第56回 愛媛ご当地グルメ(予鈴) 鍋焼きうどんの器は鍋やき

特別編集委員 野瀬泰申

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 お待たせしました、いよいよ愛媛県編のスタートです。愛媛県を取り上げるとお知らせしてから3週間。すでにたくさんのメールをいただいています。さて、どんな愛媛県グルメが登場するのか…。ご期待ください。
 特別編として、震災から100日余がたった宮城県石巻市の最新事情をリポートします。一緒にご覧ください。

 食べBのFacebookページを開設しました(http://www.facebook.com/tabebforum)。実食編地図など、オリジナルコンテンツも掲載していますのでぜひご利用ください

(「食べB」へ初めて訪れた方は「食べB入門編」をご覧下さい食についてのメール投稿先はこちら

愛媛県編スタート!
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愛媛県編スタート!

 今週はいくつかのことを書かなければならない。まず愛媛県編がスタートする。そして先週から今週にかけて行ってきた宮城県石巻市の模様をリポートする。石巻リポートは愛Bリーグの炊きだしの様子と「頑張れ! 石ノ森萬画館」の2本立て

 では愛媛県編から始めよう。といっても全体の分量を考えて「予鈴」的なものになるであろう。愛媛もまた広く豊かである。じっくり見ていこう。

 まず他県の方からしつもーん!

松山あげ
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松山あげ

MNo.1

 スーパーで、「松山あげ」という商品を見かけました。私が知っているお揚げとは違い、小さめに切ってあります。袋には常温で保存できると書いてあります。裏を見ると、松山あげ入りペペロンチーノの作り方が書いてありました。ますます謎です。
 松山あげってナニモノなんですか?(千葉県出身ななさん)

 満を持して、この方がご回答。

からあげ(松山の坂本さん提供)
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からあげ(松山の坂本さん提供)

MNo.2

「松山あげ」は今治市で「干あげ」、伊予市では「からあげ」として売られています。
 そう、薄く切った豆腐を「干して」「からっと」揚げて作っていますから、まさしく名は体を現しています。
 昭和39年、程野商店が「松山あげ」という商品名をつけてからも「なにぃ、松山あげ?! ここは松山やないわ〜!」という感じで、伊予市や今治市ではそれまでの名称を大事に守っているのではないかと推測。
 常温で賞味期限が長いうえに軽いので、お土産・贈り物に重宝します。
 お味噌汁、炊き込みご飯にぱらっと入れるだけで、もっちりしっとりふんわりのお揚げさんが登場。炊き込みご飯スタイル(中予型)の鯛飯には欠かせません(松山の坂本さん)

スポンジ状
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スポンジ状

 ななさん、わかりましたかー?

 揚げの中はスポンジ状になっており、ぱらぱら崩れそうなのにそこそこ丈夫。我が家の冷蔵庫にもときどき出没する。

 見た目で区別がつかないのが熊本県北部の南関町名物「南関あげ」。

 調べてみたらルーツは松山にあった。同町のHPにはこう書いてある。

南関あげ
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南関あげ

「南関あげは、1637から38年にかけて起こった島原の乱の後、人口が減少したために、四国伊予松山地方の人々が大勢移住してきた際に、あげの製法を知る者がおり、そこから始まったと伝えられています……夏場どうしても腐りやすくなってしまうあげを、長期保存できるように、もととなる豆腐を薄くしたものが、現在の南関あげの原形になったと思われます」

 久留米に帰ったおり、スーパーで「南関あげ」を見つけると買ってしまう私なのである。

 その南関あげは島原の乱がなかったら伊予から製法が伝わらなかったことになる。同様に遠く離れた場所でルーツを同じくするものが別の名前で生息している例はほかにもありそうである。

ビールも3杯?(つかぽんさん提供)
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ビールも3杯?(つかぽんさん提供)

