新春番外編 日本全国お雑煮図鑑2012(四国・九州編)


  • 愛媛県/松山市(松山の坂本さん)

    愛媛県松山市のお雑煮(松山の坂本さん提供)
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    愛媛県松山市のお雑煮(松山の坂本さん提供)

     出しはかつお節と昆布、薄口醤油(ヒガシマル)で味付けします。餅は丸餅で、もちとり粉のついたそのまま入れるのでとろっとなります。具はニンジン、大根 青みはネギか春菊か三つ葉です。

     お餅は、近所の方がついた丸餅をもろぶたいっぱい届けていただきます。写真に写っているのは鏡餅バージョンでちょっと大きめのです。

     のしもちは愛媛ではほとんど見ません。大学生の時、農業祭(農学部)でもちつきの担当をしました。あんこ入り丸餅が3個で100円だったのですが、とにかく人手が足りないので丸めるのが間に合わなくて大変。「そういやのしもちってあるやん。あれやったら丸めんでええやん」とためしによもぎののしもち1パック100円を並べてみたのですが、まったく売れない! 見向きもされない!

    丸餅(松山の坂本さん提供)
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    丸餅(松山の坂本さん提供)

     私が持ち帰って焼いて食べるはめになりました。かなりお得だったんですけどね。

     南予の方でのしもちを作ることもあるんですが、あのあたりは芋(さつまいも)をつきこんで作るので、でき上がりはわりと「さくい」というか、柔らかいので包丁で切れるのです。

     つまり何が言いたいかというとですね、温暖な瀬戸内海でほんわか育った愛媛県民は固いのしもちを切る根性がない!のではないかと。

    豪華版お雑煮(松山の坂本さん提供)
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    豪華版お雑煮(松山の坂本さん提供)

     写真は、昨年おせちに入る予定だった伊勢エビさんが失われた自由を求めてアイキャンフライしたのを、元旦におがくずの中でがさごそしているのをとっつかまえてお雑煮にしてしまった豪華版です。ついでに余っていた鯛のあらも入っています。おせち料理で余った野菜が入るだけなので、これが正しいお雑煮の姿だとはあまり思っていません。

     おせちを…100人前、しかも3〜40種類作るので…力尽きてですね…。お雑煮は、とりあえず基本の出しに丸餅が浮いてヒガシマルの薄口を入れたら細けぇこたぁいいんだよ!です。

    デスク 坂本さん家は、愛媛県実食編でもおなじみになりましたが、料理屋さんです。確かにおせちを100人前も作ったら力尽きますよね。

  • 愛媛県/宇和島市(泉州ずまい30ねんさん)

    米粉団子のお雑煮(泉州ずまい30ねんさん)
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    米粉団子のお雑煮(泉州ずまい30ねんさん)

     私の故郷、愛媛県宇和島市遊子(ゆす)のお雑煮です。昔を思い出して作ってみました。出しは、白身魚を焼いて取ります。何て名前の魚か記憶にありません。鯛で代用できます。醤油味でじゃこ天、赤目芋、高菜(ほうれん草で代用)。餅は、餅ではなく米粉の団子です。

    デスク お餅そのものを入れなかった秋田県横手に続いて衝撃的な物件の登場です。餅ではなく、米粉のお団子を使ったお雑煮とは!

  • 福岡県/久留米市(豆津橋渡さん)

    佐賀県南西部のお雑煮?(豆津橋渡さん提供)
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    佐賀県南西部のお雑煮?(豆津橋渡さん提供)

     出しはシイタケ、昆布、鶏(親鳥)、スルメイカ。味付けは塩、薄口醤油、酒、みりん。餅は丸餅を焼いてから少し煮る。具はシイタケ(出し)、鶏(出し)、スルメイカ(出し)、かまぼこ、ニンジン、かつお菜。

     福岡(博多)の雑煮の出しは「あご出し(トビウオ)」と言われますが、ウチは両親が佐賀県出身(父・鳥栖、母・神崎)なのでちょっと違います。母が作っていたものを再現してみました。佐賀県南西部の味かもしれません。

     出しは干しシイタケと昆布のほかに親鳥を入れます。出しにするので食べるときはかなり硬く、子どものころはちょっと苦手でした。そしてスルメイカを入れます。餅は焼いたものをちょっとだけ煮ます。

