第150回 島根県実食編(下) 焼きそばを大根おろしで食べたなら




こうなっていたのか…
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こうなっていたのか…

 夜の部は駅前の居酒屋「山頭火」

 出雲観光協会事務局長の小野さんと事務局の古島(こじま)さんが加わった。2人とも出雲ぜんざい学会のメンバーである。

 宴会を始める前に、朝のうちスーパーで買っておいたものを広げた。

「バラパン」の包装を解く。おお、こうなっていたのか。マフラーみたい。要するに長さ40センチほどのパンにクリームなどを塗ってくるくる巻いていたのである。納得。

島根の法事パン
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島根の法事パン

 もうひとつのパンは「御誂パン」。そう、法事用のパンである。これはいわゆるメロンパンだが、クリームパンのことが多いという。

 煮サバに注目。全国的には2枚におろして煮ると思うのだが、出雲ではぶつ切り。筒に切って煮るのである。弁当に入っていた煮サバもぶつ切り。

「ええ、昔からそうですが、よそでは違うんですか?」

 田邊さんは怪訝そうである。

島根のシジミは酒蒸し
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島根のシジミは酒蒸し

 後は写真でどうぞ

 酒になっていろいろなものを頼んだのだが、当店のシジミも酒蒸しである。覚えておこう。島根では大きな地物のシジミは酒蒸しにする。

 店から「サービスです」といって出てきた2品。

 最初がサザエ。やはり甘辛く煮ている。

 覚えておこう。島根ではサザエを煮る。

 次が紅ズワイガニ。豪華なサービスである。

いざ、出雲大社へ
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いざ、出雲大社へ

 そういうことで午後10時を期して宴会終了。デスクたちはもう1軒行くというが、私は高齢を理由に退散。酒を飲まない田邊さんも帰宅した。

 21日午前10時、出雲大社に近い県立古代出雲歴史博物館で古島さんと待ち合わせ。古島さんの説明を聞きながら館内を回る。大社の拝殿近くから出土した巨大な3本柱である「宇豆柱(うづばしら)」や、高さ48メートルあったという古代の本殿の10分の1模型などがところ狭しと並んでいる。だがやはり圧巻は遺跡から出土したもの凄い数の銅剣、銅鐸である。古代史の本で写真は見ていたが、実物は迫力が違う。

出雲大社本殿
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出雲大社本殿

 その足で出雲大社へ。現在の本殿は1744年の造営。遷宮で檜皮(ひわだ)が葺き替えられていて美しい。ただ材料を取るヒノキが不足しているため、120年後の遷宮に備えて植樹したのだそうである。時間の単位が違う。

 伊勢神宮も式年遷宮で大変なにぎわいと聞くが、出雲大社も負けてはいない。大型観光バスがどんどんやってきて団体客を次々に吐き出す。松江、出雲市のホテルは満杯で、玉造温泉の宿は予約が取れないらしい。

 静かな神域で思いにふけるのには向いていない雰囲気ではあるけれど、これも「神にぎわい」である。

神門通りのにぎわい
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神門通りのにぎわい

 特筆すべきは「神門通り」の復活である。神門通りは、先ほど見た大社駅で降りた人々が大社に向かう途中にあって、かつては旅館や飲食店が繁盛していた。ところが無料駐車場が拝殿近くにできてから、参拝客はこの通りを経ずに直接境内に行くようになった。その結果、神門通りはさびれ、店も数軒を残すだけになっていた。

 遷宮をチャンスととらえ、神門通りを蘇らそうと立ち上がったのが田邊さんら。経過を詳しく書く余裕はないが、地道な努力が実っていまは50軒近い店で通りが埋まった。商店街が蘇生した稀有な例であろう。奇跡と言っていい。

出雲ぜんざい学会のアンテナショップ
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出雲ぜんざい学会のアンテナショップ

