おかわり ジンギスカン、名寄じゃ家庭の鍋料理〜デスク版実食編(上)



雪に埋もれた名寄駅
<写真を拡大>

雪に埋もれた名寄駅

 とにかく広い北海道。これまでの実食編とはわけが違います。移動の便も考えると、ある程度ターゲットを絞り込んで取材に臨まなければなりません。

 僕が狙いを定めたのは、まず道北の名寄です。本編の第1回に登場した「なよろ煮込みジンギスカン」に強い関心を抱いたからです。

 東京からの直行ルートはありませんので、いったん札幌に前泊し、宗谷本線の特急で名寄に乗り込みました。

 駅で待っていてくれたのは、あの時メールで情報を寄せてくださった、第746なよろ煮込みジンギス艦隊の室秀樹さんです。

地元の老舗・東洋肉店
<写真を拡大>

地元の老舗・東洋肉店

 お昼ご飯にはまだ早い時間でしたので、まずは、なよろ煮込みジンギスカンの予習もかねて、駅前商店街の老舗精肉店・東洋肉店にうかがいます。

 目に飛び込んできたのが店頭のジンギスカン鍋コレクション。大きなもの、小さなもの、スリットの入ったもの、山形のもの、平らなもの…、あらゆるジンギスカン鍋が店頭に並んでいます。

 社長の東澤壮晃さんにうかがったところ、一部売り物ではあるものの、半分趣味とのこと。

北海道型のジンギスカン鍋
<写真を拡大>

北海道型のジンギスカン鍋

 よく見ると、年代物の貴重な鍋もいくつか展示されています。東澤社長、かなりのジンギスカンマニアと見た。東洋肉店のホームページを見れば一目瞭然でした。

 肉やたれはもちろんのことジンギスカン鍋、合わせるワインに至るまで、あらゆるものをネット上で販売しています。

 なよろ煮込みジンギスカン、実は古くから道北で親しまれてきた料理ではあったのですが、本来は家庭で食べるもの。お店で出したり、お客様に食べていただく料理ではなかったそうです。それが故に、煮込みジンギスカンを前面に出してまちおこしに取り組むことには、関係者の中からは反対の声もあったのだとか。

第746なよろ煮込みジンギス艦隊専用の鍋
<写真を拡大>

第746なよろ煮込みジンギス艦隊専用の鍋

 そんな中でも、東澤社長は積極的に協力、艦隊活動の下支えをしてきました。

 そしてもうひとり、これまた熱いジンギスカンマニアが僕を待っていました。第746なよろ煮込みジンギス艦隊の水間剛事務局長です。

 普段は公務員として働いていらっしゃいますが、かつてはお父様がジンギズカン店を経営されていたとのこと。育った環境でしょうか、イベントで煮込みジンギスカンを提供しつつ、自宅でも週に1度は煮込みジンギスカンを欠かさず食べるというつわものです。

袋から肉を汁ごと鍋へ
<写真を拡大>

袋から肉を汁ごと鍋へ

 外食に出ても気になるのはジンギスカンばかり。近くに有名店でもあろうものなら、反対する家族を押し切ってでもジンギスカン店に入るほどのジンギスカンの申し子です。

 今回はそんな水間さんに、第746なよろ煮込みジンギス艦隊仕様の、家庭で昔から食べ続けられてきたジンギスカンを調理していただきました。

「昔ながら」を強調しましたが、実はこのジンギスカン、1点だけ、まちおこし活動を始めるに当たって変えた点があります。

袋の肉とたれ以外には何も加えない
<写真を拡大>

袋の肉とたれ以外には何も加えない

 ネーミングです。

「煮込みジンギスカン」というのは艦隊の造語で、もともとはただ「ジンギスカン」とだけ呼んでいたそうです。まちおこしの旗印にするに当たって、他の町のジンギスカンとの違いを明確にするために「なよろ煮込みジンギズカン」としたのだそうです。

「なよろ」とひらがなになったのは読みにくいため。「なより」と呼ばれたり、松山千春で知られる道東の足寄(あしょろ)と間違われることが多かったのだそうです。

野菜を加え、うどんも投入する
<写真を拡大>

野菜を加え、うどんも投入する

 調理はまず、専用鍋に東洋肉店で買って来たラム肉をつけだれごど入れることから始まります。

 すぐ近くの滝川市に本社がある「松尾ジンギスカン」はご存じかと思います。全国でも有名なジンギスカン肉のブランドです。松尾の肉は東洋と同じくたれにつけ込まれています。滝川以北では、生肉ではなく、あらかじめたれに漬け込まれた肉をジンギスカンにするのが一般的だそうです。

 これをたれごと鍋に入れます。たれの量が多いので、自然と煮込むようなスタイルになるわけです。

油揚げや餅も入る
<写真を拡大>

油揚げや餅も入る

 ころ合いを見て、キャベツやもやし、タマネギなどの野菜を入れていきます。

 この時点で、見た目は間違いなく「鍋料理」です。鍋の底に溜まったたれがぐつぐつと音を立てています。

 さらにうどんを投入します。中華麺でもそばでもいいそうですが、必ず麺類を入れるのがなよろ煮込みジンギスカンの流儀だそうです。

 地元豆腐店の油揚げも入ります。地元で唯一の豆腐屋さんということなのですが、この油揚げはなかなかユニークで、非常に肉厚。まるで、新潟・栃尾の油揚げのようです。

汁ごととりわける
<写真を拡大>

汁ごととりわける

 お餅まで投入します。

 これはもう絶対に鍋物ですよね。

 煮込んでいくうちに、野菜の水分が鍋に溜まってきて味が薄まってきてしまいます。このときに加えるのが、市販の焼肉のたれ。「水間料理長」によれば特別なたれである必要はないそうです。

