第233回 福井県ご当地グルメ(その3) 「山うに」をご飯の上にちょっとのせ

特別編集委員 野瀬泰申


福井県

 お盆休みも明けて、福井県編再開です。
 あまりおかずっぽくないメニューの定食が続きましたが、今週は「ご当地パン」の登場です。そしてラーメンも。
 福井のご当地グルメ探訪も、いよいよ佳境です。
 今週のおかわりは、B−1グランプリin十和田の成功祈願とあわせて行われた、富士山への西伊豆しおかつお奉納登山の模様を、デスクがリポートします
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巨大なクルーズ船
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巨大なクルーズ船

 BSジャパンの特番「日本全国!あぁ懐かし ご当地レトロ食堂の旅〜食の産業遺産巡り」の第2弾(9月5日21:00〜)のロケで長崎市と北九州市に行ってきた。グラバー園の頂に登ると眼下に巨大なビルを横倒しにしたようなクルーズ船が見えた。中国から爆買いの人々を乗せてやってきた船である。

 タクシーの運転手の話では「観光客は50台ほどのバスでどこかに行ってしまうので、私たちに恩恵はありません」とのこと。行き先は「ホームセンターとかが多いですね」。

 長崎から八幡へ。そこにはあの硬いので有名な「くろがね堅パン」があった。

眼鏡堅麺麭(いけずな京女さん)
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眼鏡堅麺麭(いけずな京女さん)

MNo.18

 またまた御注進、御注進!
 野瀬さんの苦手なカライモノ、ではなく、今度はカタイモノが福井に存在します。その名も「軍隊堅麺麭(ぐんたいかたぱん)」。
 福井県鯖江市の老舗パン屋さん「ヨーロッパンキムラヤ」が戦時中、陸軍歩兵鯖江第36連隊に納めていた携帯食をそのまま復元したものです。現在は災害用保存食として、また鯖江のお土産として重宝されております。
 写真は、眼鏡フレーム生産日本一の鯖江市にちなみ、新しいご当地スイーツとして考案された「眼鏡堅麺麭」です。
 黒ゴマの香ばしさが効いた素朴な美味しさなのですが、とにかく、堅いです!!
 私でも歯で噛み砕くのに難儀しましたので、自信のない方はコーヒーや紅茶に浸しながら食べるよろし。アゴを鍛えたい方は、毎朝1枚を日課にされてはいかがでしょうか(いけずな京女さん)

軍隊堅パン(大阪の原さん提供)
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軍隊堅パン(大阪の原さん提供)

 日本の「パン祖」は今年、「明治日本の産業革命遺産」として世界文化遺産に登録された伊豆・韮山の反射炉を造った江川太郎左衛門(坦庵)とされる。幕末に韮山の代官であった坦庵は兵糧の重要性に早くから気づき、独自にパンの研究を始めた。

 次いで長州藩、水戸藩などでもパンの研究にとりかかる。いずれも炊事不要、携帯に便利という観点からだった。

 明治になって軍隊で脚気が流行する。雑穀などを食べていた地方出身者が急に白米だけを食べるようになったからであった。しかし当時、脚気は感染するものと信じられていて、ビタミンB1不足によるもとはわかっていなかった。

 患者は築地の外国人居留地にあったドイツ人経営の病院に入院させられたのだが、パン食をするうちに快方に向かった。そこで政府は気づく。「パンは脚気に効く」

くろがね堅パン
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くろがね堅パン

 ということでパンは兵食として大々的に採用される。しかし当時、日本人はイースト菌の存在を知らず、重ね焼きするうちにできあがったのはビスケットであり、乾パンであり、メールにあるような硬いパンであった。

 八幡製鉄所の「くろがね堅パン」は、そのような目的ではなく、栄養補給の意味で作られたのであるが、どっちにしても歯が立たない。「健康はアゴから」というのは私にとって無意味な言葉である。

 その鯖江にはちょっと変わったものがある。

山うに(鯖江市役所秘書広報課さん提供)
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山うに(鯖江市役所秘書広報課さん提供)

