おかわり ニンニクにまみれて肉を食らう〜デスク版長野県実食編



諏訪みそ天丼
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諏訪みそ天丼

 今回僕のミッションは、県を南北に縦断して「食べ物 新日本奇行」の「糸魚川−静岡構造線を行く」で食べ逃したものを追う、というもの。

 とはいえ、その地域の代表的なご当地グルメが出てこないのも、実食編としては寂しいですよね。そこで、食奇行で食べたものもおさらいしながら旅することにしました。

 新幹線で長野入りした野瀬に対して、僕は中央線ルート。初日は、まず諏訪でお昼の時間になりました。

 食べたのは、考案されて今年で10周年を迎えるというみそ天丼。

さらっとしたみそだれ
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さらっとしたみそだれ

 天丼といえば揚げたての天ぷらを醤油だれにくぐらせてご飯にのせるのが一般的ですが、みそどころの諏訪では、みそだれを上からかける天丼も食べられています。

 みそカツをイメージしていたので、もっと濃厚なのかと思っていました。意外にさらっとしたみそだれですね。みそをことさら気にする間もなく、さらさらと食べ終えてしまいました。

 うーん、けっこうお腹に余裕があるかも。

 長野県は信州新町と遠山、南北にジンギスカンシティーがある二眼構造だということは、本編でも話題になりました。

商店街ののぼりも羊のイラスト
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商店街ののぼりも羊のイラスト

 1日目は中信、2日目は南信と木曽を回る予定にしていたのですが、腹具合もあって急遽予定を変更。合併で長野市になった信州新町に行ってみることにしました。

 山あいにある信州新町はまさにジンギスカンシティー。国道沿いの商店街ののぼりも羊のイラストです。食品スーパーに入れば、ごく当たり前に下味のついたジンギスカン用の羊肉が置いてありました

 中心街からちょっと外れた「元祖ジンギスカン荘」でジンギスカンの単品を食べました。

すりおろしりんごが肉にたっぷり付着
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すりおろしりんごが肉にたっぷり付着

 興味深かったのが、漬け込みだれです。「レシピは企業秘密」と言うもののすりおろしたリンゴが入っていることだけは教えてくれました。ほんのり甘い。ニンニクの香りも漂います。それが食欲をそそります。

 十分に味がしみているので、焼けたらそのまま口に放り込みます。とても柔らかい。

 昼なのでノンアルコールビールで食べたのですが、ビールが進むこと間違いない味です。

 さぁ、南下を開始します。

やしょうま
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やしょうま

 まず向かったのは筑北村。「まんだらの庄」で「やしょうま」を手に入れました。

 やしょうまは、自然の素材で着色した米粉を重ね、様々な模様を描いたものです。

 色合いから一見甘そうですが、お餅と同じように焼いて、タレをつけて食べます。僕は磯部巻にしました。

 筑北村では、お釈迦様の命日である2月15日か前夜にやしょうまを作り、お供えする風習があるそうです。

焼いて磯辺巻に
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焼いて磯辺巻に

 やしょうまは別名、お釈迦様の耳、あるいはお釈迦様の枕などととも言われ、食べると虫歯ができないと言われています。

 信心深い地域なんですね。そう言われると、いかにも仏壇に供えると栄えそうな色合いです。

 また少し南下した生坂村には、熱い灰の中におやきを入れて作る「灰焼きおやき」があります。しかし、信州新町まで行ったせいで、到着時間が遅くなってしまい、ターゲットにしていたお店はすでに営業終了。別のお店を見つけたものの売り切れでした。残念。

松本一本ねぎの天ぷら
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松本一本ねぎの天ぷら

 初日の宿は松本です。松本城そばにある、昭和20年創業という老舗居酒屋「しづか」で夕食です。

 松本で最も食べたかったのは、松本一本ねぎです。江戸時代以前から栽培されてきた松本の伝統野菜で、下仁田ねぎの仲間。

 今回は天ぷらで食べました。下味がついていて、何もつけずにそのまま食べます。

 揚げたてをかじると、まん中の「鉄砲玉」がものすごい勢いで、口腔内に飛び出してきます。はふはふ、あちち、あちあち…。

野沢菜にはショウガ
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野沢菜にはショウガ

 熱を加えると甘みがぐんと増すんですね。まるで果物のような甘さです。ネギ好きにはたまらない美味しさと言えます。

 おたぐり、馬のもつ煮もやっぱり食べないと。長野ですから、七味をたっぷりとかけていただきました。

 箸休めには野沢菜。上にのっているのはショウガです。地元では、おろしショウガをのせて食べるのものなのだとか。このショウガが実にいい仕事をしていて、野沢菜をひと味もふた味も引き立てます。

