おかわり2杯目 わが青春の科学万博



一芸コレクション
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一芸コレクション

 映画化でも話題を呼んだ浦沢直樹の人気マンガ「20世紀少年」。そこに、世界を掌中に収めようとする支配者「ともだち」が、1970年に開催された大阪万博を再現するエピソードがあります。

 その気持ちはとてもよく分かります。もし自分が世界を征服したなら、同じことをするでしょう。ただし、再現するのは1985年の国際科学技術博覧会、科学万博 つくば '85であります。

 80年代に茨城で暮らした人にとっては忘れられない思い出であろうつくば博。自分も足しげく通い、企業パビリオン、政府系パビリオン、そして世界各国のパビリオンすべてを制覇いたしました。その記憶は今も鮮明に残っています。

 今回、実食編で訪れたつくばエキスポセンターは、万博当時の「第二会場」であり、松本零士が総監督を務めたアニメーション映画『アレイの鏡』が上映されていました。ここに足を伸ばした人は少ないので、観た人は自慢してもいいところです。

 「第一会場」では、数々の企業パビリオンに多くの人が列を作りました。期間途中から整理券方式を導入したパビリオンも多かったのですが、その整理券を入手するためにやはり並ぶ必要があったのです。

住友館、鉄鋼館のパンフレットと立体メガネ
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住友館、鉄鋼館のパンフレットと立体メガネ

 この万博の大きな目玉は、数々の映像技術でした。中でも話題を呼んだのが立体映像。近年、3D方式で上映される映画が増えてきましたが、ふふん、やっと時代が科学万博に追いついたか、と自分は上から目線で感慨にふけっています。

 立体映像の人気パビリオンといえば、住友館、鉄鋼館、そして富士通パビリオンといったあたり。住友館で上映された「大地の詩(うた)」は、坂本龍一作曲の主題歌とともに印象に残っている作品です。

 立体映像はどうしても暗くなってしまう弱点があるのですが、ここでは2台のカメラで撮影した映像を2台の映写機で投影する「ステレオ・スペース方式」を採用していたため、画面が明るいのが特徴。美しい自然の風景をビビッドに映し出し、感動を呼びました。鉄鋼館が立体映像本来の持ち味である「ものが飛び出してくる」面白さを前面に出していたのとは対照的だったと言えます。

富士通パビリオンのパンフレットは、赤青メガネをかけると立体に見える
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富士通パビリオンのパンフレットは、赤青メガネをかけると立体に見える

 そして富士通パビリオンは、映像分野でのCG(コンピューター・グラフィックス)時代の到来を高らかに宣言した記念碑的な作品「ザ・ユニバース」を上映。他のパビリオンが現在の3D映画と同じ偏光メガネを採用し、カラーの映像を上映していたのに対し、ここは赤青メガネを使ったモノクロ上映でした。しかしそれを補って余りある、衝撃的な体験を来場者にもたらしたのです。

 自在に姿を変える3次元CGと、観客を取り囲む360度の全天周スクリーンに上映することで可能になった、文字通り未体験の感覚。水の分子構造の中を自分が高速で潜り抜けていく、あの衝撃は今なお忘れることはできません。

東芝館のパンフレット
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東芝館のパンフレット

 立体ではない大画面技術にも目を見張るものがありました。東芝館ではショウスキャンと呼ばれる、1秒間60コマ(通常は24コマ)の映画を上映。巨大なテレビを見ているように画面が明るく、そしてカーレースなど動きが早いシーンもなめらかに描写できるこの技術は、映画少年だった自分の心をとらえました。

 現在のハイビジョン、そして4Kテレビなど、高精細な映像に触れるたび、自分はこのパビリオンでの感動を思い出しているのであります。

燦鳥館(サントリー館)のパンフレット
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燦鳥館(サントリー館)のパンフレット

 燦鳥館(サントリー館)は、その名の通り「鳥」がテーマ。カナダグース(シジュウカラガン)の親子の姿を、横35m×縦26mの巨大スクリーンで楽しむシアターを設置していました。カナダ・アイマックス社の技術を使った大画面への映写は、近年、国内の映画館にも多数導入されつつありますが、当時としてはただ驚くばかり。

 そして技術だけでなく、鳥の群れと長期間行動を共にすることで撮影できた接近しての空撮映像は実に感動的で、本当に鳥たちと一緒に飛んでいるかのような錯覚を感じることができました。

滝の劇場 三井館のパンフレットと「勇気の笛」
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滝の劇場 三井館のパンフレットと「勇気の笛」

 変わったところでは「滝の劇場 三井館」。幅40メートルに及ぶ巨大な滝をスクリーンに見立てて上映するという試みで、暑い時期には涼やかな雰囲気が人気を集めました。そしてここではあるユニークな演出が。あらかじめ来場者全員に「勇気の笛」と呼ばれる小さな笛が渡され、物語のクライマックスで主人公がピンチに陥ったとき、みんなでこの笛を吹くとある奇跡が起きて間一髪で危機を脱する、という仕掛けが用意されていました。

 1972年に放送された舞台中継スタイルのヒーロー番組「突撃!ヒューマン!!」で観客が一斉にヒューマン・サインを回していたのと同じ、と言えば分かりやすいでしょうか。観客を巻き込み熱狂させる演出は、現代の大ヒットミュージカル「マンマ・ミーア!」にも負けていません。

いばらきパビリオンのパンフレット
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いばらきパビリオンのパンフレット

 もうひとつ、いばらきパビリオンを挙げておきましょう。開幕当時は、不人気パビリオンの代表でした。チープな外観と「茨城の風景を上映する」というふれこみは、確かに来場者の期待感を喚起するものではありません。

 しかし、魚眼レンズを使って空から撮影した映像をドーム型のスクリーンに映し出す方式によって、90年代のバーチャル・リアリティーのブームで注目されることになる「没入感」を図らずも実現しており、座席は動いていないのに乗り物酔いのようになってしまう、と噂になりました。日増しに人気が高まり、最後は整理券を配布するほどの人気パビリオンに。開催地の面目を見事に果たしたのです。

芙蓉ロボットシアターのパンフレット
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芙蓉ロボットシアターのパンフレット

 映像以外の展示では、芙蓉ロボットシアターが人気。プログラムやセンサーで自律行動するロボットたちが繰り広げる「世界初のロボットショー」は、今、都内で話題の「ロボットレストラン」にも劣らない、夢とロマンにあふれる世界を見せてくれました。

 他にも語りたいことはたくさんあります。コスモ星丸、スーパーシャトルバス、ジャンボトロン、HSST、コズミックスナック、ポストカプセル2001、EXPOスクランブル(の浅香唯)、星丸ランド、ポレポレバス、スリランカ館のゾウ……

 

 ひとつでもピンと来た方、ぜひあの熱い1985年をともに語り合いましょう。

(一芸)

2014年2月14日

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