 観光客というか参拝客が歩道を埋め、まっすぐ歩けないほどのにぎわい。行列店もたくさんあって、ちょっとしたB−1状態なのである。

 出雲ぜんざい学会(当時は日本ぜんざい学会)はアンテナショップを率先して出すなど、にぎわいの復活の先頭に立った。このような団体が愛Bリーグにいることは私たちの誇りでもある。

 田邊さんたちが直接の利害関係者でなかったからこそ、できたことであろう。

キングのやきそば
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キングのやきそば

 おっと書くのを忘れそうになっていた。大社近くの「きんぐ」である。食堂かと思っていたら、中華もあり、仕出しもする大きな店であった

 ここで田邊さんと合流し、やきそばを食べた。具はタマネギ、ネギ、ニンジン、カマボコ、そして薄切りではなく四角に切った豚肉。

 かすかな塩味がついていて、そのままでも食べられるが、テーブルにはウスターソースと辛口ソース(いわゆるどろソース)があって、好きにかけて食べる

摩訶不思議な味わい
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摩訶不思議な味わい

 私はまずプレーンで、中盤はウスターソースをかけた。すると当然のことながら味が激変して、つるつると入っていく。

 そこに田邊さん特注のものが出てきた。

 大根おろしとポン酢である。

「この店のまかないです。焼きそばに大根おろしをのせ、ポン酢をかけて混ぜてください。美味いですよ」

 やってみると、摩訶不思議な味わい。焼きそばと大根おろしの組み合わせは生まれて初めてであった。いろいろな食べ方があるもんだ。

超特大(左)と並
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超特大(左)と並

 私は焼きそばの並(1玉)と焼きめしを注文したのだが、デスクは超特大(2.5玉)である。

「食べたいのなら止めないけど、どうしてそういうことばかりやるの?」

「ネタになると思いまして」

「ネタ食いは、もうやめようね」

 といってもやめないんだろうな。

「きんぐ」は繁盛店なのに、自然体。店内の雰囲気は温かい。しかもメニューを見ると「出前は午後11時まで」とある。そんな夜中まで配達するのか。

出前は午後11時まで
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出前は午後11時まで

「この辺は、昔から出前文化があるんです」と田邊さん。

 客があると出前。忙しいと出前。マージャンをやっているときに出前。そんな感じだろうか。

 出前の注文が多すぎて、来店客に応じられない店もあると聞いた。

 食べ終えて外に出ると、ご主人が出前用の箱をつるしたバイクに乗るところだった。そこに出前から帰った息子さんらしい青年が乗ったバイクが戻ってきた。なるほど出前文化である

紅白餅が入った出雲ぜんざい
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紅白餅が入った出雲ぜんざい

 この後、神門通りの店でコーヒーを飲み、ぜんざいの店に入った。超大盛り焼きそばの祟りでデスクはぜんざいを食べられず。常識的に「並」に抑えた私は、余裕で紅白餅が入ったぜんざいに向き合ったのである。地元産の小豆「大納言」が実にいい味わいであった。

「いずもお世話になっております」

「ぜんざい一遇のチャンス」

 この2つのフレーズを置き土産に、出雲に別れを告げた私であった。

 さて次回からは茨城県編である。たくさんのメールをお待ちしている。

*映像はflashビデオです。一部機種では再生できないことがあります。ご容赦ください。


(特別編集委員 野瀬泰申)

★今週のおかわりは「サバ寿司、赤てん、世界遺産〜デスク版実食編」「千葉・勝浦に『大漁』の来場者〜関東・甲信越B−1グランプリ」です。ぜひお読みください。

島根県編(その1) はい、ストかまです

島根県編(その2) ゆで・ソフト・スパゲッティ式・めん

島根県編(その3) 市民がアイス安来のキャンデー

島根県編(その4) へかやき、うず煮、うずめ飯

島根県実食編(上) シジミは酒蒸し、サザエは煮る

デスク版実食編 サバ寿司、赤てん、世界遺産


 


●筆者(特別編集委員 野瀬泰申)へのお気軽メールはこちら(tabeb@nex.nikkei.co.jp

2013年10月4日

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