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CSRを担う人々 特集2

森と共生し、地域社会をつなぎ日本の林業を元気にする

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住友林業フォレストサービス
紋別山林事業所
齋藤千尋氏
写真 森林

冬になると流氷が接岸する北海道紋別市。この街では現在、基幹産業である漁業や農業に次ぐ、第三の産業として林業の振興に力を入れている。

同市では平成十八年から、地域ブランド「オホーツク産材」の誕生を目指し、適正な森林管理であることを認める「SGEC森林認証」の取得を推進。同年十二月現在で、民有林のおよそ60%に相当する約二万四千ヘクタールがSGEC森林認証を取得、更なる拡大をめざして国有林や道有林にも参画を呼びかけている。一方、住友林業は同年九月に四万ヘクタールを超える国内社有林すべてで森林認証を取得した。その中に、紋別市内から隣接する興部町にわたる約一万五千ヘクタールの社有林が含まれ、紋別市が日本一の"緑の森林認証のまち"と呼ばれる一役を担っている。

この広大な北海道の社有林を管理するスタッフのひとりが、住友林業フォレストサービス・紋別山林事業所の齋藤千尋だ。持続可能な林業の実現や品質の高い木材を供給するため、定期的に山林を調査し、木々の生育状況を見て回り、これまでの調査データをベースに立てた施業計画に基づき、間伐や除伐などを実行していく。

高校三年生のときに、大好きだった木造建築の世界で、日本の歴史的木造建築物が外国産の木材に頼って修繕していることを知り、ショックを受けた。"国産材を復興させたい"と考え、齋藤は森林・林業関係の学科のある大学へ進み、卒業後は住友林業フォレストサービスに入社した。

森林と向き合い、共に生きて四年目となる現在。大学で学んだ知識だけでは、現場には通用しないと、自然の偉大さをかみ締める。「森を生かし地域社会をつなぐ環境づくりのノウハウは、この土地で雨や風、冬の厳しい寒さを何度も経験しなければ自分の中に蓄積できない。地元の林業関係者の方々や職場の先輩から、森林施業のコツなどを教えていただくことも数多くあります」

台風が通過した後には、二日がかりで倒木を撤去したり、自分の背丈ほどもあるクマザサの中に紛れ込んでしまい、道を見失ってしまいそうになったり。「自然の中で木を育てるのは大変な手間と時間がかかります。でも、私たちが真剣に取り組めば、木材の加工業の方がうっとりするほど、木肌の美しい木に育ったりする。その喜びを、家を建てるお客さまへ届けたい」と齋藤はほほ笑む。

質の高い木材を供給することは、地元紋別の経済活性化につながるだけでなく、輸入材に押され気味だった国産材に光明をもたらす。今年から道内で建てられる住友林業の家では、主要構造材の一〇〇%を北海道産の木材にしたように、国産材の良さの見直しが急速に進んでいる。

山林管理者の中には、ささやきあう木の声が聞こえ、言いたいことがわかるという人もいる。「私はまだ聞いたことがないけれど、この仕事を十年、二十年と続けていけば、いつかは……夢ですね」。齋藤は、国産材の復興に向け、これからも森林と生きていこうと静かに誓った。

消費エネルギーの「見える化」で、人々の省エネ意識を変えていく

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オムロン
エネルギーマネジメント事業開発部
企画グループ 商品企画担当 主事
向川信一氏
写真 向川信一氏

電力エネルギーの使用量は目に見えない。目に見えないから意識しづらい。意識しづらいから減らせない----。それなら、見えるようにすればいい。私たちの手で。

オムロンの向川信一は、事業開発本部で課された「環境」をテーマにした新製品開発の答えを発見しつつあった。製品の企画立ち上げから開発・事業化までを担う現在の部署。それまで技術者としてオムロンの先端技術を支えて来た向川は、自分が担当していた無線通信技術と、工場施設などの電力量を計る『電力計測センサ』を応用できないだろうかと考えていた。お客さまから"電気機器ごとに消費電力を計れると便利なんだけど----"と言われていたことを思い出した。

景気回復にともなう需要拡大により、工場施設はもとより、スーパーやコンビニなどの流通・小売業でも、消費電力量は増えているという。削減したいと思いながらも「どこをどう減らせば良いのか」がわからず、具体的には動けない。電気量をリアルタイムでグラフ化し、パソコンや携帯電話で管理できる製品をつくれたら--。

向川は、一歩ずつ製品の開発を進めていった。『電力計測センサ』を小型化し、コンビニなどの狭いスペースに設置できるよう改良した。多数の配線をなくして、無線でのデータ収集も可能にした。そして、計測したデータを携帯電話の通信網を利用してサーバーに送る無線化にも成功。サーバーでデータ処理し、グラフ表示を実現。消費電力を「見える化」した電力量・データ遠隔監視システムの試作品が出来上がった。

「やっと完成した試作品を持ってお客さまを回ったのですが、反応は鈍かった。やはり生産性や売り上げを伸ばすことが第一であるお客さまからは、試運転を依頼しても、試してもいいが、それで何になるのかと厳しい答えが返って来た」

向川は、できる限り試運転に立ち会うことにした。はじき出されたデータによって、何が明確になり、どう役立つのかを自らが理解しようと考えた。実際、コンビニに一日いるだけで、明らかなエアコンの無駄遣いを発見した。ある工場では機械設備の待機電力が、全体の使用量の半分以上を占めていた。データを見た顧客は一様に身を乗り出した。「これは、省エネに対する意識を変える製品なのだ」。向川は確信した。

その後、改良を重ねた『電力量・データ遠隔監視システム』は多くの工場、スーパーやコンビニで電力使用の監視センターとして 活躍している。京都市では全二百八十三の市立小中高等学校と幼稚園で導入、環境をテーマにした授業にも生かされているという。

向川はいま、電力だけでなく、ガスや水道の使用量もリアルタイムで計測する装置を開発している。すべてのエネルギーや資源を「見える化」することで変化していく、人々の省エネへの意識。その先にある未来をめざして。

齋藤千尋
住友林業フォレストサービス 紋別山林事業所
福島県出身。2004年入社。間伐などの山林作業の実行・管理や山林の調査・予算の立案など、紋別周辺に位置する住友林業社有林の管理を行う。紋別で暮らすようになって4年目。北海道の人でもなかなか出くわさない熊に2度も出合ったことがある。山林に入るときは、護身用の鈴が欠かせないという。
向川信一
オムロン エネルギーマネジメント事業開発部 企画グループ 商品企画担当 主事
1990年入社。技術開発担当を経て、2004年より事業開発本部で商品企画に従事。自社が持つさまざまな技術を複合し、社会に貢献する新商品の企画開発、商品化を担う。
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