第206回 沖縄県実食編 やっと会えたよオジサンと

特別編集委員 野瀬泰申


 突然ですが、今週は沖縄県実食編。1月なのに20度を軽く上回る沖縄に行ってきました。春のような陽気に誘われて、取材に向かう足取りも軽やかです。はたしてどんな「沖縄の食」を実食してきたのでしょうか? 乞うご期待。
 今週のおかわりは、デスク版沖縄県実食編。金武、北谷を中心に沖縄本島中・北部の食を探訪して来ました
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沖縄と言えば青い海
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沖縄と言えば青い海

 2015年1月24日から2泊3日で沖縄県実食の旅に出た。旅に出ることは岩手県編の最終回に書いていたが、いつ書くのは決めていなかった。従って文末は「次のターゲットは福岡県」となっていた。

 ところが「沖縄に行って帰るのが月曜ですが、すぐに書くということで」というデスクの言葉が耳に残っていた。そこでデスクに電話した。

「今週は何やるの?」
「沖縄の旅のつもりです」
「そうなの?」

そしてシーサー
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そしてシーサー

 ということで、いま書いている。

 予告なしで申し訳ないが、福岡県編は来週からということで、今回は私とデスクの沖縄の旅にお付き合い願いたい。

 本当は平日に行きたかったのだが、前週は平日に取材などの予定が立て込んでいて土曜日の出発になった。

 私にとって、沖縄は確か5度目である。しかしデスクは今回が初沖縄という。

 そこで私が南部、デスクが中部と北部という具合に手分けをして回ることにした。事前にデスクの予定を見たら、まあ食べる計画がずらりである。

那覇空港に着きました
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那覇空港に着きました

 初日に那覇の「三笠食堂で定食」とあった。那覇には「花笠食堂」という有名店もあるが、まあ見るだけにしておこう。食べ歩きではないし。

 機内で弁当を食べ、本を読んでいるうちに那覇空港に着いた。

 東京との気温差は10度。20度は超えていて蒸し暑いくらいである。東京で身につけていたダウンジャケットとマフラーをリュックにしまい、ほぼ夏の格好でタクシーに乗り込んだ。行き先は糸満市中央市場である。

糸満市中央市場
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糸満市中央市場

 沖縄には市場が多い。それも戦後すぐの姿をとどめたものがいくつもある。糸満市中央市場もそのひとつ。だが世の常で郊外型ショッピングセンターなどができて寂しくなったと聞いていた。

 行ってみるとその通り。人が少ない。

「空店舗募集」と書いたブースがいくつもある。念のためだが、これは空き店舗を募集しているのではなく、空き店舗なので出店者を募集の意味である。間違えてはいけない。

 食堂が営業中。「ぜんざい」でも食べようかと思ってのぞいたが、カウンターに客かどうかわからない女性が1人座っているが、店の人の姿はない。

市場の内部
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市場の内部

 その辺をうろうろしていたら角のかまぼこ専門店の「おばー」と目が合った。板に並べたかまぼこにはハエよけかホコリよけの網がかけてある。

「かまぼこの写真を撮ってもいいですか?」
「いいですよ」

 おばーはにこやかに網をどけてくれた。

 色も形も様々なかまぼこが現われた。本土では見ることができないものばかりである。

おばーのかまぼこ
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おばーのかまぼこ

「この白くて長いのを薄く切って沖縄そばにのせるのね。赤いのは白いのに色を着けたもの。お祝いのときは赤、不祝儀のときは白。でも私は年中、白いのばかり食べてるの」

 という趣旨のことをできるだけ私にわかるように話してくれた。話しながら手は包丁を握り、かまぼこを少し切って紙ナプキンにのせる。

「はい、食べてみて」

 遠慮なく受け取って口に運ぶ。かまぼこはかまぼこなのだが、東京で食べている板付きのものとは歯応えが違う。弾力があって魚の味が強い。後で写真をご覧いただくが、沖縄近海で取れる魚は本土と全く異なっている。そんな魚でこしらえるかまぼこだから、当然味わいが違うのである。