MNo.19

 福井で最近しばしば話題にのぼる「山うに」。鯖江市河和田地区の伝統食の一つで、「海のうに」に似ていますが、まったく別物です。
 柚子と福耳唐辛子(または赤ピーマン)を念入りにすり潰し、鷹の爪と塩を加えて作る、いわゆる薬味です。
 柚子のさわやかな風味と、ピリッとした辛味があいまって、熱いご飯にのせていただくシンプルな食べ方から、鍋物のつけ汁やお味噌汁、ドレッシングに加えるなど、さまざまなアレンジが楽しめます(鯖江市役所秘書広報課さん)

どう、似てる?
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どう、似てる?

 家庭で作るものなので、家ごとに微妙に違うらしい。材料が赤ピーマンで鷹の爪少量ならば、私もOKかも。ラーメンに入れてもよさそうな。うっ? ラーメン?

敦賀ラーメン(大阪の原さん提供)
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敦賀ラーメン(大阪の原さん提供)

MNo.20

 敦賀ラーメンはベースがトンコツ。中華料理店では、中華スープを使ったあっさりめの味。ラーメン専門店では、鶏ガラとトンコツを合わせたスープに醤油味です。
 日清食品のカップ麺開発チームの先輩から、福井に行ったらコレと聞いた名物ラーメンで、東京では下北沢に一力さんの支店があります(高島さん)

一力のラーメン(大阪の原さん提供)
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一力のラーメン(大阪の原さん提供)

 敦賀ではラーメンを食べる機会がなかった。しかし暗くなった街中で開店準備中のラーメン屋台トラックを見た。

敦賀のラーメントラック(大阪の原さん提供)
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敦賀のラーメントラック(大阪の原さん提供)

MNo.21

 夜8時前後になると、ラーメン屋台が次々と店開きします。日帰り旅行者にとってはちょっと遅いのが難ではあります。でも、すっかり減った夜鳴きソバがここでは脈々と生きている。
 コンビニや24時間営業の食堂/レストランチェーン店に押されながらも、がんばって欲しいなあ(大阪の原さん)

一力のラーメン、丼の底には胡椒が(大阪の原さん提供)
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一力のラーメン、丼の底には胡椒が(大阪の原さん提供)

 私が見たときは屋台トラックの開店を待つ行列ができていた。久留米や博多と違って飲んだ締めにラーメンというのではなく、最初からラーメンが目的のように見受けられた。家族連れも多かったように記憶している。敦賀のラーメンは食べてみる価値がありそうである。

 原さんからは地元有名店「一力」のラーメン実食写真もいただいた。

 福井と富山。間に石川があるのだが、福井と富山は似ているともメールが届いている。

のどぐろのへしこ(元松山の坂本@富山さん提供)
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のどぐろのへしこ(元松山の坂本@富山さん提供)

MNo.22

 今回の食べB見るまで全然意識してませんでしたけど、福井と富山ってすごく似てますね! そりゃ同じ北陸なんですけど、富山県内で福井のことが話題になることってすごく少ないようです。「北陸トライアングル」も金沢、能登、富山ってことらしいですし(福井のけものー!?)
 ですが、のどぐろへしこですよ! のどぐろのへしこ!
 昆布文化といえば富山だし、かまぼこの華やかなりしことパティシエもびっくりって感じですし、福井と富山はなんだかとっても相似形。知らないことがいっぱいで楽しいなー。 富山も楽しいです。福井も行ってみたいなー(元松山の坂本@富山さん)

のどぐろの一夜干し
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のどぐろの一夜干し

 のどぐろの標準和名は赤ムツ。黒いのか赤いのかはっきりしてくれと言いたくなる魚であるけど、富山ののどぐろは有名。それが福井名産の「へしこ」になっている。ハイブリッドである。

 昆布の世帯当たりの購入額は常に富山は全国トップクラスである。魚の昆布締めにするためではあるけれど、敦賀がかつて上方への昆布集散地であったことを思えば確かに似ている。北前船つながりであろうか。

 坂本さんからは「富山の漁港でセリを見学したときエチオピアを見た」とのメールもいただいた。

エチオピア(元松山の坂本@富山さん提供)
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エチオピア(元松山の坂本@富山さん提供)

 福井県編冒頭に登場した「エチオピア」が富山にもいた。やはり似ている。

 エチオピア、つまりシマガツオ。富山の海でも揚がっている。しかしながら金沢に住んでいたときは一度もお目にかからなかった。店で出す魚ではないのかな?