ライトアップされた松本城
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ライトアップされた松本城

 自宅で野沢菜を食べるときには、今後は絶対ショウガを添えよう!

 いい感じで酔っ払って腹もふくれて、歩いてホテルに戻ろうとしたら、国宝・松本城がライトアップされていました。

 松本駅方面から松本城へ向かう道路にもイルミネーションが施されています。いや、美しい。

 お堀の前まで足を伸ばして、ライトアップされた松本城をカメラに収めました。

切り干し大根入りのおやき
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切り干し大根入りのおやき

 シメにはホテルの部屋で、松本城前のコンビニで買ってきた切り干し大根の入ったおやきを食べました。

 コンビニにも、しかもレジ脇の「一等地」におやきが置いてある…。長野県民のおやきに対する愛の深さを感じました。

 2日目の朝ご飯は、早起きをして、昨晩のうちに買っておいた松本ならではの「からしいなり」。

 やはりホテルの部屋で食べました。

からしいなり
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からしいなり

 写真を見ていただければおわかりの通り、味のついた油揚げが「表裏」になっています。なぜわざわざひっくり返すんだろう?

 油揚げの、本来の「表」に塗られたからしは非常に軽め。鼻につーんと来るのを期待していた僕には、ちょっと肩すかしでした。

 朝食が済んだら、伊那へ向かいます。伊那で待っていてくれたのは伊那ローメンZUKUラブの中川義徳会長でした。早朝から道案内を買って出てくれたのです。

遠山郷の中心部
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遠山郷の中心部

 まず向かったのは遠山郷。長野県のもうひとつのジンギスカンの眼です。

 遠山郷は、静岡県境に近い中央構造線を走る秋葉街道に位置する宿場町です。きわめて山深いところです。

 やっとの思いでたどり着いた遠山は、信州新町とは違い、国道とはいえセンターラインもない狭い道の周りに家が並ぶだけ。

 ジンギスカンも有名な肉屋さん「肉のスズキヤ」が目立つのみです。

遠山ジンギスの十二支
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遠山ジンギスの十二支

 食奇行のときにも話題になったように、遠山のジンギスカンは羊肉に限りません。店の看板に掲げられているのは「遠山ジンギスの十二支」。羊のほか山羊、豚、牛、馬、キジ、鶏、ウズラ、ウサギ、鹿、イノシシ、熊と12種類の肉がタレに漬け込まれています。いかにも山奥らしい。

 早い時間と言うこともあり、夜、伊那に帰ってから焼いて食べようということになりました。

 いくつか選んで店のお母さんに会計をお願いすると、逆に質問されてしまいました。

豚、馬、鹿、猪、ウズラ…
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豚、馬、鹿、猪、ウズラ…

「これいくらって書いてある?」

 留守番とのことで値段が分からない。やっとの思いで貼ってあった料金表を見つけ出し、それをベリッとはがして僕に差し出します。

「読んで。馬ホルモンはいくら?」
「650円」
「じゃ、550円。次」
「550円」
「じゃ、450円」

市田柿
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市田柿

 サービス精神旺盛。最後には「よく来たね」と小さなスナック菓子までいただいちゃいました。いやぁ、のどか。

 そこから、また同じ山坂道を戻り、飯田市中心部を抜けて駒ヶ根に向かいます。

 中川さんのアドバイスをいただきながら、途中でちょこちょこ地元らしいものを探していきます。

 まず市田柿。500年以上の歴史を持つという南信州特産の柿です。干し柿を手に入れました。小ぶりできめ細かな白い粉に覆われたあめ色の果肉は、もっちりした食感と上品な甘さが特徴です。