いただきました
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いただきました

 味見の1品を食べ終わらないうちにまた、おばーの手が伸びてきた。

「これもどうぞ」

 別の1品をごちそうになる。

 かまぼこは、ほぼ生ものなので買って帰るわけにはいかない。おばーもそうとわかっているだろうに、このサービス。

「朝来たら、温かいかまぼこを食べてもらえたのにねえ」

 あくまで、おばーは優しい。

空店舗募集中
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空店舗募集中

 かつお節の専門店や衣料品店などもあって、かつては買い物客でにぎわったことであろう。

 市場からタクシーに乗ろうと思って広い道に出た。東京ではないから流しのタクシーはいない。コンビニに入って聞いてみた。

「タクシーを呼びたいのですが、電話番号などご存じですか?」

 すると若い男性が言った。

「タクシー? あっ、いいですよ。ボクが呼びます」

糸満の港
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糸満の港

 男性は自分のスマホを取り出して、二言三言話して切った。

「すぐ来ます」

 お礼を述べて外に出たら、男性もついてきた。

 タクシーはすぐにやって来た。私が乗り込むまで男性はそばにいた。

 優しいなあ。うちの子にしたいくらいだなあ。

 向かったのは市内西崎にあるホテル。県営のスポーツ公園に隣接した宿泊施設で、そこを選んだのは大浴場があるのと、取材ポイントに歩いていけるからだった。

うまんちゅ市場
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うまんちゅ市場

 このホテルはスポーツ合宿に使われることが多く、その日は韓国の野球チームかクラブが大勢で泊まっていた。

 部屋にリュックを置いて取材に向かう。目的地は「道の駅いとまん」である。といっても普通のそれではなく「ファーマーズマーケット うまんちゅ市場」と「糸満市物産センター 遊食楽(ゆくら)」、それに糸満漁協直営の「お魚センター」で構成される複合施設なのである。

 農業、漁業、物産のすべてを1カ所で見ることができる。徒歩とタクシーしか移動手段を持たない私には、これ以上の絶好ポイントはない。

フダンソウ 売り場はにぎわっている
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フダンソウ 売り場はにぎわっている

 まず「うまんちゅ市場」に入ってみて驚いた。東京のスーパー並みに混んでいる。いや混んでいるときの東京のスーパーみたいである。みんな地元の人であろうか。それとも外からわざわざ来ているのであろうか。みんな様々なものを大量に買っていく。

糸満の野菜コーナーがあった。

「フダンソウ(方言名 ンースナバー)」

「食材図典V 地産食材篇」を開くと「沖縄・奄美」の野菜として登場している。「葉はやわらかく、茎はシャキシャキ」だがアクが強いために下ゆでが必要という。沖縄では白和えや、炒めたものを味噌で煮込んで食べる、とある。

最近注目のサクナ
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最近注目のサクナ

「サクナ」というのはボタンボウフウのことだが食材図典には出てこない。しかし最近とみに注目を集めている野菜だ。ここでは書きにくいので、関心がある方は「長命草×資生堂」で検索

「ハンダマ」は内地の水前寺菜、金時草(きんじそう)と同じもの。

 沖縄の野菜は、どこかワイルドで栄養が詰まっていそうな感じがする。

 気になったのはアテモヤという果物だった。初めて見るし、名前を聞くのも初めて。豪州原産の亜熱帯果樹の実だそうで、ものすごく甘いという。

ぜんざいを食べる
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ぜんざいを食べる

「あまがし」の缶詰もあった。沖縄ぜんざいのルーツともいわれる伝統菓子だが、この缶詰にはパイナップルも入っており、ややアレンジされている。

 いろいろな物を買って東京の自宅に送り、物産センターへ。

「なるほどね」という感じで見て回り、イートインコーナーで「ぜんざい」を食べる。シンプルでとてもいいものであった。

 続いてお魚センター。説明するのは難しい。沖縄近海の魚がずらりと並んでいるのだが、標準和名がわからない。どのようにして食べるのかもよくわからない。刺身にするか焼くか煮るかするのだろうが。

沖縄の魚はわかりません
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沖縄の魚はわかりません

 その中で「カタカシ」という魚には見覚えがあった。

 店の女性に聞いてみた。

「この魚は、えーっと」
「オジサンですよ」

 そうなのである。「偏食アカデミー」という連載でこの魚を取り上げ、写真を撮るのに大阪の水族館「海遊館」までわざわざ出かけたものであった。それが沖縄では普通の魚として魚屋さんの店頭に並んでいたのである。

こんなところに「オジサン」が
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こんなところに「オジサン」が

「オジサン、久しぶりだねえ。昔から雌でもオジサンだもんね」

 と話しかけたらアヤシイので、黙って写真を撮ったのだった。

 南の島の夕暮れは遅い。午後6時半ごろまで薄明るいのである。ホテルの大浴場ではなかった、中浴場に入って夕食に出た。

 歩いて15分ほどのところに飲食店が集まった一角がある。その中の1軒に入った。

天ぷらにはウスターソース
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天ぷらにはウスターソース

 居酒屋なので何でもあるが、沖縄らしくてローカロリーで量が少ないものとなると限られてくる。突き出しがサケのフライとキムチだったので、熟考の末、モズクの天ぷらにして糸満産の泡盛を注文した。