MNo.3

 愛媛はおろか、四国にさえ足を踏み入れたことのない私にとっては、どんな食べ物が出てくるのか楽しみであり、待ちきれなかったので新橋にある「せとうち旬菜館」に行ってみました。
 でも独り者で調理をほとんどしない自分が買おうと思うものは少なく、ようやく見つけたのが「じゃこ天」3枚入りです。これは全国区で名前が知られてますね。
 ビールの友として、フライパンで軽く焼いてしょうが醤油でいただきました(つかぽんさん)

 このメールで坂本さんを刺激してしまった。続けて登場。

揚げたて(松山の坂本さん提供)
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揚げたて(松山の坂本さん提供)

MNo.4

 愛媛のイベントにおけるじゃこ天実演販売の登場率は、秘密のケンミンSHOWに大阪人が出る確率と同じくらいです。
 フライヤー大活躍! 目の前ですり身を型に入れ、手押しでぺたぺた形づくり、新鮮な油を使ってからっと揚げているおばちゃんなんかを見てしまった日には…、揚げたてを食べたい! という衝動を抑えることはできません。ちょこっとつまみ揚げみたいに揚げて、試食用にしているのはグッドアイデアです。
 さて実食編で松山空港へ降り立った野瀬さんは、じゃこ天実演コーナーへ吸い寄せられることでしょう。

四国型(松山の坂本さん提供)
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四国型(松山の坂本さん提供)

 長旅から帰ってきた松山人が、じゃこ天実演コーナーで揚げられるじゃこ天を見てお腹も空いてないのに思わず買い求め「ああ、帰ってきたぁ」としみじみかみ締めるじゃこ天を是非食べてください。
 松山空港では、四国の形をしたじゃこ天が食べられます。今でこそ「ラブじゃこ天(ハート型)」とか色々な形のじゃこ天が(私の心を)にぎわせていますが、初めて小判型じゃないじゃこ天を知ったのが、松山空港の四国型じゃこ天でした。

駅のじゃこ天うどん(松山の坂本さん提供)
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駅のじゃこ天うどん(松山の坂本さん提供)

 鉄分の多い方は鉄道を乗り継いで、という来松もありですよね。JR松山駅に降り立ったら、改札を抜けてすぐ左のうどん屋さんへ吸い込まれるように入ってください。
 うどんは、柔らかいうどんに、なんの変哲もないほんわかしたいりこだしです。ここに揚げたてのじゃこ天がのると…、最強!!
 讃岐のきりっとエッジのたったうどんではなく、どーんとおだしが香る大阪のうどんでもなく、かつおに醤油がびしっときいた関東のお出しでもなく、ただの冷凍うどんに普通のほんわかしたおつゆが、じゃこ天うどんには必要なんです。

ああ、帰ってきたぁ(松山の坂本さん提供)
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ああ、帰ってきたぁ(松山の坂本さん提供)

 私は実演コーナーというものに弱い。実に弱い。子どものころから実演コーナーがあると親の制止を聞かず、よろよろと吸い寄せられたものである。もし空港経由で松山に行ったら、間違いなく実演コーナーに寄ることになる。

 JRならそのうどんの店に倒れ込むであろう。

 メールを読む限り、愛媛のじゃこ天うどんは九州の「丸天うどん」とそっくりである。久留米の腰抜け、いや弱腰、いややわ腰、いや二枚腰うどんが食べたくなったじゃないかー。

揚巻(いけずな京女さん提供)
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揚巻(いけずな京女さん提供)

MNo.5

 愛媛の今治や八幡浜など何度か訪ねました。その際に食べたもんの感想は「総じて甘口」です。煮物、寿司飯、ラーメンのスープ、なんでも甘い。
 ただし長崎のように砂糖の痺れる甘さとは違い、最初の一口から飲み込んだ後味まて、ずーっと「うすら甘い」ままなんです。なので「甘い」というより「甘口」。
 愛媛の皆様は果たしてそのことを自覚されているのかどうか、はたまた私がそう感じているだけなのか、ぜひ伺いたい次第です。
 さて話はガラッと変わって宇和島。宇和島と言えば「じゃこ天」があまりにも有名になりすぎ、今や全国のスーパーで売られるようになりました。ええのんか悪いのんか。