    にゅうめん(豆津橋渡さん提供)
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    にゅうめん(豆津橋渡さん提供)

     歯ごたえのあるものが多いのは、もしかしたら父親の好みだったのかもしれませんね。

     そして欠かせないのが「かつお菜」。けっこう沢山入れます。アブラナ科で高菜の仲間だそうです。ほのかにかつおのような香りがします。昔の野菜はもっと香りが強かったのかもしれません。

     子どものころから、そして今でも大好きなのは、残った雑煮の汁で作る「にゅうめん」。佐賀の神崎は製麺が盛んで、冷麦のにゅうめんが食卓に出ると、一束に数本入ったいる赤や青の色のついた麺を探して喜んでいました。

  • 福岡県/朝倉市(カルミンさん)

    カツオ菜(豆津橋渡さん提供)
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    カツオ菜(豆津橋渡さん提供)

     主人の実家のものが(私には)非常に珍しいものですので、去年撮影したものですがお送りします。場所は福岡県朝倉市です。

     出しは昆布とスルメイカです。スルメイカはちくわの下に、昆布はお椀の左に見えます。出しをとった後はこうして食べます。味付けは、醤油とみりんまたはお砂糖少々といったところ。餅の形は、九州ですので丸です。軽く炙った後、くたくたになるまで煮ます。お椀の底でぐったりしています。

     具はニンジン、レンコン、大根、かつお菜、サトイモ、かまぼこ(など練り製品)。根菜たっぷりです。この具に、出しを取った後のスルメと昆布が入ります。

    福岡県朝倉市のお雑煮(カルミンさん提供)
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    福岡県朝倉市のお雑煮(カルミンさん提供)

     この辺(筑後川周辺)は根菜類が入ることがとにかく多いようです。また、筑後川周辺の中でも、旧甘木市の一部や、浮羽の一部などでは、雑煮に納豆が入ると聞いています。納豆を汁物にインする文化で育っていない私としては、理解の範疇を超えています。

     実家の長崎で食べる雑煮は、写真がありません(すみません)。条件だけ列記しておきます。

     出しはかつおと昆布に干しシイタケと鶏(具ですが出しが出ます)。またはアゴと昆布に干しシイタケと鶏。味付けは醤油とみりんまたはお砂糖少々といったところ。餅の形は、九州ですので丸です。焼くだけです。煮込みません。具はかつお菜、かまぼこ(など練り製品)、鶏肉、シイタケです。

  • 長崎県/長崎市・島原市(あかさくらさん)

    関東雑煮(あかさくらさん提供)
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    関東雑煮(あかさくらさん提供)

     酔っぱらいながら撮ったので、ボロボロです(汗)。義父が島原、妻は長崎市内、私は川越出身なので、元日に関東雑煮、2日に島原雑煮、3日に長崎雑煮をいただききました。

     関東雑煮の出しはかつお節、味付けは濃口醤油(普通の醤油)。餅は角餅を焼き、具は鶏、ニンジン、大根、里芋、三つ葉。

    島原雑煮(あかさくらさん提供)
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    島原雑煮(あかさくらさん提供)

     島原雑煮の出しはかつお節・昆布、味付けは薄口醤油。餅は丸餅を煮て、具は鶏、ニンジン、大根、ごぼう、白菜、昆布巻き蒲鉾、高野豆腐。

    長崎雑煮(あかさくらさん提供)
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    長崎雑煮(あかさくらさん提供)

     長崎雑煮の出しは焼きあご、味付けは薄口醤油。餅は丸餅を煮て、具は鶏、アナゴ、ブリ、海老、ニンジン、大根、サトイモ、白菜(かつお菜代わり)、昆布、巻きかまぼこ、みどり渦かまぼこ、赤渦かまぼこ。

  • 熊本県/水俣市(水俣チャンポン探究会三牧さん)

    熊本県水俣市のお雑煮(三牧さん提供)
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    熊本県水俣市のお雑煮(三牧さん提供)