 モズクの天ぷらなら胃の負担にならないだろうと思っていたのが大間違いで、沖縄の天ぷらはフリッター状であるうえ、モズク主体ではなくて小麦粉主体だった。加えてこの量である。半分でおなかがふくれてしまった。

 天ぷらのそばの小皿に入っているのはウスターソース。

沖縄の天ぷらは衣が厚い
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沖縄の天ぷらは衣が厚い

「沖縄では天ぷらはウスターソースに決まっています」

 若い男性がカウンターの中から言った。

 天ぷらを半分残しでスーチカー(豚の三枚肉の塩漬け)に挑戦する気になるも「1人前は7、8切れです」という答えに断念してしまった。ダンネンだった。

 そんなわけで突き出しとかモズクの天ぷらを箸でつつきながら、泡盛をちびちびやっていたら、店主らしい男性が缶コーヒーをくれた。

泡盛に缶コーヒー アリです
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泡盛に缶コーヒー アリです

「これで泡盛を割るのもアリですよ」 

 私は無糖派層ではないので、缶コーヒーは微糖がいいのだが、泡盛を割るなら無糖であろう。

 好意に甘えて泡盛に缶コーヒーを注ぐ。おっ、アリだ。皆さんもお試しあれ。

 ということで初日は終了。ホテルの部屋でちょこっと飲んで爆睡した。

 翌朝、お仕着せの和定食を食べて、デジカメのスイッチを入れてみたらうんともすんとも言わない。電池切れ? 充電器につないでしばらく待ち、再度スイッチを入れたたものの、やはり応答なし。壊れたのかもしれない。

ひめゆりの塔
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ひめゆりの塔

 以前なら慌てたろうが、いまはスマホのカメラが優秀である。デジカメを置いて「ひめゆりの塔」に向かった。沖縄の主な戦争関連施設で未訪問だったのがひめゆりの塔だったからである。 

 入り口で献花用の花束を買い、修学旅行の高校生の一団に着いて進む。ガイドさんの説明を一緒に聞きながら献花。「ひめゆり平和祈念資料館」に入った。

 説明は不要であろう。厳粛な思いを抱いて参拝を終えた。

米須霊域
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米須霊域

 外に出て、さきほどの花束を売っているところで、おばーと立ち話。

「この先の信号を曲がった先に、海がきれいなところがあるよ。時間があったら行ってみなさい」

 その言葉で、少し歩いてみる気になった。おばーが言った信号のところに看板があった。道の先は「米須霊域」といって各地の戦没者を祭る塔が点在している。観光バスは、ひめゆりの塔から次の目的地に走り去る。だからほとんどの観光客は、この霊域の存在を知らないに違いない。私も知らなかった。

「久留米」の文字が見える
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「久留米」の文字が見える

 看板の反対側に「久留米」の文字が見える塔があった。私は少し驚き、歩み寄って碑文を読んだ。沖縄戦のときに久留米第一陸軍予備士官学校を出た学徒出陣の15人が、海上特攻や陸戦で戦死した。そのみ霊を祭っていると書いてある。

 私は、こんなところで、ふるさと久留米の文字を目にするとは思っていなかった。何か沈痛な思いにとらわれ、道の先に目をやると「ひむかいの塔」があった。宮崎県出身の戦死者を弔っている。

 さらに「ずいせんの塔」。沖縄県立首里高等女学校と同女子工芸学校の死者を祭る。もうひとつの「ひめゆりの塔」だが、語り部もなく静かにたたずんでいる。

 私は自分の子どもより若い身空で、無念の死を迎えた人々に手を合わせ、観光バスが何台も止まる元の場所に引き返した。

守礼門をくぐる
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守礼門をくぐる

 電話でタクシーを呼んで、那覇市の首里城に向かった。首里城は1度行っているが、素通りというわけにはいくまい。30分ほどで到着し、守礼門をくぐった。周囲は観光客でいっぱいだが、彼ら彼女らのほとんどが日本語ではない。円安でたくさんお金を落としていくのだろうか。でもあんまり大声でしゃべらないで、静かにお金を落としてね。

 ちょうどお昼時になった。ゆいレールの首里駅まで歩いた。その辺で何か食べるつもりである。首里駅のエスカレーターの前に来たとき、三線の音が聞こえた。首を巡らせると、沖縄そばの店の厨房で男性が三線を弾いているのが網戸越しに見えた。私は誘われるように店内の人となった。

