企業と地域貢献
地方の疲弊が今大きな課題である。シャッター通り、財政の破綻そして一層進展する過疎化と、どれ一つをとっても厳しさがますばかりである。従来の企業と自治体との関係は、企業城下町に代表される、雇用と納税といった経済効果が主であった。これが国際化などで状況が大きく変化した。最近では、市町村の活性化といった運動に、企業活動のなかで蓄積されたノウハウを生かして企業なり、その従業員なりが参加するケースが増えてきている。CSRでいう地域貢献である。
この背景としては、企業の中に企業市民といった風土が定着しつつあると同時に、震災などのボランティア体験を通じて社会貢献に参画しようという従業員が、増えてきたからであろう。また「市民=住民」からの企業をみる目線がより厳しさをましたことに対応し、CSRの積極的側面を企業が重視し始めたのも大きな要因である。
今回紹介する、筆者が属するポラスグループの地域貢献は、本業にリンクしまたその経営理念に基づいているというのが大きな特徴である。首都圏、埼玉県の東南部に位置する越谷市を中心とした20キロ圏を営業拠点とする総合住宅メ-カーであるポラスグループは、この業界の通例とは異なり、大工・職人さんたちと専属契約を結ぶ直営施工体制を敷くとともにクレームなど要望があれば、お客様のところに1時間半で駆け付けられる地域密着経営を続けている。来年で創業40年を迎えるが、この経営理念に忠実に営業範囲の大幅な拡大をせず、地域とともに生きていく姿勢を続けている。
土地価格の上昇・下落に経営状況が大きく左右されがちな不動産(建売)を商いの中心におくため、企業規模(連結売上高1124億円)では文句なく上場基準を満たしているものの、あえて非上場を続けているのはCS経営・地域密着経営といった理念経営を貫くためでもある。
埼玉県有数企業に育ったポラスには、文化支援の援助の依頼も多く地域振興の観点から、芸術劇場・合唱団やママさんバレー、少年サッカーなどに協力しているが、なんといっても南越谷阿波踊りの全面バックアップが地域貢献活動の中心である。
商店会・自治会や市の観光協会などで構成される、南越谷阿波踊り実行委員会が主催するこのイベントのそもそもの始まりは、グループ創業者の故中内俊三が典型的な埼玉都民であるこの地域の住民の方々に「故郷意識」を持ってもらうには「強力なイベント=お祭り」が必要だと、故郷,徳島の阿波踊りを24年前に持ち込んだことに端を発するのである。
街づくり、地域振興のために「会社がつぶれても阿波踊りはつぶさない」というトップの強い思いを受けて、南越谷阿波踊り運営の中核をなすポラスの従業員は、部課長クラスの事務局長を筆頭にお祭りの成功に全力を挙げている。踊りの「連」の主要メンバーであるほか、設営準備そして警備といった裏方、さらには資金集めなどに2100名の社員のほとんどがなんらかの形でかかわっている。
第24回目、平成20年の今年も8月23日・24日と小雨ふるなか、熱気に包まれて開催された。筆者も第16回・17回と事務局長を2年間務めたが、その祭りのおり、たまたま出会った地元の主婦の「こんないいお祭りはない。げたで楽しめるのも最高」との言葉に、経営理念の地元密着の意義を改めて感じたものである。シャッターのおりた店が見あたらない、駅前を見るたびに、このお祭りが地域に与えた影響を感じることも多い。
一人一人が経営理念を意識し(年2回、半期ごとにどう経営理念を実践したかを全員がレポートする)お客様や地域の住民と誠実に向かい合っている姿勢を愚直なまでに続けていけば、地域貢献の新しいモデルになるのではないだろうか。そのためにも、仕事をはなれた場面、つまり地域の住民として地域にどうかかわれるかが次の大きな課題である。
- 明石 雅史 (あかし まさふみ)
- ポラス株式会社 執行役員 広報部長
1970年ユニチカ入社、象印マホービンを経て
1995年、ポラスグループ・中央住宅入社
1998年 中央住宅 取締役広報宣伝部長。
2003年より組織変更に伴い現職。






