済の構築にとって大きな意義がある。
最後に、本フォーラムの意義と今後の日本企業への示唆を述べてみたい。本フォーラムでは、企業の技術力による気候変動防止に向けたさまざまな解決策が提示された。具体的には、日本側から、蓄熱技術、省エネ住宅、環境配慮型家電などに関するプレゼンテーションがあり、技術力によって、環境配慮型製品やサービスが実用化されている例が紹介された。モータリゼーションの旗を振り、情報通信革命の牽引(けんいん)役を担った米国ではあるが、環境配慮型社会への移行では日本や欧州に遅れを取った。米国は、広大な土地や安価なエネルギーを前提にして社会が構築されたため、環境配慮とは対極に位置するのも事実だ。しかし、これまで触れたようにカリフォルニア州を筆頭に急速に環境配慮型社会への適応を進めている。そうした中、開催されたフォーラムにて日本企業の環境配慮型製品・サービスが、カリフォルニア州政府の要人の目に触れたことの意義は深い。
ハイウエーを全米に敷き詰め自動車社会を実現し、さらに、情報スーパーハイウエー構想により情報通信革命を具現化した米国ではあるが、港湾、上下水施設、公共建築物、工場、商業施設など伝統的な社会基盤整備を積極的に整備してこなかった。それゆえ、今後10年間のうちに、大きな需要が創出されるといわれる。そして、さまざまな環境対応の新技術が導入されるだろう。そこには日本企業が貢献できる大きな市場が存在する。ただし、単に技術を輸出するだけでなく、技術と同時に、“技術を生み出す価値観”や“技術を生かすノウハウ”を輸出してはじめて“本業を通じた社会貢献”をまっとうできるのではないだろうか。
つまり、一般の人々のライフスタイルの転換を含めた、経済社会のあり方を変えていくための技術でなければならない。大量生産、大量消費、大量廃棄に慣れ親しんだ人々の価値観が変わらぬまま、最新技術が導入されても、それはいたちごっこに過ぎず、根本的な解決にはならない。世界最大の市場であり、環境対応がこれから本格化する米国で、日本的価値観に根差した環境配慮型製品やサービスがどれだけ受け入れられるかが今後の日本の産業力を左右するのではないだろうか。
(注)
- *1
- バーモント、ニューヨーク、ニュージャージー、マサチューセッツ、コネティカット、メーン、ロードアイランド、ペンシルべニア、メリーランド、ワシントン、オレゴン、フロリダの各州
- *2
- カリフォルニア、オレゴン、ワシントン、アリゾナ、ニューメキシコ、ユタ、ブリティッシュコロンビア、マニトバの米国、カナダの各州
- 田邉 雄 (たなべ ゆう)
- 1967年東京生まれ。上智大学文学部卒、名古屋大学大学院経済学研究科修了。2003年から日本経済新聞社にて日経CSRプロジェクトを主宰。現在、日経アメリカ社ロサンゼルス支社勤務。共著に『やわらかい内部統制』(日本規格協会)。






