新たな段階へ向かうCSR
環境や社会への貢献意識高揚 (秋山氏)
苦情処理から顧客満足へ変化 (藏本氏)
- 髙
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5年前に日経CSRシンポジウムを始めて、今回が10回目となる。今回は企業と投資家あるいは企業とお客様との関係、さらに広い意味での社会との関係に焦点をあてていく。
- 秋山
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インテグレックスは2001年に設立し、毎年上場企業を対象にCSRへの取り組み調査と評価を行っている。目的はCSRの評価を投資に生かす社会的責任投資(SRI)である。現在、8つの投資信託に情報提供や投資の助言を行っている。評価は髙先生が中心となって作ったCSRマネジメントシステム「ECS2000」とチェックリスト「R-BEC001」を基本的な枠組みとして用いている。
- 藏本
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消費者関連専門家会議(ACAP)は内閣府所管で1980年の設立。今年4月現在の会員数は565社である。消費生活センターへの情報提供や講師派遣など消費者への啓発活動を行う一方、会員企業に対しては消費者志向経営のための研究会設置などを行っている。私はスポーツ用品メーカーのミズノで長年、品質保証部長を務めた経験があり、製品のパフォーマンス向上や安心・安全のための取り組みを行ってきた。
- 髙
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まずCSR活動がどのように変化してきたかを考えてみたい。
- 秋山
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2001年に調査を始めたころは、まだCSRという言葉はなかった。このシンポジウムの第1回が04年で、それ以降CSRという言葉が定着したのではないだろうか。インテグレックスが活動を開始した01年は自動車メーカーのリコール隠しや食品メーカーの食中毒事件などがありコンプライアンスが重視されたが、現在では環境や社会への貢献を含めたCSRへの意識が高まっている。
- 藏本
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1970年代以前は消費者対応窓口を持つ企業は15%程度だったが、その後急速に拡大している。同時に従来の苦情処理係から高品質な製品を提供し、顧客満足度を高めるための消費者対応に変化している。さらに消費者対応窓口にトップマネジメントが関与する企業は、99年は13.8%だったが、2007年には50.7%に高まった。消費者対応を顧客満足につなげ、さらに不具合への対応を迅速化するなどリスクマネジメントの一端を担っているとも言えるだろう。
ROE重視経営は投資を縮小 (髙氏)
短期利益の最大化追求は危険 (秋山氏)
- 髙
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政府は消費者庁の創設法案を今国会に提出している。消費者行政が今後、どのような方向に向かおうとしているのか。
- 藏本
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消費者庁の設置は明治時代から続く産業育成型の行政から消費者重視への政策転換という点で注目すべきことだ。また、これに関連して位置付けがあいまいだった消費生活センターが明確になり悪徳業者の排除につながる。今後は消費者重視の企業経営が一段と重要になるだろう。
- 髙
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企業も厳しい対応が求められるが、消費者の側には問題はないのか。
- 秋山
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最近あったケースでは、こんにゃくゼリーを幼児がのどに詰まらせる事故があって、自主的に製造販売を取りやめたことがある。これはたぶん消費者から見ても過剰反応だったのではないか。ただ企業にとっては、そういう対応をしなければマスコミから批判を浴びると恐れたのではないか。食品関連の不祥事が相次いでいるが、製品に不備があれば当然そうした措置は必要だが、そうでないケースで過剰反応している場合もあると感じる。
- 髙
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消費者の側にも学習が必要だ。数日前に開封した食品が食べられるかどうかは消費者が判断しなければならないし、石油ストーブは空気の入れ換えが必要ということを知らない場合もある。こうした場合、企業はどう対応していけばいいのか。
- 藏本
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だれにでも分かる言葉で説明責任を果たしていかなければならないが、世代によって価値観の違いもあり、苦慮しているのが実情だ。賢い消費者になってもらうためにも商品知識を学んでもらう機会を作ることは企業の責任として考える必要がある。
- 髙
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今回の金融危機は企業が自己資本利益率(ROE)重視を強調しすぎた結果である。ROEを重視すれば将来への投資は縮小せざるを得ない。米自動車業界を代表するビッグスリーの苦境は本田技研工業など日本の自動車メーカーが進めてきた環境対策に遅れたという面も大きいのではないかと思っている。
- 秋山
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私は破綻したリーマン・ブラザーズで働いていたこともあるが、短期利益の最大化のみを追いかけるのは危険だと感じている。経営者が四半期ごとにどれだけ利益を上げるかだけを考えているような企業は危険である。経営者は持続的な発展の視点に立つことが重要で、投資家も短期の利益ではなく長期的な視点で企業を評価することが必要だ。
- 髙
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長期の視点ということでは研究開発だけでなく、人材育成や環境への投資など企業市民として社会からの信頼を得るためにどういう取り組みをしているかも重要になる。
- 秋山
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我々の評価は基本的にはCSRに取り組む企業のマネジメントシステム、いわゆるその企業の誠実さや透明性を見ている。それをベースに今年度から地球温暖化防止の取り組みにどう対応しているかという調査も行った。環境活動は金融の世界でも重要な要素で、それを生かすも殺すもマネジメント次第である。
企業の目標は「顧客の創造」 (藏本氏)
組織の公器性高める方向へ (髙氏)
- 髙
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企業は経営哲学や理念をしっかり持たなければならない。せっかく構築した内部統制も今回の金融危機では機能していなかったということが分かった。
- 秋山
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CSRは企業それぞれの理念をベースにしたものであるべきだと考えている。そうでなければ本当に魂のこもった活動にはならない。その理念に沿って仕事ができるような仕組みを作っていくことが内部統制ではないだろうか。その点では人事評価も利益を上げた人だけを評価するのではなく、理念に沿って公正な評価を行う必要があると思う。
- 藏本
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利益至上主義には批判が多いが、企業にとって利益追求は重要なことである。しかし、それが金科玉条のように一人歩きしてしまったのが今の金融危機である。ピーター・ドラッカーが言うように企業の究極の目的は「顧客を創造すること」だ。それはステークホルダーのすべてに言えることである。
- 髙
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CSRが今後向かわなければならないのは、組織の独善性に陥らず公器性を高めていくことではないかと思う。大切なことは企業自身の論理に閉じこもらず、あくまでも社会あっての企業だと自覚し続けることである。
- コーディネーター
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- 髙巌 氏
麗澤大学大学院国際経済研究科教授
京都大学経営管理大学院 客員教授
- パネリスト
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- 秋山をね 氏
インテグレックス代表取締役社長
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- 藏本一也 氏
消費者関連専門家会議(ACAP)理事長

- 討論するパネリストら