 出そうで出なかった福井の銘菓がある。

羽二重餅(中林20系さん提供)
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羽二重餅(中林20系さん提供)

MNo.23

 福井といえば美味しい和菓子がいろいろありますよね。中でも全国的に有名なのは「羽二重餅」じゃないでしょうか。
 そう、赤ちゃんの柔らかい肌をよく「羽二重餅みたいねー」などと言いますが、その羽二重餅です。味わう前にまず触れた段階で……表現しがたい官能的な触感に感動してしまうんですよね。
 とか何とかいってもまあ、実体は求肥ですから、熊本銘菓の「朝鮮飴」とか、あの感じです。ただ、羽二重餅には白あん入りとかもあるんですよ。これが面白いのです。
 あの、とりとめのない柔らかさの中に、あんという…これまた柔らかい芯があるんです。ゆえに…指先で触ってると…ネコのアタマを指先でくりくりする、あの感じを思い出します。柔らかい中に、硬いとはいえないような…やっぱり微妙に柔らかいそこに指が付き…こういう話はどうでもいいですね。

五月ヶ瀬(中林20系さん提供)
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五月ヶ瀬(中林20系さん提供)

 もうひとつ。せんべいの「五月ヶ瀬(さつきがせ)」も。小麦粉系の生地を南部せんべいのような型に入れて焼き上げたアダムスキー型のせんべいです。同人的に思い出すのは南部せんべいですが、こちらはマーガリンなども使われているせいか、せんべいというよりはクッキーに近い食感で、南部せんべいとはまた違うサクサクとした味わいが楽しいせんべいです。
 それにしても、この型で作られている小麦粉系のせんべいの分布って、全国的にはどうなのか激しく気になりだしました。そもそもせんべい自体が、原材料が米か小麦かで二分されましょうが、小麦粉系でこの型を使う地域をピックアップしていくと、何か面白い地図が出来上がるかも知れませんね(中林20系さん)

とりとめのない柔らかさ(中林20系さん提供)
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とりとめのない柔らかさ(中林20系さん提供)

 羽二重餅。「とりとめのない柔らかさ」という表現が文学的である。こういう言葉に接すると、意味もなく食べたくなる。

 中学生のころであったか、父が誰かの土産に羽二重餅をいただいた。見たこともない白くて繊細なお菓子に目を見張り、その「とりとめの柔らかさ」に驚いたことを思い出した。

「五月ガ瀬」はまだ食べたことがない。坂井市の老舗のものらしい。

 実食の旅では坂井市に行くと決めているので、その際にぜひ。

一見似ているが、実は左は南部せんべい
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一見似ているが、実は左は南部せんべい

 今週はこれまで。次回、最終回を迎えるがメールの在庫に不安がある。書き残したことがあれば、何なりと。

デスク 福井県の次は和歌山県。ということでオーラスは東京都です。関係者の皆様、ご準備のほどよろしくお願いします。


(特別編集委員 野瀬泰申)



★今週のおかわりは「富士山頂で十和田B−1の成功祈願」です。ぜひお読みください。

福井県編(その1) 「かまぼこ定食」あります

福井県編(その2) 「油揚げ定食」もあります

福井県編(その4) 思い出したぞ! きな粉飯

実食編 とりあえず、焼き鳥110本!


 


●筆者(特別編集委員 野瀬泰申)へのお気軽メールはこちら(tabeb@nex.nikkei.co.jp

2015年8月21日

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