 餅がしんなりしてきたらできあがりです。

 肉も野菜もうどんも油揚げもみ〜んなおたまで一緒盛りにしてできあがり。

食べ進んだら具材をつぎ足す
<写真を拡大>

食べ進んだら具材をつぎ足す

 店で出したり、客に出したりするものではないというのは、ここら辺にあるようです。

 なよろ煮込みジンギスカン、実は「忙しいときの究極の手抜き料理」なのです。袋に入ったたれつきの肉さえ買ってくれば、あとは冷蔵庫の中の残りものを切って入れるだけ、調味料さえほぼいらない。それでいて、おいしくて、野菜もいっぱい食べられて、さらには炭水化物もいっしょに食べられる。

 しかも、肉さえあれば、名寄でなくても簡単に調理できます。

夜の部で食べた煮込みジンギスカンはまさに鍋
<写真を拡大>

夜の部で食べた煮込みジンギスカンはまさに鍋

 有楽町のどさんこプラザに行けば肉746グラム入りの艦隊監修のパッケージを入手できますし、松尾ジンギスカンならさらに多くのお店で手に入ります。これを自宅の「すき焼き鍋」に野菜などと一緒に放り込めば、すぐできあがります。

 味はその手軽さと反比例。今回の艦隊仕様は肉がとりわけおいしかった。臭みは皆無。柔らかでぱさつき感はなく、しんなりとした歯ごたえでした。油揚げやうどんもたれの味が染みておいしい。

ソフト大福もち
<写真を拡大>

ソフト大福もち

 おっと、いくらおいしかったとはいえ、すべての文字数をなよろ煮込みジンギスカンに費やすところでした。

 昼食後、腹ごなしもかねて町の観光スポットもご案内いただきました。

 名寄は西に天塩山地、東は北見山地に囲まれた盆地です。道北ですが、夏は気温が30度まで上がるそうです。山を縫って流れる天塩川と名寄川が交わる場所にあり、水が豊かで農業に適しています。現在でも餅米の生産量は全国でもトップクラス。伊勢の銘菓・赤福にも名寄の餅米が使われています。

市営のスキー場
<写真を拡大>

市営のスキー場

 なよろ煮込みジンギスカンにお餅が入るのは、特産品ということでもあるんですね。

 道の駅「もち米の里☆なよろ」でも多くの餅製品が販売されていました。その代表が「ソフト大福もち」。名寄市風連町産の銘柄「はくちょうもち」を使い、独自のつき方でふんわりと仕上げます。

 水に恵まれた盆地の気候は必ずしもいいことばかりではありません。手塩山地の向こうは日本海ですから、新潟や秋田の内陸部と同様、冬季は雪がたいへん多いのです。

ジャンプ台は雪不足でした
<写真を拡大>

ジャンプ台は雪不足でした

 お邪魔した日もかなりの雪でした。東京なら交通マヒ間違いなしのレベルです。

 しかし、名寄市には「冬を楽しく暮らす条例」があって「冬をもっと楽しく、より快適に暮らそう」と呼びかけています

 スキー場はもちろん、ジャンプ台もあります。道内でも最も早い時期に飛べるジャンプ台として知られ、有名選手も合宿に訪れるそうです。「日本一の雪質」を謳っており、気温の低さによるさらさらのパウダースノーはスキーヤーにとって垂涎の的です。名寄にしかないという蒸気機関車を使った特殊な除雪車「キマロキ」も保存されていて、こちらは鉄道マニアにはたまらないでしょう。

道立のカーリング場
<写真を拡大>

道立のカーリング場

 さらに、道立のカーリング場も新設されました。真新しいコートでは、地元の皆さんがさかんにカーリングの練習をしていました。

 盆地ならではの気候は天体観測にも適しています。

 市立の天文台「きたすばる」があり、中には公開天文台としては国内で2番目に大きな望遠鏡を北海道大学が設置しています。盆地で風が少なく、寒冷で空気が重く揺らぎの少ない気候は倍率の大きな望遠鏡を覗くには大切な要素なのだそうです。

完全に鍋
<写真を拡大>

完全に鍋

 市内観光も終わり、夜は再び、室さん・水間さんと一献。焼き鳥屋さんですが、もちろん煮込みジンギスカンも注文。さすがは煮込みジンギスカンの申し子たちです。

 塩味とたれの2種類があり、いずれもたれというよりスープで、僕は飲んじゃいました。興味深かったのは、昼に食べた艦隊バージョンが焼肉用の厚切りだったのに対し、お店のお肉はかなり薄切りでした。

 羊肉の部位によって味や固さが違うので、それぞれに合わせた切り方、調理方法があるのだそうです。ジンギスカンの申し子たちの煮込みジンギスカン談義は、けっきょく日付が変わるまで続いたのでした…。

 名寄の話が長くなってしまいました。この後、旭川を経て訪れた帯広での「実食編」は本編同様、来週お届けしたいと思います。

(デスク)
2013年12月13日



*映像はflashビデオです。一部機種では再生できないことがあります。ご容赦ください。


【PR】

【PR】

【PR】

大人のレストランガイド

大人のレストランガイド

NIKKEI×ぐるなびが提供する、大人のためのグルメガイド。接待や会食、ビジネスシーンなどにおすすめのお店情報をご紹介。

ぐるなびWoman

ぐるなびWOMAN

女性のための女子会・デートのグルメ情報サイト。おすすめのレストランや居酒屋をこだわりやシーンに合わせて検索できます。

ぐるなびWedding

貸切パーティコレクション

企業向け貸切、OB会etc… 少人数〜大人数でも貸切OKのレストラン

結納・顔合わせ

特別な日を過ごすための完全個室のお店情報や、マナー・段取りまで

このサイトについて

日本経済新聞社について