「かんてんぱぱ」の製品
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「かんてんぱぱ」の製品

 そして「かんてんぱぱ」。伊那市に本社がある寒天のトップメーカー、伊那食品工業の家庭用製品のブランドです。凍結・乾燥という寒天の製造方法が、寒さの厳しい伊那に最適なのだそうです。

 切り干しではなく、丸のままの凍み大根、しみとうふも、やはり高地の気候が育んだ食文化です。

 南信は長野県を代表する昆虫食地帯。険しい地形から、川魚も渓流に棲む小さな魚ばかりで、虫が貴重なタンパク源だったのだとか。

高級珍味セット
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高級珍味セット

 地元では「珍味」と呼ぶそうです。魚の塩辛とかと似た感覚なんですね。ネタとして「高級珍味」セットを買ってみました。

 駒ヶ根では、伊那ローメンZUKUラブと同じく、愛Bリーグに加盟する駒ヶ根ソースかつ丼フライヤーズの梶田審さんも合流。駒ヶ根ソースカツ丼の老舗「きらく」で駒ヶ根ソースカツ丼を食べました。

 いやぁ、相変わらず駒ヶ根ソースカツ丼のボリュームはすごい。160グラムの「ソースカツ丼」ではなく260グラムの「上ソースカツ丼」を注文したことを激しく後悔しました。

「きらく」の上ソースカツ丼
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「きらく」の上ソースカツ丼

 食後話題になったのは、伊那のローメンも駒ヶ根のソースカツ丼も、それほど歴史の古い食べ物ではないはずなのに、いずれもルーツがはっきりしないこと。どのような経緯で誕生したかが、よく分からないのだそうです。

 伊那も駒ヶ根も養蚕が盛んだったところです。絹糸は、鉄道で横浜に運ばれ、輸出されていました。

 洋食の典型であるとんカツ、ソースの組み合わせだけに、梶田さんがメディアの取材を受ける中で、そこに何らかのヒントがあるのではないか、と話題になったのだそうです。

圧倒的なボリューム
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圧倒的なボリューム

 非常に興味深い話で、3人で近くにある「駒ヶ根シルクミュージアム」に行ってみました。

 各地の絹製品がどのようにして輸出されたか、そのルートを示す地図を見ると、駒ヶ根以外にも、デカ盛りソースカツ丼で知られる埼玉県の秩父福島県の会津若松は、いずれも養蚕が盛んで、横浜とは線路でつながっていました。

 絹糸を運んだ貨物列車は、果たして帰りに何を積んでいたのか?

すんきそば
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すんきそば

 いつの日か、駒ヶ根ソースカツ丼のルーツが解明されることに期待して、ミュージアムを後にしました。

 さて、ここから木曽へ向かいます。朝からの雨が、トンネルを抜け木曽路に入ったところで雪に変わりました。

 食べたのは、野瀬が岐阜県実食編の時に、長野県に隣接する中津川で食べたすんきそばです。

 赤カブの葉・茎を、塩を使わず、乳酸菌で発酵させた漬け物・すんきがかけそばの上にのっています。

雪の時期こそ「すんきの季節」
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雪の時期こそ「すんきの季節」

 塩を使わないため日持ちがしないのと、気温が上がると乳酸発酵が進みすぎてしまうため、今の季節しか食べられない貴重な漬け物です。

 独特の強い酸味が何とも言えず美味しい。

 海から遠く、地形も険しいため、塩が乏しかった木曽ならではの食べ物です。

 雪が激しくなってきました。木曽の見所を足早に見ていきます。

奈良井宿の美しい家並み
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奈良井宿の美しい家並み

 奈良井宿は、中山道沿いに南北約1キロにわたる日本最長の宿場町です。2階が少しせり出した出梁(だしばり)造りが特徴で、黒くくすんだ格子と雪の白とのコントラストが実に美しい。