トコゼリー(いけずな京女さん提供)
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トコゼリー(いけずな京女さん提供)

 もうひとつ特徴的な練り製品があります、それが「揚巻」。蒲鉾を生揚げで渦巻状に巻いたもので、あっさり淡白な美味みの蒲鉾にお揚げさんのコクが好ましい逸品です。何でも宇和島ではお祭りの時に食べるものだとか? 物産展で買うた時に聞きました。
 ついでに「宇和島で変わったお菓子ないですか」と聞いたときに紹介してもろたんが「トコゼリー」。天草すなわちところ天とこんにゃくでできたゼリーでした。
 普通のゼリーより弾力があって、味はすっきりさわやか。美容と健康にも良いということで子どもだけでなく老若男女に人気とうかがいました。ネーミングが秀逸ですね(いけずな京女さん)

 早くも重要な論点が浮かび上がってきた。愛媛は甘いか酸っぱいか。

坂本さんにいただいて、熊谷で39.8度を記録した日に食べました(デスク)
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坂本さんにいただいて、熊谷で39.8度を記録した日に食べました(デスク)

 私から書くのはいけないのだが、松山は「鍋焼きうどん」の町である。寒くもないのに鍋焼きうどんが年中活躍しているのである。居酒屋のシメに鍋焼きうどんなのである。

 松山には鍋焼きうどんの名店が2軒あって、どちらも全国平均からすると「甘い」。名古屋の味噌煮込みうどん派は目を回すに違いない味わいである。もっとも松山の人が名古屋の味噌煮込みうどんを食べたら、同じような反応を示すかもしれないが。

「甘い」のか「甘め」なのか。その辺りの問題意識が通奏低音となって展開していくと面白いのではないか。

愛媛の目刺し(豊下製菓の豊下さん提供)
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愛媛の目刺し(豊下製菓の豊下さん提供)

MNo.6

 いよいよ伊予国だ。ミルフォードさんと阿倍野で飲んだ帰り、近鉄百貨店で愛媛県産の目刺しを見つけ、あまりに美味しそうだったので買って帰りました。
 さて飴屋の私の中での愛媛はタルトとじゃこ天の国、特にじゃこ天については八幡浜が一番とか新居浜が一番とか、同じ伊予国でもじゃこ天自慢合戦。大阪人が自分の町のたこ焼き屋を自慢するのと同じで、どこか滑稽ではあるものの微笑ましく感じていました。
 特にこの数年、何度か愛媛を訪れる機会があり、新しい愛媛をたくさん見る機会にも恵まれました。水に苦労しているとばかり思っていたら、水だらけの西条があり、浜の文化ばかりに目が行っていたので気にしていなかったのですが、当たり前のことながら山間部もあるんですよね。未だ知らない愛媛が見られるのを楽しみにひと月を過ごそうと思います(豊下製菓の豊下さん)

いただきました
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いただきました

 ここにもヒントがいくつか出てきた。「西条の水だらけ」については「食べ物 新日本奇行」の「水」のところで登場している

 愛媛の山間部については私も興味がある。関連のメールを待ちたい。

 豊下さんからは「あべのアメちゃんハイボール」用のあめをいただいた。製造者は豊下製菓である。苦労のセイカを早速試してみたい。ひょっとして今夜?

デスク トリスハイボール専用ですからね、バランタインの30年ものとか山崎の25年ものとかのハイボールに入れないでくださいね。

 ということで予鈴はここまで。

 次回から本格的に展開する。


(特別編集委員 野瀬泰申)



 


●筆者(特別編集委員 野瀬泰申)へのお気軽メールはこちら(tabeb@nex.nikkei.co.jp

2011年7月1日


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