網戸越しに三線の音が
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網戸越しに三線の音が

 券売機で「沖縄そばセット」(800円)を買ってテーブルに腰を下ろした。客は私1人である。やがて料理が届けられた。沖縄そばにジューシー(炊き込みご飯)、ゴーヤーのいため物、島豆腐、モズクの酢の物、大根の漬物と豪華である。

 事前に「ジューシーは少なめに」と言ってあったので茶わんの中は少なめだが、その隣に「本来ならこれもよそっていたもの」がラップに包んで置いてある。持って行け、という親切心である。こんな親切心は初めてであった。

三線の弾き語り
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三線の弾き語り

 写真を撮り、さあ食べようとした瞬間、ご主人が私のそばに来て行った。

「では沖縄民謡を聴いてください」
「ええっ?」

 いきなり三線の弾き語りが始まった。曲は「安里屋ユンタ」であった。続いてその変拍子。その次は私の知らない曲。びっくりしたが、こんな予想もしないいいことがあるのが旅の楽しみである。私は思わず手拍子を打ちたくなった。

 しかし手拍子を打っていると、ご飯が食べられない。そばが伸びる。食べるのに専念すると、せっかく演奏を聴かせてくれているご主人に失礼である。

沖縄そばセット
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沖縄そばセット

 聴こか食べよか食べよか聴こか。

 心は千々に乱れ、乙女心は激しく揺れ動いたのであった。しかし私は乙女ではないので、平然と食べながらときどき顔をあげ、首を振り、箸を動かしていた。

 食べ終わるのと演奏が終わるのはほぼ同時であった。唯一の客である私は、力の限り拍手をした。そしてまず沖縄そばの美味さを称えた。実際、とんこつスープの味わいは深く、お肉もとろけるようであった。

 ジューシーもほどよい味付けであったし、モズクの酢の加減も同様。

周辺を歩き回る
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周辺を歩き回る

 私と同じ63歳のご主人は三線歴11年目。いま弾くのが面白くて仕方がないと言った。私は無理やり聞き役にされたのであろうか。それともサービス精神の表れであろうか。どっちでもよろしい。とにかく楽しかった。

 ゆいレールで牧志へ。

 ホテルに荷物を預けて散策に出る。牧志公設市場は狙い澄ましたように月に1度の休みの日にぶつかっていた。周辺の市場を歩き回り、さらに沖映通りをずっと行って美栄橋駅に着いた。

人参しりしり〜発見
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人参しりしり〜発見

 ちょうどコーヒーが飲みたかった。トイレにも行きたかった。折よく喫茶店があったので入ってみた。

 コーヒーを注文してトイレへ。テーブルに戻ると、奥さんがやって来た。

「サービスです」
「何ですか、これ」
「大根サラダ」

 細く切った大根。シソが詰まった竹輪。食べてみたら美味しい。

コーヒー&大根サラダ
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コーヒー&大根サラダ

 そこにコーヒーが運ばれてきた。並べて写真を撮る。撮りながら考える。

 大根サラダは美味しい。コーヒーも美味しい。でも大根サラダを食べながらコーヒーを飲んだら美味しいだろうか。

 泡盛ならいいかもしれない。しかし目の前にあるのはコーヒーである。

 考えずサラダを片付けた。水を飲んでサラダの味を流し、それからコーヒーに取りかかった。

沖縄ローカルチェーンの圧倒的ボリューム
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沖縄ローカルチェーンの圧倒的ボリューム

 昨夜の泡盛に缶コーヒー。先ほどの「いきなり沖縄民謡」に続く「いやでも大根サラダ」であった。今回の旅は収穫が多い。

 ホテルに戻り一休み。暗くなるのを待って晩ご飯に出かけた。念のためデジカメに充電器をつなぎ、コンセントに差し込んでおいた。

 過去の経験から国際通りの店で1人飯はつらいことがわかっていた。そこでゆいレールを1駅乗って安里に行った。思った通り地元の皆さん御用達の店がいくつもある。そのうちの1軒に入る。

生ピーマンの細切りごま油かけ塩昆布のせ
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生ピーマンの細切りごま油かけ塩昆布のせ

 入ったとたん「ビンゴ」の声が出そうになった。カウンターがあって、その先にテーブル席がいくつか。それだけの店なのだが、メニューは豊富である。日本酒もある。

 突き出しは切ったキャベツに鶏の空揚げが1個。1個がいい。

 焼酎のシークヮーサー割でのどを潤して日本酒を頼む。つまみは生のピーマンを細切りにし、ごま油をかけて塩昆布を散らしたもの。これがシンプルで実に美味かった。東京に戻って自分でこしらえてみたが、簡単なのに箸が進んだ。これ、お薦め。