 何よりこの長い宿場町で、端から端まで古来の様式を保っていることが素晴らしい。この美しさは、地元の皆さんの努力のたまものなんですね。

 中央本線の奈良井の隣駅・平沢の周辺は木曽漆器のまちです。

木曽漆器
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木曽漆器

 海抜およそ900メートルの高地のため、夏は涼しく冬も寒さが厳しいところですが、それが漆を塗るには最適の環境なのだとか。しかも、豊かな森林は漆器の木地となります。

 奈良井宿と同様、細い道の両側に家が並び、それがそろいもそろって漆器店・工房です。

 食器好きの血が騒いでしまいました。椀を一対購入。味噌汁用に使おうかな。

 伊那に戻ってきて、中川さんとともにローメンでのまちおこしに取り組んでいらっしゃる唐澤正也さんのお店「日本料理あすなろ」へ。

鳥もつジンギス
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鳥もつジンギス

 朝買った遠山ジンギスを焼いて食べます。

 僕と中川さんが選んだのはいずれも変化球のジンギスカンでした。

 甲府もびっくりの鳥もつジンに馬産地・十和田もびっくりの馬(ばぁ)ちゃんのモツ焼きシシ(猪)ジンシカ(鹿)ジン…。

 ジンギスカン=羊肉の先入観を打ち破る様々なジンギスカンは、たれの味が良くしみ込んで、いずれも美味しい。

饅頭の天ぷら
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饅頭の天ぷら

 そうそう、通常は葬儀の際に食べるものという饅頭の天ぷら、通称「葬式饅頭」も特別に作っていただきました。普通は小ぶりの饅頭を使うそうですが、大きな饅頭なら半分に切って揚げるのだそうです。大葉を巻くのが流儀だとか。

 食べるともちろん甘いのですが、大葉のひと味が加わると、お菓子と言うよりちゃんと一品料理になったように感じるのは僕だけでしょうか?

 ジンギスを食べながら、伊那とローメンに対する熱い思い入れを散々飲んでしゃべって、夜も更けて…。そうなるとシメはやっぱりローメンしかありません。

シメは伊那ローメン
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シメは伊那ローメン

 酢をかけ回して、おろしニンニクものせて、唐辛子をかけて…。「テーブルクッキングもローメンの魅力」とあれこれ手を加える僕。一方、ローメンのエキスパート・中川さんは「調理人の味そのまま」で食べるのが流儀だそうです。

 これに対して唐澤さんは「美味しく食べてくれればどちらでも」。さらにまたローメン談義に花が咲いてしまいました。

 ローメンの友には、もちろん漬け物が登場したことを最後に付け加えておきましょう。

 最終日は塩尻を経て東京に帰りました。最後のターゲットになったのは、塩尻のキムタクごはんと山賊焼きです。

山賊焼定食
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山賊焼定食

 キムタクごはんは、塩尻の小中学生に人気の給食メニューです。SMAPは関係なくて、キムチとたくあんの入った混ぜご飯です。給食メニューなので、食堂などでは食べられないそうですが、塩尻市観光協会のホームページで、駅前の喫茶店で山賊焼きとセットになった「塩尻定食」が食べられるとの情報を発見しました。

 ランチタイムのスタートを店の前で待ち構えて入店するも、キムタクごはんはきょうはないとのこと。うーん残念。仕方なく、山賊焼のみの定食で、長野県実食編を締めくくりました。

伊那ローメンのおろしニンニク
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伊那ローメンのおろしニンニク

 山賊焼は、ニンニクを効かせた醤油ダレに鳥の胸肉やもも肉を大きな切り身のまま漬け込み、片栗粉をまぶして唐揚げにしたものです。白いご飯によく合います。

 気づけば、信州新町のジンギスカンから始まり、遠山ジンギス、伊那ローメン、そして山賊焼と、長野県実食編は「エブリデーニンニク」の3日間になってしまっていました。

 あぁ、自分がニンニク臭い。

 家族への言い訳にと、塩尻駅の売店で地元特産のワインを一升瓶で、ついでに信濃ゴールドをおみやげに買って家路につきました。

 なお、長野県の食については「食べ物 新日本奇行 糸魚川−静岡構造線を行く」「5,6日目 富山−糸魚川−南小谷―白馬−大町−穂高」「7、8日目 穂高−松本−長野」「9、10日目 長野−塩尻−伊那−飯田」「11、12日目 飯田−駒ケ根−伊那−岡谷」「13、14日目 岡谷−下・上諏訪−茅野−小淵沢」でもご紹介しています。合わせてご覧ください。

*映像はflashビデオです。一部機種では再生できないことがあります。ご容赦ください。

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