第160回 北海道実食編(下) ホルモン、サガリを暴れ食い

特別編集委員 野瀬泰申


キンキの湯煮(湯炊き)
<写真を拡大>

キンキの湯煮(湯炊き)

 10月の下旬、紙の新聞の取材のため網走に行った。取材を終えて夜の網走で食べたのがキンキの湯煮(湯炊き)。高級魚キンキをただ水で煮ただけのものである。郷土料理で、こうやると脂が抜けて食べやすくなるのだという。

 味付けはなんだと思います?

 ソースである。

 私が入った居酒屋の店主は言った。

「うちはちょっと変わっているんです」

ソースをかける
<写真を拡大>

ソースをかける

「どんなふうに?」

「中濃なんです」

 この会話からわかるように、キンキの湯煮に用いるソースはウスターソースが一般的なのである。

 最近はレトルトの商品が開発され、大々的に宣伝している。

 しかし大きな魚なので一人では無理。頑張って食べたが半分でギブアップした。

これが「監獄食」
<写真を拡大>

これが「監獄食」

 雨の中、「博物館 網走監獄」に行った。かつての獄舎を移築したり再現したりした広大な施設で、本物の独居房などもあって「こういう所で生活しない人生を送ろう」という気になる。

 そばにある飲食店では、いまの網走刑務所で出されているご飯と同じものを提供している。これが昼ご飯か晩ご飯かは店の人も知らなかったが、まあ普通以上の内容であろう。こんなものを食べたくて中に入ろうなどと考えてはいけない。外で食べましょう、外で。

 続いて北見に行った。ちょうど菊祭りをやっていて、華やいだ雰囲気

 北海道では唯一の愛Bリーグ本部加盟団体「オホーツク北見塩やきそば推進協議会」の梶井敏幸会長の案内で訪ねたのが北見ハッカ記念館。

北見ハッカ記念館
<写真を拡大>

北見ハッカ記念館

 北見は明治以降、薄荷(ハッカ)の一大産地で多くを輸出して外貨を稼いでいた。戦前には世界市場の70%を占めたという。しかし合成技術が確立されてから産業としての薄荷生産はほぼ途絶えた。

 記念館はホクレン北見薄荷工場の研究所だった建物で、いまでも少量ながら乾燥させた国産の薄荷を蒸留しており、その様子をつぶさに見ることができる。

「昔はどの農家でも家に蒸留釜があったものですが」

 梶井さんがつぶやいた。

研究所内で薄荷を栽培
<写真を拡大>

研究所内で薄荷を栽培

 蒸留作業は長時間のきついものだったという。

 記念館の蒸留釜の前で試供品の薄荷液を指先に少し塗って香りをかいだ。

「この香り、64時間は消えませんね」

 蒸留していた男性に言ってみた。

「ハッカ64」

 だが反応はない。

焼く前に塩コショウが北見流
<写真を拡大>

焼く前に塩コショウが北見流

 だめだったか。不発。

 梶井さんは仕事に戻り、私はホテルに入った。

 夜を待って集まったのは焼き肉の店である。

 北見の焼き肉は牛のサガリ(ハラミ)とホルモンが定番。

「肉はよそに出て行って、地元に残ったのがホルモンとサガリでした。だから地元の私たちは焼き肉というとこの2品ばかりでしたね」

 梶井さんの説明である。

北見焼き肉の定番、牛のサガリ
<写真を拡大>

北見焼き肉の定番、牛のサガリ

 いざ食べようとしてびっくりした。梶井さんたちはホルモンやサガリに塩コショウしてから網にのせている。

「これが北見流?」

「はい、そうです」

 焼けると別皿のたれを少しだけつけて口に運ぶ。塩コショウしてあるから、そのままでもいける。

 結局はカルビもロースも登場して、肉祭になったのである。

結局は肉祭
<写真を拡大>

結局は肉祭

 翌朝、思い出してみると肝心のオホーツク北見塩やきそばを食べていなかった。こんなことでいいのか。

 反省しながら女満別空港に向かったのだった。

「もう終わり?」と思われたことであろう。でも終わりなのである。この後のデスクによる「おかわり」が長大なのに加え、来週、手の込んだ特別企画まで控えているためである。

 今年最後の食べBは、デスクがランキング形式でこの1年を振り返る。そして、特別企画。年末年始はこの特別企画で遊んでね。

 さて、正月休みをはさんで、新年10日から佐賀県編に突入する。ご関係の方はメールをよろしく。

(特別編集委員 野瀬泰申)

*映像はflashビデオです。一部機種では再生できないことがあります。ご容赦ください。


★今週のおかわりは「いつでも、どこでも…帯広の人はカレー好き?〜デスク版実食編(下)」です。ぜひお読みください。




北海道実食編(上) それは味噌カレーラーメンで始まった

デスク版北海道実食編(上) ジンギスカン、名寄じゃ家庭の鍋料理

北海道編(その1) 「先にタレ」「タレは後」でもジンギスカン

北海道編(その2) 牛乳茶漬けに砂糖をかけて

北海道編(その3) ガラナ・カツゲン・カステーラ

北海道編(その4) 「しゅうまい揚」は中華っちゅうか

北海道編(その5) キュウリの塩焼き召し上がれ


 


●筆者(特別編集委員 野瀬泰申)へのお気軽メールはこちら(tabeb@nex.nikkei.co.jp

2013年12月20日

【PR】

【PR】

【PR】

大人のレストランガイド

大人のレストランガイド

NIKKEI×ぐるなびが提供する、大人のためのグルメガイド。接待や会食、ビジネスシーンなどにおすすめのお店情報をご紹介。

ぐるなびWoman

ぐるなびWOMAN

女性のための女子会・デートのグルメ情報サイト。おすすめのレストランや居酒屋をこだわりやシーンに合わせて検索できます。

ぐるなびWedding

貸切パーティコレクション

企業向け貸切、OB会etc… 少人数〜大人数でも貸切OKのレストラン

結納・顔合わせ

特別な日を過ごすための完全個室のお店情報や、マナー・段取りまで

このサイトについて

日本経済新聞社について