GOLDシンポジウムレポート
3月22日(金木)、ロサンゼルスに日米から200名を超える女性リーダーたちが集まり、“21st Century Women Leaders: Building Bridges Across the Pacific”と題した「21st Century Women Leaders Symposium」(主催:GOLD http://www.goldleaders.org/)が開催された。
シンポジウム前夜に行われたVIPウェルカムパーティーでは、兒玉和夫総領事のあいさつの後、TOYOTA U.S.から副社長・最高財務責任者のトレーシー・ドイ氏が、日本からはNPO法人女子教育奨励会(JKSK)理事長の木全ミツ氏が登場。「女性の本来持っている活力(能力、エネルギー、感性、行動力、チャレンジ精神)を真剣に活用してこなかった歴史にピリオドを打ち、50:50のノーマルな社会の実現にまい進しなければならない」と語り、出席者らの明日のシンポジウムへの期待が高まっていった。
22日、午前8時30分から始まったシンポジウムでは、岩男寿美子氏がキーノートスピーチを行い、日本政府の女性チャレンジ政策で良くなりつつある女性の現状と経済的地位について、女性管理職が増加傾向にある企業の業績が高いデータなどを詳しく示しながら報告。さらに、日本女性の未来を概観し、グローバルリーダーの役割と今後の展望を語った。
9時20分から「企業にとってなぜダイバーシティ&インクルージョンとウィメンズイニシャティアチブがなぜ企業の収益向上にプラスになるのか:アメリカの視点・日本の視点」必要なのか」をテーマに、日米によるパネルディスカッションが行われた。日本からNPO法人GEWEL代表、堀井紀壬子氏と副代表のアン佐渡氏がパネルリストとして発言し、日本企業の現状と課題、米国企業とのギャップなどを改善への期待をこめて語った。その後の分科会では、「21世紀型リーダーシップ」や「なぜ日本とのビジネスが重要なのかに女性リーダーが育たないのか」についてディスカッションが行われた。
私が参加した「21世紀型リーダーシップ」のセッションでは、「それぞれの人が持つ文化によって尊敬するリーダー像が違う。例えば、ミーティングで積極的に多く話すことを評価する文化もあるが、反対にあまり話さずに他者の言うことをよく聞き、的確な判断ができるほうを評価する文化もある。リーダーとはこうあるべきと決めてしまわず、話し合いながら自分たちはどんなリーダーを尊敬するのか、何を評価するのかを納得することが重要」というプレゼンテーションがあった。プレゼンテーターのリンダ・アクタガワ氏は日系人女性で、彼女が副代表を務めるLEAP(Leaderhip Education for Asian Pacifics, Inc.)というNPOでは、アジア系の人たちのためのリーダーシップトレーニングを行っている。彼女自身もエスニックな服装で場に浮くことなく、静かなリーダーシップを自ら体現していた。
午後の分科会では、「リーダー育成にメンター制度をどう生かすか」「21世紀のリーダーシップブランドとは?」などをテーマに話し合われた。最後の全体会では、日本在住の米国人コンサルタントデビー・ハワード氏が「グローバル化する世界と日本の消費マーケットの変化とその影響がもたらす新しいビジネス機会」について詳細なデータとともに話し、改めて日本に対する関心が深まり、広がった。
多彩な女性リーダーたちと盛りだくさんな内容で行われたシンポジウムだったが、締めくくりは、人と人がつながるネットワーキングパーティーだ。ワインやソフトドリンクを手に、「あなたは何をしているの?」「どうしたいの?」とお互いに関心を寄せ合い、メールアドレスを交換し合ってタフな1日が終わった。
GOLDでは若い女性たちへの期待をこめて、奨学金を出して参加を促していた。分科会やネットワーキングでも、若い女子学生がリーダーたちに積極的に話しかけ、質問をしていた。こういう機会に多くの女性リーダーのロールモデルに触れることは彼女たちが将来ビジョンを描くうえでとても重要なことだ。次回は「日本のMBA女子学生たちのためのプログラム」を今年8月にロサンゼルスで開催する予定という。
今回のシンポジウムの参加者は、年齢も人種もさまざまで、企業の管理職や起業家や専門職といった女性リーダーたちだった。ここで出会った人から改めて感じるのは、女性リーダーたちは皆セルフエスティーム(自尊感情)が高いということ。自分らしくありつづけるために葛藤しながらも、シンプルに、楽しみながら人生を歩んでいることだ。管理職女性が50%を超える米国と比べると部長相当の女性が3.2%(平成17年6月、財団法人21世紀職業財団調べ)しかいない日本は、明らかに偏っている。女性たちの能力を生かせない日本の組織は、実にもったいないことをしている。
しかし、それにめげることなく、理想は高く持ち、シンプルに自分の信じるところをただ歩きつづけるといい、と言われたように感じる。歩く過程で、出会う人たちとの一瞬を大切にして、時に手を取り合って、支え合い、助け合いながら誠実に歩きつづける。そんなわかりやすいメッセージをもらってわたしのしぼみかけていた勇気もふくらんだようだ。GOLD創設者である建部博子氏のように、日本から飛び出して、広い世界を舞台に活躍している人の存在は同じ日本女性としてとても誇らしいこと。このシンポジウムにより、改めて日米の女性たちの思いがつながり、お互いに切磋琢磨して影響を及ぼし合い、より良い世界をつくっていく第一歩となったことに大きな拍手を送りたい。
- 佐々木 まき (ささき まき)
- NPO法人GEWEL 監事
1988年同志社大学卒業。大阪のNPO法人女性と仕事研究所で自治体の女性行動計画づくりに携わり、女性政策課との委託事業、女性の意識・実態調査、啓発冊子などを担当。
その後、(社)日本家庭生活研究協会で文部科学省推薦事業の助成金プロジェクト「父親の家庭参画促進事業」の事務局を担当、実施協力。2004年からNPO 法人GEWELにてセルフエスティーム向上ワークショップや調査、海外交流事業を実施。またCPCC(米国CTI認定プロフェッショナルコーチ)として、人と地域を元気にするワークショップを行っている。