レンコンのカマンベールチーズ、ミニトマトのせ
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レンコンのカマンベールチーズ、ミニトマトのせ

 ついで熱を通したレンコンにカマンベールチーズとミニトマトをのせたものを食べてみた。なかなかやるのお、この店は。

 メニューにサンドイッチの持ち帰りができると書いてある。晩ご飯にサンドイッチは苦しゅうない。卵サンドを注文した。

 軽く飲み軽く食べて、サンドイッチ込みで2000円ちょっとであった。

 ホテルに帰ってデジカメのスイッチを押してみる。すると小さく「ウイーン」と唸ってレンズが伸びた。何だ電池切れだったのか。

持ち帰りの卵サンド
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持ち帰りの卵サンド

 で、生き返ったデジカメで撮ったのがサンドイッチ。美味かったよ。

 時計が9時を指した。もう寝る。実は翌朝午前1時半に起きる予定である。

 出発の前日、会社ですれ違った一芸クンに沖縄行きの話をすると、彼は言った。

「ノーレン市場に行ってください。ノーレン市場」

 そのノーレン市場を訪ねるのである。正しくは「農連中央市場」という。戦後すぐに始まった市場で、本土からの野菜が手に入らない中部や北部の業者に重宝されてきたという。直接販売する農家の人も多く、新鮮で安いのが魅力だった。しかし、建物が古くなって危険ということで、今年の春から取り壊しが始まり、再開発が進むことになっている。

午前2時の農連市場
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午前2時の農連市場

 つまり、農連市場のいまの姿を見る最後のチャンスになるであろう。

 目覚ましが1時半にとんでもない音を出して、飛び起きた。手早く着替えて農連市場に向かう。月曜の未明というのに、何組もの若い人々のグループが道ばたで話し込んでいる。飲んで帰る観光客らしい一団も通り過ぎる。

 街灯の先に農連市場の薄明かりが見えてきた。市場の外の店でモヤシを洗って袋詰めする女性が見える。葉物野菜を整えている別の店もある。

早すぎた?
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早すぎた?

 だが市場の中はがらーんとしていた。確かに農家の人らしい女性がニンジンなどを並べている。野菜が積まれたままの板もある。要するに早すぎたらしいのである。

 那覇に着いて何人かの人に聞いたところでは、午前1時ごろ始まって早朝に終わる。6時7時に行ったので遅いという話であった。だから2時に着いたのであるが、これからという雰囲気である。

 開店準備をしている男性に話しかけた。

「にぎわう時間は決まっていないよ。今日は少し遅いのかな」

沖縄土産いろいろ
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沖縄土産いろいろ

 話の調子からは違うニュアンスが漂ってくる。

 再開発が決まってから、店を出す人が減ってきたのではあるまいか。その前から減っていたのかもしれない。

 その男性はしみじみと言った。

「一番にぎやかだったのは15年も前かなあ」

 1時間ほど待ったがそれほどの変化はないし、待っても一見の客が買う物はない。諦めてホテルに戻って、浅い眠りの果てに朝を迎えた。

沖縄三越は閉店していた
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沖縄三越は閉店していた

 3日目は帰るだけ。飛行機の時間まで少しあったので、国際通りを牧志から県庁前まで歩く。以前来たとき入った地元資本の沖縄三越は昨年閉店し、改装工事中であった。沖縄経済も厳しいのかな。

 帰りの機中、読書の予定が爆睡の時間に変わってしまった。土日の旅だったのでまた休みなしで通勤が始まった。始まったところでこの原稿である。本日はもう、日本の正しいおじさんが銭湯に行く時間をとうに過ぎている。

 7434文字も書いた。疲れたから、これでお終い。

 次回から福岡県編。よろしく頼むばい。

(特別編集委員 野瀬泰申)

*映像はflashビデオです。一部機種では再生できないことがあります。ご容赦ください。


★今週のおかわりは「金武グ・オブ・タコライス、古き良き「基地の町」〜デスク版沖縄県実食編」です。ぜひお読みください。

沖縄県編(その1) にんじんしりしり知りません?

沖縄県編(その2) コンビーフハッシュに拍手

沖縄県編(その3) 沖縄は琴姫さまのボンカレー

沖縄県編(その4) できたて豆腐を湯切りして


 


●筆者(特別編集委員 野瀬泰申)へのお気軽メールはこちら(tabeb@nex.nikkei.co.jp

2015年1月30日

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