     出しは昆布、ブリ、スルメイカで、味付けは淡口醤油。丸餅を湯通して使います。具はほうれん草、かまぼこ、サトイモ、ブリ、スルメイカ、鶏肉、大根です。

     特徴的には、ブリでしょうか…。隣町(芦北郡佐敷)では、焼き海老で出しをとる家庭が多いと聞いたことがあります。

  • 大分県/別府市(知子二宮さん)

    大分県別府市のお雑煮(知子二宮さん提供)
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    大分県別府市のお雑煮(知子二宮さん提供)

     出しは鶏肉とかつお、味付けは塩、酒、醤油少々。餅は丸餅で、湯通し、その後具と一緒に煮込むこともあります。具は大根、ニンジン、白菜、水菜、鶏肉、かまぼこ。

     これは中津の母方のお雑煮と別府の父方のお雑煮を足しあわせた結果のようです。

     父方(別府)は具だくさんで、かしわが入らず。母方(中津)はそれほど具だくさんではなく、かしわ入り。地域性よりも家の主(この場合は両祖父)の好みによるみたいです。

     私自身はかしわが入らないと、物足りないと感じます。また、味付けの お醤油はほんの少々、くらいです。

  • 福岡県/北九州市(チィさん)

    江戸っ子風お雑煮(チィさん提供)
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    江戸っ子風お雑煮(チィさん提供)

     北九州在住のチィと申します。

     一人住まいの我が家は、正月三が日で3種類の雑煮をこしらえました。出しは地元九州の長崎にちなんでアゴ出しを選択。景気低迷を反映し、本来なら昆布と一緒に出しをとるべきところ、昆布はリストラの痛手に。

     元日は東京時代に身につけた江戸っ子風。鶏もも、大根、ニンジンを少量の出しと醤油、みりんでさっと煮ておき、熱々の出しをさっと注ぎます。大根、ニンジンは願いがかなう短冊切り。低迷した昨年の株式市場を憂うまでもありませんが、比較的好成績を残したコマツに準えた小松菜は味わい深く美味しかったです。

    熊本風お雑煮(チィさん提供)
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    熊本風お雑煮(チィさん提供)

     2日の熊本風は納豆をのせるという仰天の美味しさ。学生時代を過ごした熊本を懐かしみ、某ガス会社(西部ガス)の情報誌に掲載されていたレシピを真似てみました。

     ポイントは納豆を少量の塩で練るところ。最後にさっとのせ、大豆一粒一粒を味わうのはなかなかオツです。納豆は山間部の貴重なタンパク源だったらしく、その名残りだそうです。

     健康志向の10品目運動を正月から実践する心意気で、今年も「健康に美味しくごはんが食べられますように」と願いを込めました。

    博多風お雑煮(チィさん提供)
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    博多風お雑煮(チィさん提供)

     3日の博多風は、なんとなく本格派。出しでさっと煮たブリを椀に鎮座させ、ニンジンは丸くあしらいます。ブリは大好物。それを雑煮の具にする贅沢を寒さに震えながら味わいました。

     本来なら正月らしく博多を代表するかつお菜を投入すべきところ、小松菜は代打以上の活躍ぶり。今後数年のグリーン雇用に期待する気持ちもあってか、普段にも増して小松菜の緑色が輝いて見えたのでした。

    デスク 九州にも、一部お雑煮に納豆を使うところがあるようです。これも興味深いですね。

    行田ゼリーフライの活躍に期待?
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    行田ゼリーフライの活躍に期待?

     今回、ホントに多くの皆さんにお雑煮の写真を送っていただきました。そして、そのバリエーションの広さに改めて驚きました。地域性はもちろんなんですが、お雑煮は家族の歴史をも背負っているんですね。

     だから食文化って面白い。日々の暮らしの中に、いろいろな歴史や文化がしっかり根付いているのです。特に何気ない日常の食べ物の中に。

     今年もいろいろな土地のさまざまな食べ物とその歴史や背景を好奇心いっぱいに探って行きたいと思います。まずは埼玉県からです。みなさんの情報をお待ちしております。

     》日本全国お雑煮図鑑(北海道・東北・関東編)

     》日本全国お雑煮図鑑(中部・近畿・中国編)

     》日本全国お雑煮図鑑(写真一覧)


    ●本編の筆者(特別編集委員 野瀬泰申)へのお気軽メールはこちら(tabeb@nex.nikkei.co.jp


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    2012年1月6日

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